梅の名所として知られる京都市の北野天満宮は8日、境内にあるサクラが新種である可能性が高いと発表した。住友林業が調査し、同社の遺伝子データバンクと照合したところ同一のものがなかったといい、「北野桜」と命名された。学問の神様として親しまれている同神社の新たな名物となりそうだ。
サクラは社務所前にあり、樹齢は推定120年。遅咲きで、咲き始めは白く、徐々にピンクに色づいて満開時には赤くなる特徴を持つ。今年は8日に開花し、15日ごろ見ごろになる見通し。
住友林業は保管するサクラ215種の遺伝子と照合したが、一致しなかった。同社森林・緑化研究センター長の中村健太郎さんは「約300種類あるといわれるサクラの中ではカスミサクラ(ヤマザクラの一種)やオオシマザクラ(ソメイヨシノの親の種)に近いものの花や葉、枝など形態が異なる」としている。
同神社によると、以前から参拝者らから「珍しい」「何という品種か」と問い合わせが多く、住友林業に組織培養による種の保存と併せて詳しい調査を依頼していた。
橘重十九(たちばな・しげとく)宮司は「古文書などから、室町時代や安土桃山時代には梅だけでなくサクラの名所でもあったことが知られる。様々なサクラが交配する環境だったのでは」と話す。