[PR]

(8日、競泳・日本選手権 男子200メートル平泳ぎ)

 日本競泳界の顔にとって、最後のレースが終わった。男子平泳ぎの北島康介(33)が8日、現役引退を表明した。東京で開催中の日本選手権で100メートルに続き、この日の200メートルも敗れた。5大会連続の五輪切符を逃したが、涙ながらに「やり切った感じでいっぱい。悔いは残っていない」と語った。

 200メートル決勝。150メートルまで2位につけたが最後に失速し、5位に終わった。レース後、観客席からの拍手に手をたたいて応え、静かに会場を去った。「割とすがすがしいというか。最後まで自分の攻めのレースができたんじゃないかな」

 2004年アテネ、08年北京両五輪で100、200メートルの2冠を達成。日本の競泳史上初めての偉業だった。コーチや泳法分析、トレーナーら専門家の力を集めた「チーム北島」は画期的だった。

 「チョー気持ちいい」(アテネ五輪)「何も言えねえ」(北京五輪)。レース後に発した言葉は流行語になった。競技の枠を超えたヒーローになった。

 近年は低迷していた。水泳教室の運営など仕事の傍ら試合に出て、家族と過ごす時間も増えた。世界選手権出場を逃した昨春、競泳をやめてもいいという気持ちが頭をよぎった。そんなとき、少年時代から指導を受ける平井伯昌コーチ(52)に言われた。「まだやり切っていないんじゃないか」