■ 小泉ブレーンの政商が経営
それなのになぜ、安倍首相は「洞爺湖」を選んだのか。
意外なことに、洞爺湖を強く推したのは北海道選出の議員ではなく、小泉純一郎・前首相だったという。官邸筋は
「9・11テロ以来、各国ともサミットの開催地に警備がしやすい地方の小都市を選ぶ傾向がある。外務省が推す京都はその点に難点があった。迷っていたところに、小泉サイドが『夕張市の財政破綻問題などでマイナスイメージがある北海道にサミットを呼べばサプライズになる。洞爺湖には警備も楽なうってつけの会場がある』というアイデアを言ってきた。警察庁も強く推し、安倍首相も、後見人の小泉さんのお声掛けを尊重した」
と明かす。
そして、小泉氏と「洞爺湖」には接点がある。
旧拓銀の不良債権だった同ホテルを2002年に総工費の10分の1、約60億円で買収してオーナーになったのがセコムの関連会社(十勝アーバンプロパティーズ)だ。飯田亮・セコム最高顧問は、小泉政権下で総合規制改革会議議長代理や行政減量・効率化有識者会議座長を務めた小泉ブレーンの有力者である。また、飯田氏はホテル運営会社「ザ・ウィンザーホテルズ・インターナショナル」の役員も兼ねる。
サミット開催地決定の背後に、小泉・安倍ラインを通じた飯田氏への利益誘導の影が見え隠れしているのだ。
自民党有力者はこう語る。
「飯田氏は安倍政権下でも諮問会議のトップに起用されると見られていたが、安倍首相は昨年12月に行政減量・効率化有識者会議座長を交代させて茂木友三郎・キッコーマン会長を後任に据えた。同じ小泉ブレーンの宮内義彦オリックス会長がライブドアとの関係を批判されて規制改革・民間開放推進会議議長を退任し、ライブドアの社外取締役だった飯田氏を残しにくかったからだ。小泉さんと安倍首相が飯田氏のホテルでのサミット開催を決めたのは、その穴埋めの意味もあるのではないか。ウィンザーホテルの知名度は上がるし、首脳会議の会場警備にかかわればセコムにとっても宣伝効果は高い」
政商は転んでもただでは起きないということなのだろうか。
首脳会議の会場となる「ザ・ウインザーホテル洞爺」