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 環太平洋経済連携協定(TPP)に関する衆院特別委員会の西川公也委員長(自民)が出版する予定だったとされるTPP交渉の内幕本が、インターネット書店の一部で購入予約が出来なくなっていることが8日、明らかになった。

 同日午前のTPP特別委で、民進党の緒方林太郎氏が指摘した。特別委員会は、この問題を巡る政府答弁や議事進行に野党側が抗議して退席したため、審議が中断した。

 この本は「TPPの真実」で、民進側は7日の特別委で出版前原稿とされるコピーを提示。「アメリカは従来の原則論から譲歩すると水面下で打診してきた」などと交渉過程を明らかにした記述があり、交渉で定めた守秘義務違反に当たる可能性があるとしていた。

 緒方氏は、7日の段階では大手通販のサイトで紹介され予約を受け付けていたが、8日朝には検索できなくなっていると指摘。「官邸から消せと指示を出したのか」とただしたが、安倍晋三首相は「そういう(出版する)事実について全く認識していない」と否定した。

 また、執筆に国家公務員が関わった可能性を問われた石原伸晃TPP相は「(民進が示した)コピーが何であるかが実証されていない以上、コメントを差し控える」と繰り返した。西川委員長は質疑を続行するよう求めたが、民進側は「こんな不公正な議事運営はない」と強く反発。政府側の答弁姿勢に抗議して退席した。

 菅義偉官房長官は午前の会見で「国民にとって関心があるのは、TPPの中身だと思う。やはり国会で、堂々と出てきて審議を行うことが大事ではないか」と述べた。