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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

『まだ東京で消耗してるの』イケダハヤト

『まだ東京で消耗してるの』
イケダハヤト(2016)
プロブロガー、イケダハヤト氏の最新刊です。
プロブロガーという紹介だけでは足りない氏の現況については、周知の事実かと思われますので割愛させて頂きます。

本書後半の、地方でのプロブロガー指南は関心がないのでピンときませんでしたが、東京脱出については共感出来る部分が多々ありました。

私は4年半の東京勤務の後、望んで福岡市に転勤し、家族で移り住んで6年になります。
東京勤務中は川崎市に住んでいた期間が長いので、純粋な東京脱出組とは言えないのですが、東京が如何に人を消耗させるかの記憶は、生々しく残っています。

通勤時間は人生の無駄
東京勤務の最初の半年は、横浜市から職場まで2時間。その後川崎市に移ってようやく1時間半になりましたが、それでも途中で乗換えが2回。うち1回は地方ではあり得ない距離の乗換えで「もはや every day 小旅行じゃん!」といつも思っておりました。

通勤ラッシュに揉まれ、下手をすると手に持った鞄が自分からドンドン離れていくので気が抜けない。コートやジャケットも、脱ぐと同様なので暑くても常に着たまま。
文庫本が読めればまだラッキィで、新聞なんかハガキ大に折り畳まないと絶対に読めない。

まさに消耗という言葉がぴったり。

「東京の人は、どうして帰る前にやたら飲みたがるのだろう?」
最初は不思議でしたが、すぐに自分もそうするようになりました。
仕事が終わった後、クタクタに疲れている。しかし家は遠い。一杯ひっかけて勢いをつけない事には、帰る気力が湧かないんですね。
少なくとも、私の場合はそうでした。

横浜在住の時は毎週金曜日、飲んだ後に自腹のグリーン車で帰るのが唯一の楽しみでしたから。川崎市に移ってからは路線の変更でグリーン車が無くなり、小さな幸せを失ってしまいましたが。。。とほほ。

お酒の話のついでに。東京でウンザリさせられたのが駅のトイレです。イケダハヤト氏はお腹がユルい体質だと書いておられましたが、酒飲みというのは年中下痢をしております(尾籠な話で申し訳ありません)

猛烈な◯意に朝の通勤途中の駅で駆け降りて、トイレにたどり着くと必ず行列です。
「この切羽詰まった状況で並べとな!」
散々流した油汗を、償え東京。

「トイレが怖いから、朝は何も食べずに家を出る」という人もいましたね。腸の蠕動が起きないように、朝飯を抜く訳です。朝飯ぐらい食わせてくれよ。
非人間的過ぎだろ〜東京。


インフラが過密過ぎて使えない
首都高速都心部の駐車場といった、カーライフの問題は諦めれば済みますが、公共インフラの脆弱さには参りました。

人が多過ぎて、災害時に自治体が対応出来るとはとても思えない。
トイレ、食料、給水etc. 
自宅の周辺だけで、容易にパニックが予想出来るんですね。
小さな子供がいるとやっぱり不安で、とにかく飲料水だけは常にストックしていました。

自宅ならばまだしも、職場で被災すれば即、帰宅困難者です。
「職場にスニーカーを置くように」という指示もありましたが、歩いて帰れるかい!って皆突っ込んでました。
そりゃ帰るには帰りますよ。家族が心配だし。でも夜通し歩かないと着かないなと、もはや笑い話のレベルです。

日常のインフラで不満だったのは図書館と公園ですね。

図書館は幸い近くにあったのものの、分室なので駐車場なし、蔵書僅少。
人気の本には莫大な予約が入っていて、俺に回ってくる頃には年が開けてしまうぜ!みたいな。
本好きには物足りない環境でした。

あとは公園。近くに公園が本当に無いんですね。小さな公園はありますが、幼児の安全の為にボール遊びって基本禁止じゃないですか。
遊び盛りの子供たちがいるのに、キャッチボールをする場所が徒歩圏内に無い。キャッチボール難民です。


仕方がないので、土日は遊具と子供の自転車をクルマに積んで、公園巡りでした。広い芝生と駐車場がある近隣の公園は大体覚えましたね。
考えたらこの移動時間も、貴重な休日にはバカにならない。本来不要な時間ですから。

イケダハヤト氏は、他に東京の家賃や食費の高さ、食生活の貧しさを挙げていますが、この辺は言わずもがなでしょう。
東京、牛肉高い。。。


今はどうか?
福岡市営地下鉄を使って、通勤はドアtoドアで30分。ラッシュ時でも肩が触れる程度なので、読書は当然可能ですが、乗っている時間が12分ですからね〜。
ちなみに自転車でも同じく30分。
災害時には、自宅まで歩いて1時間といったところでしょうか。

お腹が痛くなってもこの時間なら我慢できますし、どの駅で降りてもすんなりとトイレをゲット出来ます。

飲んでタクシーで帰っても、深夜割増込みで2.000円以内。川崎市だと13.000円はしましたから。サラリーマンとしては終電に走るしか選択肢はありませんでした。

図書館。
福岡市で一番大きい、総合図書館に毎週行ってます。駐車場は無料。
春になれば自転車で丁度いい距離です。
東野圭吾とか湊かなえクラスのベストセラー作家の本を除けば、新刊でも予約しておけば、いつの間にか順番が回ってくる感じですね。

一番大きいのは住宅費の差でしょうか。
イケダハヤト氏の高知の戸建ては家賃3万円だそうですが、東京ならワンルームでも絶望の金額です。

東京近郊の同程度のマンション(単純にハコの比較)と福岡市の物件を比べてみた場合、2,000万円以上の差があります。生涯支出が2,000万円違えば、子供の教育費など家族の人生設計に影響しますから。実際には金利で、総支払い額の差はもっと大きくなりますし。

マンションの資産価値なんて、30年後にセットされた時限爆弾みたいなものですから。購入時の絶対額が低い方がいいに決まってます。

物価全般だと、福岡市は東京の7〜8掛けの感じですね。同じ給料で生活費が3割安ければ、それだけサラリーが上がるのと同じですから、暮らしはその分楽になります。

生まれ育った場所に愛着があり、離れがたいのが人の常ですが、私のように親も転勤族で「ここぞ」という地が無い場合、東京脱出は検討に値すると思います。

日本は東京だけではありませんからね。

以上   ふにやんま