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 厚生労働省は8日、第2次世界大戦後に旧ソ連に抑留されて死亡した日本人のうち、新たに延べ4964人分の名簿を公表した。ロシア政府から提供された資料を翻訳して判明したもので、肉親の最期を知る情報になる可能性がある。

 抑留死亡者はモンゴルを含むシベリア地域で約5万5千人いる。今回は、この地域が最も多い4584人。モンゴルとの国境に近いイルクーツク州などの収容所や病院で亡くなった。ほかに樺太(現ロシア・サハリン)地域が375人、旧満州(現中国東北部)地域が5人。旧満州地域の名簿公表は初めてとなる。

 2011年6~7月と今年1月に提供された資料を日本語に翻訳し、名前のカタカナ表記と死亡年月日、死亡場所の三つを整理。読み方を誤ったままロシア語で資料がつくられ、日本人の名前として不自然な表記も含まれている。厚労省は07年からウェブサイト上で死亡者の名簿を公開。すでに延べ約5万人分(うち身元特定約4万人)に上り、今回の公開分との重複も多いとみている。

 これとは別に、名前のカタカナ表記などがわかった人で、新たに身元が特定できた63人の名前の漢字表記も同時に公表された。

 厚労省は昨年4月、約1万人分の死亡者名簿を公開。北朝鮮や中国、樺太などシベリア地域以外で亡くなった人も初めて含まれた。今回公開した名簿は、この時に翻訳が間に合わなかった資料の一部だ。今年度中には13年度に提供された資料を名簿にして公表する。遺族に最期の情報を提供することが目的で、資料の写しや翻訳したものを都道府県を通じて無償で提供する。

 ただ、シベリア地域以外で亡くなって身元を特定できた903人のうち、遺族に情報を提供できたのは406人分にとどまる。厚労省の担当者は「遺族を探すのに半年かかることもある。亡くなった方を知る肉親が高齢化しており、時間との戦いになっている」と話す。

 厚労省のウェブサイト(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/soren/別ウインドウで開きます)では、50音別の死亡者名簿が地域別に公開されている。(久永隆一)