堀込泰三 - コミュニケーション,仕事術,働き方,就職・転職 11:00 PM
フリーランスから会社員に戻る際の5つの心得
99u:フリーランスとして、セルフブランディングを極め、スキルを伸ばし、たくさんの作品を世に送り出してきたあなた。でも、心の中で何かが崩れ、次にどうするべきか迷っている。あるいは、1人で働き続けることの意味を見いだせなくなっている。または、巷で噂されているスタートアップの信じられないほどの待遇が気になっているなど、あなたがフリーランスを卒業しようと思う理由はたくさんあるでしょう。健康管理のため、もう一度チームの一員として働きたい、またスーツを来て働きたいなどの欲求が、変化を促します。
人脈をたどり、いろいろな人の話を聞いているうちに、ついに仕事のオファーが! おめでとうございます。
あなたのストーリーは、私のストーリーでもあります。私は、「Help Scout」と「altMBA」のチームに参加する前は、言葉を操るフリーランスでした。ゴーストライティング、履歴書の代筆、コピーライティング、編集などに携わっていたものです。私はその生活が好きでしたが、3年たったときにふと自分の成長を振り返り、あまり喜ばしくない感情を抱きました。進化を続けるには、またチームの一員として働くことが必要だと思ったのです。そこで、フリーランスからフルタイムに転身するためのヒントを探しましたが、ほとんど見つかりませんでした。フルタイムからフリーになる方法はたくさん書かれているのに、その逆を書いている人はいないのです。でも、需要がまったくないわけではないでしょう。だから私は、この記事を書くことに決めました。
以下に、私がフリーランスから会社員に転身したときに大切にした、5つのポイントを紹介します。
1. コミュニケーションを学びなおす
フリーランサーのコミュニケーションはシンプルです。あるクライアントが、特定のタスクのためにあなたを雇い、あなたは締め切りまでにそれを納品します。すると、対価が支払われます。まるで、1対1で気楽な卓球をしているような感覚です。
一方、会社には複数の意思決定者がいて、従業員もいます。メールや会話には、彼らを巻き込む必要があります。これも卓球のようなものですが、1対1ではないところが大きく異なります。同時に5人を相手にしつつ、ボールを見失ってはいけないのです。そのためには、自分が完了済みのことや他のメンバーの力が必要なことなどのほか、思考/アイデア/課題などをメンバーに明確に伝えなければなりません。
フリーランサーから会社員に戻ったとき、これにはかなり苦労しました。ある日上司から、新しいSNSプロジェクト全体についてのGoサインと思われるメールを受信したのです。でも、直感的に何か引っかかるものを感じました。そこで上司に、プロジェクトを進めていいのかを再確認したところ、プロジェクト全体ではなく、ある側面だけを進めていいという指示だったことを知りました。あのとき再確認をせずに突っ走っていたら、たくさんの人々や部署にカオスを引き起こしていたと思うとゾッとします。
デジタルでの社交スキルも磨いておきましょう。なぜなら、1人で働いていると、コミュニケーションの筋肉が衰えているから。メールと「Slack」でのDMは両方送るべきなのか? 毎回誰かにメンションを送るべきなのか? 上司へのレスポンスはどれくらい早い必要があるのか? その日のうちに返信すればいいのか、メールを受信して5分後には返信が必要なのか? できるだけ早い段階で、その辺りをクリアにしておきましょう。
2. 生産性の意味を定義しなおす
フリーランサーの場合、完了したプロジェクトの量が、そのまま収入になります。1日にたくさんの仕事を終わらせるほど、多くのお金を得られる仕組みです。
一方、会社では、完了したプロジェクトではなく、あなたの持つスキルの範囲に対して対価が支払われます。あなたは、メインの仕事のほかに、さまざまな責任を負うことになるでしょう。採用時に明示されていないことでも、避けることはできません。たとえば、私は毎日1本原稿を仕上げなければ満足できない体質だったのですが、会社ではいろいろな義務が時間を奪っていきます。お客様のメールに答えたり、会議に出たり、ネットワークの接続試験をしたり。そうこうしているうちに、1日1本どころか、1本の原稿を終わらせるのに2、3日かかるようになってしまいました。
この状況、最初は自分の仕事ができていないように感じられ、フラストレーションがたまりました。生産性をアウトプットで評価することに慣れすぎて、仕事に関連する、その他の活動の価値を過小評価していたのです。今では、アウトプットはさまざまなパーツの積み重ねであることを肝に銘じ、執筆そのものだけでなく、すべての仕事に価値を見いだせるようになりました。
3. よき習慣はそのまま残しながら、新しい習慣を確立する
フリーランスだと、1日の中での自分の習慣とエネルギーレベルの変化を把握して、それをうまく利用することができます。巷には、そのための儀式がいろいろあります。あなたもきっと、そのいくつかを試したことがあるでしょう。
会社員になると、そうすることで得られていた生産性を、再発明しなければなりません。あなたにとって集中力とクリエイティビティが高まる朝の時間帯も、会社ではミーティングがあったり、上司から何かを命じられたりするかもしれないのです。
ですから、上司やチームの期待を理解するように心がけましょう。あなたが提供できるものは、正確に言うと何なのか。あなたの仕事として考えられるものには何があるのか。一人で集中して働ける時間帯はあるのか。ミーティングが多い時間帯はいつなのか。それらを知ることで、会社のスケジュールの中でどのように自分が動くべきかが感覚としてつかめるようになるでしょう。
4. 効率を寛容さで置き換える
フリーランス時代は、とにかくプロジェクトを短期間で終わらせることが目標でした。早く終わらせれば、もっと多くの仕事ができるから。とにかくプロジェクトに集中して取り組む以外のこと――知人とのランチ、カンファレンスへの参加など、直接収入に結びつかないこと――は、どうでもいいことだと思っていた節があります。
でも、会社では違います。私たちの価値は、1日に何を生み出すかだけではないのです。仕事を越えたチームとの人間関係にも価値があります。
チームに所属して最初のディナーを覚えています。やるべきことがたくさんあったので、ディナーをスキップして家に帰りたくて仕方ありませんでした。チームメンバーとのディナーに参加したところで、直接仕事が進むわけではありません。でも、ラテン料理とおいしいワインをいただきながら話すうちに、新しい同僚の人となりを知ることができました。何が好きなのか、なぜこの会社を選んだのか、空いた時間には何をしているのか。同様に、私のことも知ってもらいました。私の習慣、信念、モチベーションなど。あのディナーで、ライターとしてのスキルは変わらなかったものの、同僚とつながることができたのは間違いありません。そのつながりこそ、職場での成功に不可欠なことなのです。
5. 予期せず習得した新しいスキルを利用する
フリー時代は、1日中ひたすら働き通しでした。でも、会社員になると、容赦なく何かを突き進めるようなことはめったにありません。サイドタスクや義務がたくさんあります。最初はそれにフラストレーションを感じるかもしれません。ウェブサイトのデザインが仕事なのに、なぜクライアントとのパートナーシップを構築しなければならないのかと。
でも長い目で見たとき、そのエキストラな仕事は、将来の転職時に役立つ基礎になります。今後もずっとフルタイムで働くにしても、フリーランスに戻るにしても、はたまた両者を行ったり来たりするにしても、決して無駄ではないと言えるでしょう。
5 Things No One Tells You About Going Full-Time Again |99u
Paul Jun(訳:堀込泰三)
Photo by PIXTA.
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