東京地検特捜部がURなど家宅捜索
あっせん利得処罰法違反容疑で 資金提供の建設会社も
甘利明前経済再生担当相(66)=1月辞任=を巡る現金授受問題で、東京地検特捜部は8日、千葉県印西市の都市再生機構(UR)千葉業務部と、甘利氏側に資金を提供した同県白井市の建設会社「薩摩興業」、同社の元総務担当者、一色武氏(62)の自宅をあっせん利得処罰法違反容疑で家宅捜索した。同日までに甘利氏の元公設秘書からも任意で事情を聴いて解明を進めている。
URと薩摩興業は白井市の道路工事の補償金を巡ってトラブルとなり、一色氏はURと直接交渉する一方で、甘利氏と元秘書に現金を渡していた。特捜部は一色氏やUR関係者から複数回にわたり任意で事情を聴いていたが、補償の経緯に不透明な点が多く、関係先から資料を押収して事実関係を確認する必要があると判断したとみられる。
URなどによると、UR担当者は、薩摩興業側から依頼を受けたとされる甘利氏の元秘書と2013年6月〜今年1月、計12回にわたり面談。URは薩摩興業側に対して計約2億円以上の補償金を支払っていた。
一方、甘利氏の説明によると、13年8月〜14年2月、同社側から甘利氏本人や元秘書が計600万円の現金を受領。献金として処理したが、うち50万円ずつ2回にわけて受け取った計100万円分は、実際の受領日とは異なる年月日を政治資金収支報告書に記載していた。また、300万円は元秘書が私的に流用し、収支報告書にも記載していなかった。
この問題では、弁護士や大学教授で作る二つのグループが、甘利氏と元秘書について同法違反や政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で東京地検に告発状を送っていた。【石山絵歩、小林洋子】