8日付イタリア紙ガゼッタ・デロ・スポルトに、ACミランの日本代表FW本田圭佑(29)の独占インタビューが掲載された。
詳細は次の通り。
-ミランはどうやったらこの難しい状態から抜け出せるか。
「それぞれの問題に対して常に解決法はたくさんあるが、最高のものを選ぶのは難しいことだ。今、我々は前へ飛び出すための鍵を見つけなければならない」
-(強制合宿中。練習場の)ミラネッロに6日間缶詰めになるのは有益か
「もちろん家に帰るほうがよかったが、ここでは長い時間一緒にいて、話し合ったり、練習したりすることができる。ユベントス戦で効果が見えることを望んでいる」
-ビッグクラブとより、小さなチームとの試合のほうが困難なのはなぜか
「守りを固め、イニシアチブを取らせるチームを相手に戦うほうが、戦術的により難しい。ビッグクラブとの対戦はモチベーションを上げ、メンタル面でもよりよい準備ができるのかもしれない」
-最高で6位という野望のためにはモチベーションを見出すのは難しいのか
「選手はみなチャンピオンズリーグに出たいし、いろいろなタイトルを勝ち取りたい。しかし、現実を注視しなければならない。ミニマムの目標で満足するのは易しいことではない。でも今は多くの勝ち点を稼がなければならない」
-ユベントスへの挑戦は不可能か
「すべての可能性がある。ユベントスを負かすことも。難しいことは間違いないが、そうするためには自分たちを信じなければならない。ユベントスは我々より強い。でもミランはナポリ、ローマ、インテルを相手にいい試合をした」
-ユベントスの主なるクオリティーは何か
「守備だ。ユベントスは典型的なイタリアンチームだ。私はナポリのような戦い方のほうが好き。あれが私のスタイルだ」
-ユベントスで最も手強い選手は誰か
「たくさんいる。でもサッカーというのは11人で行うものだということを忘れないでほしい。個々の選手でなく、チーム全体で勝つものだ」
-ユベントスに勝つにはどうしたらいいか
「ユベントスは強い、それはわかっている。イタリアでナンバーワンだ。しかし、いい試合をしつつ、彼らを負かしたい。ひとつにまとまらなければならないし、スペースを与えず0-0でハーフタイムに持ち込む。それから後はどうなるかわからない。サッカーというのは、時に想像していなかったことが起きるから、魅力がある。勝つためにはいろいろなやり方があるが、我々は試合の展開に適応する準備をしなければならない」
-次のセリエAの対戦でユベントスに負け、イタリア杯決勝で勝つというのはどうか
「もしひとつだけ選ばなければならないとすれば、Si(イタリア語でイエス)となる。間違いない。でもユベントス相手にどちらの試合も勝ちたい」
-イタリアのサッカーで気に入らないことは
「メンタリティーだ。勝つことだけを考え、そのおかげでリスクを負わなくなっている。これがブレーキをかけることになる。イタリアの文化では過去の成功に縛られているし、歴史上の記憶も深い。しかし他のヨーロッパのリーグで起こったように全面的な改革が必要だ。日本でもだ。私は2度のW杯とチャンピオンズリーグに出場した。まだ30歳になっていないが、日本ではすでに本田の後継者について話されている。ここでは異なる。イタリアのサッカーは多くの成功を手にしたので、そのモデルとの絆がつながれたままになっている」
-ミランはここ何年もひどい戦いかたをしている・なぜか
「理由はたくさんある。でも、今のミランと、すべてを勝ち取っていたミランとを混同してはならない。ここに来た時、昔テレビで見て愛したミランと同じでないということに気付いた。僕らはあのレベルに戻ろうとしているが、道のりは長い。テレビで見ていたころ、その技術を賞賛していただけでなく、特にその性格的なものに感嘆していた。グループのなかで個々がアイデンティティーを持っていた。私は、技術のレベルではあのころの素晴らしい選手と比べものにはならないが、それゆえ、私は、より彼らよりプロフェッショナルでなければならない。このメンタリティーをクラブは選手たちに伝えていかなければならない。選手は一丸となって新しいミランを作り上げていかなければならない」
-あなたはミランで4人の監督に仕えた。それぞれの違いは
「大きい。すべての監督に感謝しなければならない。知り合えてよかった。特にセードルフとインザギは私にとってスーパースターだった」
-ミハイロビッチ監督はどんなタイプの監督か
「とても注意深く、正直な人物だ。信頼を選手に伝えるし、勇気付ける。チームは彼が必要だし、彼はこのチームを成長させるだろう」
-監督はみな、本田は非常にプロフェッショナルだと言う。何が特別なのか
「特に練習での態度を指しているのだと思う。選手たち、もしくは一般的に働く人というのは、いろいろな面での問題により影響を受ける。恋人、子供、金銭など。仕事でうまくいかない時には状況を変えるために自分のできることに集中する。例をあげるが、もし明日ユベントスに負けたら責任は私にあると言う。監督のせいでもマリオ(バロテリ)でも、他の人たちのせいでもない。これが自分のメンタリティーだ。日曜から状況をよくするためには何をすればいいかを考え、よりハードに練習していく。監督たちはこの態度に気付いたのかもしれない。小さなころから目立った才能はもっていなかったが、懸命に努力することによって高い位置まで到達できた。もう20年も前からこれが私の哲学だ」
-今シーズン序盤はベンチが多かったのはなぜか
「それはミハイロビッチ監督に聞いてください。彼は知っている。夏に僕をトップ下に置いた。フィジカル的にはよかったが、監督は僕のプレーに満足しなかった。試合に出られなければどんな選手でもうれしくはない。ただ、それも貴重な経験だった。それまであまりベンチに座ったことがなかった。今は試合に出られない選手が何を考えているかがわかる」
-2016年の優秀な本田の秘密はなにか
「いいプレーはしていない。チームが助けてくれるのだ。私はひどい選手でもないが、並外れた選手でもない。だいたいいつも同じやり方でプレーしている。でもあなたたちはまだ、真の本田をイタリアで見てはいない。これ以上のことができる。だから満足していない」
-右サイドのポジションは好きか
「学んでいるところだ。何度か難しい局面で出くわすことはあるが、成長している。長年トップ下でプレーしてきた。今は課題が変わったということ」
-なぜあまり得点しないのか
「もっとゴールを決めるべきだが、自分にできることしかできない。これは私のスタイルだ。イタリアではFWが利己主義的だが、僕はそうではない。チームとともにチームのためにプレーする」
-あと2年ほどすればミランがトップに戻ることは可能か
「そうだと思う。でも、ここに来てから、同じことを繰り返している」
-ここ数日ミラネッロで自由時間は何をしているのか、読書かそれともプレーステーションかビリヤード?
「ビジネスだ。日本での事業のことを考え、アシスタントたちと話したり、他にもコンタクトをとった。私の会社には110人の従業員がいることを知っていますか?」
-それは、事実上の大企業ですね。何をしているのか
「4年前からエデュケーション、ビジネスをやっている。日本には60のサッカースクールを持っていて、監督80人と4歳から16歳までの子供たちが3000人いる。このプロジェクトをタイ、中国、カンボジア、ベトナム、そしてアメリカにも広げたい。サッカーを通して子供たちにチャンスと夢を与えたい。それからオーストリアに3部のクラブを持っている」