昨年10月21日、京都府精華町の国際電気通信基礎技術研究所(ATR)構内に小型無人機(ドローン)専用の試験飛行場がオープンした。茨城県つくば市に続く国内2カ所目だが、面積は1万8000平方メートルとつくばの5倍近い。
昨年の航空法改正で飛行禁止エリアが広がったことを背景に、ドローンの性能試験や操縦訓練を安全に行える場所を提供する。
設置主体である日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長は、飛行場の開設式典で「現在、ドローン市場の過半を中国製品が占める。日本は出遅れたが、高性能機種で巻き返すきっかけにしたい」と意気込みを語った。
飛行場運営に協力するベンチャー企業、ブルーイノベーション(東京・千代田)には「けいはんなATRファンド」が出資した。ATRとブルーイノベーションの技術を組み合わせて「複数のドローンを対象に、飛行禁止エリアを3次元で設定するシステムを構築する」とATRの鈴木博之常務は語る。携帯電話のSIMカードと同様の装置を組み込むことで個々のドローンを識別・制御する仕組みができる。
事業開発室の坂野寿和担当部長は「ATRの技術資産をビジネスプランにまとめ、出資者を募って起業につなげる仕組みを準備中」という。先行事例がある。抱き枕型通信メディア「ハグビー」だ。アンドロイド開発の第一人者、石黒浩フェローの研究成果を反映した。
頭のポケットにスマートフォンを挿入、抱きつきながら通話する時にバイブレーターが作動する。声と振動によって相手をより身近に感じ、ストレス低減につなげる。柔らかく吸湿性に優れた生地は寝具卸の京都西川(京都市)と東洋紡の子会社が共同開発し、京都西川の販路に乗せる。研究と起業の間をつなぐノウハウを習得できた。