中世ヨーロッパの異教・迷信・魔術野口 洋二 著 四六判 200ページ 本体 1,800円+税(2016年5月1日発売予定) ISBN:978-4-657-16011-9 |
近年、欧米を中心に、研究領域の著しい広がりを見せている中世の宗教的歴史。最近の研究は、教会や教会制度の歴史、宗教的実践や信仰についての聖職者による公式な見方ばかりでなく、民衆の信仰心や聖人崇拝、異教的伝統や魔術や迷信、幻想や奇跡なども取り上げて検討されている。
本書はこうした中世の宗教的歴史に関する世界的潮流にのっとり、年代記や教会会議の決定、贖罪規定や勅令や聖人伝、迷信や魔術を批判するさまざまな論説、教令集や聴罪司祭手引書や神学的著作などを通じて、中世ヨーロッパにおける異教的伝統や、それに基づく信仰や慣習が、いかなる時期に、いかなる地域に存続していたか、またこうした異教的伝統に教会がどのように対応したかを明らかにするものである。
元早稲田大学理事、早稲田大学名誉教授。西洋中世の宗教政治史・文化史を専攻。
著 書:『グレゴリウス改革の研究』(創文社、1978)『中世ヨーロッパの教会と民衆の世界』(早稲田大学出版部、2009)。
訳 書:フリシュ『叙任権闘争』(創文社、1972)、ハスキンズ『十二世紀ルネサンス』(同、1985)、ヴェルジェ『入門 十二世紀ルネサンス』(同、2001)、ヴェルジェ『ヨーロッパ中世末期の学識者』(同、2004)、他。
はじめに
第1章 メロヴィング期ガリアにおける異教的伝統とキリスト教
第2章 メロヴィング時代末期の伝道活動とキリスト教の変容
第3章 異教的慣習の存続とキリスト教にたいする反発
第4章 アゴバルドゥスとレギノーの著作
第5章 ブルカルドゥスの「矯正者・医者」
第6章 ベザーテのアンセルムス、教皇をめぐる奇妙な噂とさまざまな反発
第7章 十二世紀を中心とする社会的変化と迷信・魔術批判の変化
第8章 カノン法、教令と聴罪司祭手引き書、学者たちによる批判
おわりに
注
索引