みなさんは人にやられてイヤなことってありますか?
僕は中学の頃友達にされて一番イヤだったのは、癖のある箸の持ち方(箸を一回クロスさせてから食べ物を掴む)を半笑いで真似されたときです。みんなの前だったのであれはさすがにカーッとなって耳まで真っ赤になったのを今でも覚えています。(そのあと悔しかったのでしつけ箸を購入してそれなりに矯正できたので今では感謝してます)。
やられてイヤなこと。
…いきなり1つ例を挙げておいて何ですけど僕は基本的にこの「やられてイヤなこと」は実はあまりなかったりする方だというか、自分でいうのも何ですけど僕はけっこう寛容的なタイプに近いと言ってもいいかもしれません。一応ですがどんなことでも割と許せてしまいます。とりあえず絶対そこのお前よりは寛容的なタイプだと言い切れます。
…で、引き続きこの寛容についての話なんですけど、これが大人になるにつれてよく思うようになったのは、逆に寛容すぎてこの「自分がされてイヤなこと」が少なすぎるのもそれはそれでヤバイなって気付き始めたわけです。なぜかというとよくある「自分がされてイヤなことは他人にもするな」の一般的なルールに当てはめてみると、自分がされてイヤなことがそもそも少ないタイプの人は、自ずとこのルールの効力が逆に狭まってしまうというか、『自分がされてイヤじゃないことは他人にもしていい』、みたいな¨裏のルール¨が人一倍発動しやすくなっちゃったりして知らないうちにめっちゃみんなから反感買ってることも多いわけだ。
例えばおれはいきなり自分の髪の毛をはさみでチョキチョキ切られると噴き出して笑ってしまうわけなんだけど(一応怒ったふりはするけど内心めっちゃ笑ってる。悪ノリ大好きだから)、つまりこの「自分の髪の毛をいきなりはさみで切られる」を自分がされてイヤじゃないことにしてしまうと、さっきのルール通り「おれはいきなり髪の毛を切られてもイヤじゃない。だから自分がされてイヤじゃないことだから他人にもしていい」みたいにいつの間にかなっちゃってたときがあって、案の定中3のときなんだけどクラスメイトの上田くんと大喧嘩しちゃったよね。…殺すぞテメエ!とか言われて。思いっきり胸ぐら掴まれて。
いやほんと今書きながらちょっと笑いそうになっちゃってるけどほんとのほんとに当時は悪気は一ミリもなくて、マジで純粋無垢に「…え?!こういうのってノリじゃん!ノリで許せるじゃん!中3の悪ノリじゃん!…上田、お前は本気で怒っているのか?!」とちょっとしたカルチャーショックを、受けてしまったんだよね。ハサミと数本の切りたての毛を片手に。(我ながらアホすぎる)。
そのとき初めて、「…あ、自分がされてイヤなことは他人にもするな、っていうのは、自分がされてイヤじゃないことだから他人にもしていい、ということではないんだな」
そう気づいちゃったよね。もう15歳だったんだけどねそのとき。
自分がされてイヤなことが少なすぎる寛容的なタイプだったからこそ、俺の場合は他人にめちゃくちゃ迷惑をかけてしまうパラドックスが生じたのが印象的だったよね。
これはほんといい教訓になってて、他人と自分は許せる物事の範囲が違うんだなって言う基本的だけど大切なことを学びました。うん。今でもあのときのことは忘れられないよね。
上田くんあのときは勝手に髪の毛を切って本当にごめんなさい。
今度からはちゃんと許可を得てから切るように致します。
…で、話は変わって髪の毛と言えばなんだけど、俺は無職だから長年(7年くらい)セルフカットで頑張っている。
もちろん美容院にいって「お仕事何されてるんですか?」と訊かれるのを避けるためだ。
基本的に無職といえば日常で言われたくないワードがたくさんあって
「…あ!本物の無職さんだ!ちょっと写真に映らないよう気を付けてもらっていいですか?」
とか芸能人を見付けた感じなのに写真には映らないようにと逆の依頼をされたり、
他にも会員登録の用紙を書いてるときに「無職って職業欄にも(自分の)フルネームとか書いていつも怒られてるって本当ですか?」とか無職ならではのいじりかたをされてしまったり
「ホモになっても結局恋愛が出来なかったって本当ですか?」などとダメ押しで本当に救い用のない無責任なことばかり訊かれるわけだが
それでもやっぱり一番傷つく不動のナンバーワンは
シンプルに美容院で訊かれる
普通の言葉であるはずの「お仕事は何されてるんですか?」
に他ならない。
これだけは他の言葉と違って向こうに悪意がないからこそ最も大きなダメージを受けてしまうと言ってもいい。この言葉を聞きたくなさすぎて鼓膜に時限爆弾を仕掛けてから美容院に通う無職もいるらしいくらいなのだ。
「お仕事何されてるんですか…?」
そもそもこの
お仕事何されてるんですか?は、
仕事をしていない人だけじゃなく、仕事をしている人だって中には訊かれたくない人もいるかもしれない
だからわかってほしいのは
これを読んでる美容師のみなさんに
ほんとにわかってほしいのは、
自分がお仕事何されてるんですか?と聞かれても別にイヤじゃないからといって
他人にお仕事何されてるんですか?と同じように聞いてもいいとは限らないということなのだ。
お仕事何されてるんですか?と聞かれただけで鼓膜が爆発してしまう人も中にはいるかもしれない
お仕事何されてるんですか?が人間の命に関わる問題になる前に
一刻も早く
自分がされていやじゃないことだから他人にもしていいわけではないという人間関係の基本を改めて学び直してほしい。
美容師さん
まだまだあなたたちは社会のことを何もわかっていません
礼儀、マナー、作法
しっかり今一度見直してから無職の僕たちと向き合わなければなりません
つまりこれからは
「お仕事何されてるんですか?」
ではなく
くまのプーさんの名言(なにもしていないをしているんだよ)を見習って
「どんなお仕事をされてい¨ない¨んですか?」
と¨逆を聞く¨ようにしてみてください
そうしたらどんな無職の人でも
「…そうですね、火が嫌いなので消防士をしてませんね」とか
「…パイロットをしてないので空を飛んだことがありませんね」
とか
「…FBI捜査官ではないのでこのあと秋葉原のメイド喫茶に行く予定です」
などと堂々と胸を張って話が膨らませる時代が来ると思います
なのでカリスマ美容師のみなさん
これからはこの
「どんなお仕事をされてい¨ない¨んですか?」
を逆に取り入れてみてはいかがでしょうか?
職がある人も職がない人も
この質問なら胸を張って美容院に通えるようになると思います
ちなみに僕がしていないお仕事は医者と弁護士です
すみません
見栄をはって2つも言ってしまいました
読者のみなさん、あなたたちはどんなお仕事をされていないんですか?
是非今度お聞かせください
仕事がある人も仕事がない人も全人類がみんな胸を張って美容院に行ける社会を僕は望んでいます
ちなみに上田くんとはまだ和解していません
…ではまた来週。。。