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Twitterでポートレートモデルをやる女の子たち 「被写体」の女の子の一人に会ってきた

こんにちは。丸山ぬめりです。前回こういう記事を書きました。今回はその続きです。

彼女たちはなんで『被写体』になったんだろう?それが気になって仕方なかった。

そこで、Twitterで仲良くなった「被写体」の女の子、あいかちゃんに、「『被写体』のこと聞きたい!」と言ったら、「いいよ!せっかくだから遊ぼうよ!」と言ってくれて、原宿で待ちあわせをして会うことになった。

 

当日現れたあいかちゃんは、写真で見るよりもかわいくて(写真もかわいいけど、それ以上になんかオーラがあった)、テンションがあがった。

さっそく入った定食屋さんで、「なんで被写体になったの?」と聞いたら、

「私の場合は少し特殊かも。有名なカメラマンさんがモデル募集していて、応募したら撮ってもらえることになって。その写真がTwitterでいっぱい拡散されて、すごくたくさんの人に見られて。それが嬉しかったから被写体やるようになって」

という答えが返ってきた。

「撮影はどれくらいしたの?」

「まだ10回くらい。ゆーて8ヶ月くらいしかやってないよ」

「危ない目とか、あわない?」

「まだないかな。何度かやりとりしてみて、信用できないなと思った人とはやらない。他の女の子の撮影を何度かやってる人とか、Twitterにちゃんと撮影した写真のっけてる人とか。ある程度そういうので判別できるから」

「トラブルはないの?」

「たまにあるよ」

そう言って見せてくれたLINEのやりとりからは、撮影データを渡す・渡さないで揉めに揉め(こういう撮影では、「被写体」の女の子にも撮影データを渡すのが普通らしい)、カメラマンが捨て台詞をはいてLINEのグループを退出する一連のやりとりがあった。

カメラマンが撮影中にあいかちゃんをムチで叩いたり、その様子を説明なく動画に納めたりしていたことで、ますます話がこじれているようだった。

不誠実なカメラマンもいたものだなあ、と思う一方で、あいかちゃんがLINEで常識的な対応をしつつ、言うべきことを言ってしっかり対応しているのに驚いた。

17歳なのに、すごい。 

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(写真は本人ではなくイメージです。)

「プロのモデルになりたい、とかないの?」

竹下通りをしばらく歩いてから入ったカフェで、あいかちゃんにそう聞いたら、予想外に「全然」という答えが帰って来た。

「被写体やってる子はなりたい子もいっぱいいるみたいだけどね、私は別に」

「そうなんだ。『被写体』やってること、親御さんは知ってるの?」

「うん。普通にいってらっしゃーいって感じ」

「彼氏は?」

「知らない。そういうの苦手なタイプだから」

Twitterって、instagramとかに比べると、そんなに温かい雰囲気でもないと思うんだけど、いやな目にあったりしないの?」

「『ブス!』くらいならしょっちゅう言われるよ。2ちゃんにも書かれたし。でもそういうの気にしないタイプだから大丈夫」

そして、チーズケーキを食べた後、家族のお土産のチーズケーキを追加で買って、あいかちゃんは帰っていった。

 

話してみて思ったこと。

ぶっちゃけ、インタビューみたいなことがちゃんとできたとは全然思わない。ひと回り年下の女の子に一対一で会うのは、すごく怖くて、ドキドキして、いっぱいいっぱいだった。

ただ、なんだか彼女の「子どもっぽさ」と「大人っぽさ」みたいなものが混在している感覚が、すごく印象的だった。

「子どもっぽさ」っていうのは悪い意味じゃなくて。「多くの人が注目してくれて嬉しかった」「だから被写体をやってる」「人にかわいいって言われたい」みたいなのはすごく無邪気な感情だと思うし、彼女はそれを全然隠さない。

 一方で、「大人っぽい」っていうのは。彼女は自分が若くてかわいいことをよくわかっていて、どうすれば自分がよりかわいく見えるかも熟知していて。

ものすごく冷静に、自分の「若さ」「かわいさ」にどれほどの価値があるのかを、測り続けている印象を受けた。

そういう意味では、彼女はめちゃめちゃ狡猾だ、と思う。

 

自意識過剰で、タフで、狡猾で。

 「ネットに顔を載せることが怖い」なんて時代ではもうないもかもしれない。女の子がこぞって「読者モデル」になりたがる時代でもないのかもしれない。

「被写体」になった彼女たちは、「被写体」という名前でありながら、実のところはどんなモデルよりも、はるかに能動的な「被写体」なんじゃないだろうか。

 

おわり。