【4月9日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State)」は8日、仲介人による交渉の結果、今月4日にシリアのドゥマイル(Dmeir)で拉致したセメント工場従業員約300人を解放することに同意した。在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が明らかにした。しかし、拉致された従業員のうちこれまでに何人が解放されたのかは明らかになっていない。

 ISは4日、シリアの首都ダマスカス(Damascus)の東約50キロのドゥマイル(Dmeir)付近で大規模な攻撃を実施した際、バディア(Al-Badia)社のセメント工場を襲撃して従業員を拉致していた。シリア人権監視団によると8日に地元の人物がISと交渉し、拉致された従業員を解放することで合意に達した。

 同監視団によると実際に解放されるのは拉致された約300人のうち約170人で、残りは既に脱出に成功しているという。同監視団は8日に解放された従業員の人数を示すことはできなかったが、同国軍当局筋はAFPに対し、8日夜に数十人のセメント工場従業員が政府側が掌握している近くの軍用空港に到着したのを見たと述べた。

 IS系メディアのAmaqはウェブサイトに掲載した声明で、ISが拉致された従業員約300人を解放したが、20人は政府系民兵である容疑で解放せず拘束を続けるとし、また従業員のうち4人はISが背教者とみなしているイスラム教ドルーズ(Druze)派の信者であるとして処刑されたと述べた。

 ドゥマイルは東部をIS、西部を反体制派が制圧しているが、周辺の軍用空港や発電所などの重要拠点は政府側が掌握している。シリア人権監視団によると、政府軍は8日もドゥマイルの軍用空港周辺で空爆を行ったという。(c)AFP