環境ホルモンの影響
環境ホルモンは、生物全体に多大な影響を及ぼし、人間の生殖活動にまで影響を及ぼす可能性が高いといいます。牛や豚などに投与される成長ホルモン、抗生物質、抗菌剤や、畑で使用される農薬、食品に使用される防腐剤、殺菌剤等は、肉や野菜などを食べることで人の体内に入り、計測不可能なほどに微量であってもホルモンを狂わせます。環境ホルモンは、男子の精子数の減少や異常、成熟の早すぎる少女、卵巣ガンや乳ガン、性行動の異常などの原因になるといわれていますが、さらに知能低下、学習障害、注意力欠如、ストレスへの過剰反応、アレルギー、鬱状態などの原因になるとも考えられています。
環境ホルモンから守る
完全に環境ホルモンの害から逃れるのは無理ですが、私達にもできることはあります。例えばなるべく添加物や化学物質の入らないな食品を選ぶ、カップメンやコンビニ弁当などを減らし、時間の許す限り自分で料理をする、農薬使用の少ない野菜を選ぶ、シャンプー、リンス、化粧品など皮膚から直接体内に入り込む化学物質(経皮毒)に注意を払うなどです。
環境ホルモンは、子供や大人だけでなく、胎児にも影響を与えます。妊娠2~3ヶ月までは、胎児の臓器や器官が作られる時期なので、このような時期に化学物質を摂取しないようにしたいものです。現代の胎児は、お腹の中で既に環境ホルモンに汚染されているとも言われます。環境ホルモンは、胎盤を通じて胎児に影響を与えます。特にこれから母、父になる人は、環境ホルモンを理解しておくことが大切です。私達も環境ホルモンに対する理解を深め、排泄しきれず体内に蓄積される有害物質を解毒するビタミン、ミネラルを積極的に摂取するよう心がけることが必要です。
花粉症(アレルギー疾患)
日本人の4人に1人が罹患しているという花粉症は、今や国民病ともよばれるようになりました。花粉症を個人の問題として捉えていた政府も、其の原因が食品や環境汚染などにもあることが判明すると、関係省庁と一丸になってその対策に取り組み始めました。
花粉症やアレルギー症状は、人間の体が本来持っている免疫反応が過剰になって起こる「免疫過剰」であると解釈されがちです。そのため「免疫を抑制」するステロイドなどが処方されますが、実際は「過剰」ではなく「異常」によるものなのです。
花粉症を例にとれば、対内に侵入した花粉を誤って敵と見なし、白血球の一種が必要以上に反応して攻撃をはじめ、免疫のバランスが崩壊し、その結果花粉症が発症します。花粉症に必要なのは、狂いを生じた免疫力バランスを正常に戻すことであり、決して「免疫を抑制」する事ではありません。
花粉症の発症は、遺伝的なもの、IgE抗体(アレルギー反応を引起す物質)を作りやすい体質、内蔵機能低下、自律神経の乱れ、免疫力の低下など様々な要因が関係しますが、中でも免疫力は重要な鍵です。この重要な要因である免疫力の低下やバランスの狂いを矯正するには、薬に頼る前に生活習慣や食事の摂りかたを見直し、十分な睡眠をとるなど、いわゆる健康的な生活を送る事が不可欠です。
しかし、世界規模での環境・大気汚染など、個人の努力、1国の取り組みだけではどうにもならない要因も多々あります。その1つに近年特に問題となっている中国大陸から飛来する黄砂があります。偏西風により運ばれる0.1㎜以下の細かい砂粒は、喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎などを悪化させ、日本の環境、国民の健康に悪影響を与えています。
花粉の季節には、これら避けきれない要因も加わり大気汚染はますます深刻な状態になります。マスク、うがい、手洗いなどを徹底して外部からのアレルギー原因を遮断すると共に、季節や環境の変化に対応できる身体=免疫力を強化する努力が大事です。
農薬(有機塩素系殺虫剤)、化学物質
農薬や化学物質は私達の生活を豊かにし、快適な日々の生活に欠かせません。その一方で、
使い方を間違えると、健康や動植物に悪い影響を与えます。便利さの裏にある危険を見過
ごしてはなりません。アメリカの農村地帯の例を挙げてみましょう。
母親が、農薬散布地域から500メートル以内に住んでいる場合、子供が自閉症及び自閉症
に近い症状(自閉症スペクトル)を発症する率が高くなるという報告が出され、米国市民
に少なからぬ衝撃を与えました。(カルファルニア大学やカリフォルニア州保険部門が2007
年に発表)また、体内曝露による出生障害は、エアゾルのような微量な殺虫剤でも起こりうるといいます。コロンビア大学グループの研究では、ニューヨーク市の貧困地区に住む黒人、ヒスパニア系住民に障害児出生率が高く、臍帯血中のクロルピリフォス濃度との相関性から,原因はゴキブリ駆除に使われる殺虫スプレーと報告されています。
胎児は、約40日間で受精卵からヒトへと進化し,脳や神経細胞の8割がこの間に形成されるといわれます。体長数ミリの胎芽は、羊水に保護されて成長しますがこの羊水に殺虫剤(神経毒)が混入すれば、脳神経系統は被害を受けやすいといわれます。成人に悪影響を及ぼさないと考えられる濃度の許容範囲であっても、胎児にとっては大いに危険な濃度です。
ニューヨークのReuters Healthの報告によると、尿中に高いレベルの農薬や殺虫剤成分が検出された子供たちは、そうでない子供たちに比べて注意欠陥多動症(ADHD)になる確率は約2倍だということです。米国では子供の約10人に1人が注意欠陥多動症であり、6歳から17歳までの自閉症スペクトル患者数は、1994年から10年間で8.5倍に増加し、いまや150人に1人が自閉症スペクトルといわれています。
日本においても小学校の新入児童は減少しつつも、発達障害児童は増えつづけているといいます。子供だけでなく近年、若者や中高年の心の病気もますます増加しています。環境中の化学物質が少なからず関わっているとの懸念がおこり始めました。
化粧品や食品添加物のように意図的に添加されたり、食品への残留薬品として体内に入ってくる化学物質や農薬等は、対処策が比較的立てやすいといえます。食べなければよい、使わなければよいからです。
しかし、とてもやっかいで分かりにくいのは、空気中や河川などの環境中にばら撒かれ、そこに生息する生物や動物を通して生態濃縮(ある種の化学物質が生態系での植物連鎖を経て生物体内に高い濃度で凝縮されていく現象で、数千、数万倍に達する事もあるという)された魚や動物の肉などが食べ物として体内に入り込むものです。
われわれの住む環境から危険な化学物質を排除することが急務です。が、この危険な状況は様々な関連企業の利権が絡み、メディアが広く伝えないこともあり、知らない人、関心の低い人、臭いものには蓋をしがちな人が多く、状況の悪化にますます拍車をかけているとみられます。
このような環境で生きる動物(人間を含む)は知らず知らずのうちに免疫力が低下し、その結果、人獣共通の感染症がまんえんすることになります。「鳥インフルエンザウイルス」はその典型例と考えられます。
私達は、既に食の安全を確保するために自衛をしなければならない時代に生きています。
食生活改善と免疫力アップを常に意識して、大切な日々を過ごしていきましょう。
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