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 カタツムリを主食とするヘビの一種が、カタツムリの殻の巻き方を目で見分け、食べにくい大きな左巻きを避けているとする研究結果を、タイ・チュラロンコン大のパチャラ・ダナイサワ研究員と信州大の浅見崇比呂教授(進化生物学)らのチームが発表した。爬虫(はちゅう)類が物の左右を視覚で判断できる可能性を示したのは世界で初めてという。

 このヘビは、東南アジアに生息するセダカヘビ類の一種「トガリセダカヘビ」。下あごの右側の歯が左側より多く、右巻きが食べやすいようになっている。生息地には左巻きのカタツムリもいる。

 チームはこのヘビに巻き方や大きさが異なるカタツムリを繰り返し与え、行動を観察した。右巻きの場合、殻の大きさにかかわらず近づいたが、左巻きの場合は、殻が小さいと近づくが、大きいと近づかない傾向があった。殻から身を引き出して食べるペースも調べ、右巻きだと殻が大きいほど効率よく食べられるが、左巻きは大きくなっても効率がよくならないことも確かめた。

 浅見さんは「目で左右を区別できる可能性があるというのは、爬虫類の専門家にとっては衝撃的だろう。学習したのではなく、適応進化の結果の可能性がある」と話している。論文は5日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。(合田禄)