ソウルの私立大4年生の男性(27)は先ごろ、写真共有アプリケーション(アプリ)「インスタグラム」のフォロワー数を増やすとうたう業者に興味を引かれた。人気の尺度となっているフォロワー数が増えれば、恋人もできるのではないかと考えたのだ。オンラインで月会費6万9000ウォン(約6500円)を決済し、2時間ほどたつと、スマートフォンにはフォロワーが増えたことを知らせる通知が数え切れないほど届いた。男性はわずか10分で、1000人以上のフォロワーを抱えるインスタグラムの「スター」になっていた。
交流サイト「フェイスブック」やインスタグラムなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で、投稿に対する「いいね!」の数やフォロワー数を増やすサービスが盛況だ。SNSで自分を目立たせたいという若者や、オンラインで口コミを広める「バイラルマーケティング」手法を取る企業が主な顧客だ。
あるファッションブランドで広報を担当する女性(23)は2月、新製品をPRするためフェイスブックの「いいね!」の数を増やすサービスを使った。自社のPR文のリンクを業者に伝え、5万2000ウォン(約5000円)を決済すると、わずか1日で「いいね!」が1000件増えた。
ポータルサイトで「フォロワー 増やす」などと検索すると、こうしたサービスを行っている業者が20社以上出てくる。その一社である「マーケティング・ストーリー」では「30日『いいね!』+先フォロー」サービスが一番人気だ。6万5000ウォン(約6000円)を払えば、30日間、顧客のアカウントからほかのアカウントに1日200回ずつ「先フォロー」(先にフォロー申請をすること)を行う。フォロー申請を受けたインスタグラムのユーザーが、お返しとして相手のアカウントにフォローを申請する場合が多いことを利用し、フォロワーを増やすのだ。同社の関係者は「2013年にビジネスを始めたが、売上高は3年で10倍に増えた」と伝えた。
だが、中には架空の人物で作成した「幽霊アカウント」を使ってフォロワー数を増やす業者もあるため、注意が必要だ。フェイスブックやインスタグラムなど海外に基盤を置くSNSは、電子メールアドレスさえあれば実名認証なしでアカウントを作成できる。ほかのユーザーに不審に思われないよう、こうした幽霊アカウントにはそれぞれ異なる写真が使われ、もっともらしいプロフィールが書かれている。