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 甘利明・前経済再生相をめぐる現金授受問題で、東京地検特捜部が8日、甘利氏側に現金を渡したとされる千葉県白井市の建設会社や、同社と補償交渉をしていた「都市再生機構(UR)」の千葉業務部(千葉県印西市)などを捜索したことが、関係者への取材で分かった。また、特捜部は同日までに、甘利氏の元公設秘書から任意で事情を聴いた。建設会社から甘利氏側への現金授受が、あっせん利得処罰法などに違反しないか捜査を進めるとみられる。

 政治家や秘書が口利きの見返りに対価を受け取ると、同法違反になる。3月に弁護士グループが同法違反の疑いで東京地検に刑事告発。その際、甘利氏の事務所は「あっせん利得処罰法に当たるような事実はない。早期に解決していただくよう、真摯(しんし)に捜査に協力していく」とコメントしていた。

 甘利氏は1月に記者会見を開き、現金授受について説明。甘利氏は同社側から2013年11月と14年2月に、それぞれ現金50万円を受け取っていた。また、秘書(当時)は、13年8月に同社側から500万円を受け取りながら、200万円を政治資金として処理し、残りは自ら使ったという。

 関係者によると、秘書は、同社の総務担当者・一色武氏の依頼を受け、同社とURとの道路建設の補償交渉を担っていた。URによると、秘書はUR職員と今年1月まで、12回にわたり面談していたという。一色氏は朝日新聞の取材に対し、提供した資金を「道路建設の補償交渉のお礼」と話した。

 特捜部はすでにUR職員らを任意で聴取している。UR広報室は8日、「捜査に協力していることは事実だが、それ以上は答えられない。当機構として今後も引き続き捜査に協力する」とコメントした。