RPGが退屈になってしまった理由 其の2
2011年11月3日 ゲーム論この文章は以前のブログに掲載していたものです。
こちらで続きを書くために、若干の加筆訂正を加えてサルベージしました。
前回:http://digitalrokumon.diarynote.jp/201111032005213803/
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前回はRPGにおいて欠かせぬ要素のひとつである「物語性」、それがもたらすアンチシナジーについて述べた。今回は先に挙げたもう片方、「キャラクターの成長」の影響について考えたい。
キャラクターを「どう」成長させるか。多少なりとも戦略を考えながらゲームをするプレイヤーなら、誰しも考えた事があるだろう。(まったく無い?GREEにでも行ってろ!)
FF5で白魔導師の火力不足を補うため召喚士と交互に成長させたり、DQ8でまず主人公のブーメランの攻撃力を上げたうえで剣スキルを伸ばす、などといったプレイは日本中至るところで当たり前に行われたものだ。
キャラクターを「なぜ」成長させるか。これは先の問に比べるとあまり意識しない場合が多い。これは、数字が増えていく事にカタルシスを覚えるから、つまり成長それ自体が目的なので、なぜ成長させるかを意識する機会が少ないためだ。しかしだからと言って、RPGの成長に目的が無い訳ではない。
キャラクターの成長は強敵に立ち向かうために行われる。レベル1では倒せなかったモンスターを、能力値を上昇させ対抗し得るキャラクターを作るためにプレイヤーはレベル上げをする。RPGの基本的な進行である、強敵の出現とそれに伴うレベルアップ作業というサイクルだ。
「どう」にしても「なぜ」にしても、目的があってそれから成長が行われる。攻撃力の低い白魔導師に火力を持たせたい、開幕1ターン目のメテオで即死してしまうのでそれに耐えられるようHPを強化したい、等々。成長そのものが目的である場合を別とすれば、成長は手段あって目的は強敵の撃破なのだ。そしてRPGのシステムはこの流れに逆行する。
先日テイルズオブエクシリアというゲームで、発売前にOP~EDに至るまでを網羅したネタバレが流布される事件が話題になったが、この事件からも解るとおり、RPGにおいてプレイしていない範囲の情報を得る事は忌避される。RPGはこれから先どう展開するか解らない状態でプレイをするのを推奨されるゲームなのだ。
どのキャラクターが離脱するのか、どんなキャラクターが新しく加入するのか、どのような強敵がどのような魔法を使ってくるのか。次に出てくるボスは炎系だろうか?それとも氷系?はたまたアンデッドか?この先どうなるかは進んでみないと解らない。
しかしそれでも、プレイヤーはキャラクターの成長を強要される。用意すべき対策は、敵が明らかになるよりも以前に準備しなければならないのだ。キャラクターを如何に成長させるかという戦略的要素が、ゲーム進行の都合に殺されてしまう一例である。
まだまだ続きます
こちらで続きを書くために、若干の加筆訂正を加えてサルベージしました。
前回:http://digitalrokumon.diarynote.jp/201111032005213803/
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前回はRPGにおいて欠かせぬ要素のひとつである「物語性」、それがもたらすアンチシナジーについて述べた。今回は先に挙げたもう片方、「キャラクターの成長」の影響について考えたい。
キャラクターを「どう」成長させるか。多少なりとも戦略を考えながらゲームをするプレイヤーなら、誰しも考えた事があるだろう。(まったく無い?GREEにでも行ってろ!)
FF5で白魔導師の火力不足を補うため召喚士と交互に成長させたり、DQ8でまず主人公のブーメランの攻撃力を上げたうえで剣スキルを伸ばす、などといったプレイは日本中至るところで当たり前に行われたものだ。
キャラクターを「なぜ」成長させるか。これは先の問に比べるとあまり意識しない場合が多い。これは、数字が増えていく事にカタルシスを覚えるから、つまり成長それ自体が目的なので、なぜ成長させるかを意識する機会が少ないためだ。しかしだからと言って、RPGの成長に目的が無い訳ではない。
キャラクターの成長は強敵に立ち向かうために行われる。レベル1では倒せなかったモンスターを、能力値を上昇させ対抗し得るキャラクターを作るためにプレイヤーはレベル上げをする。RPGの基本的な進行である、強敵の出現とそれに伴うレベルアップ作業というサイクルだ。
「どう」にしても「なぜ」にしても、目的があってそれから成長が行われる。攻撃力の低い白魔導師に火力を持たせたい、開幕1ターン目のメテオで即死してしまうのでそれに耐えられるようHPを強化したい、等々。成長そのものが目的である場合を別とすれば、成長は手段あって目的は強敵の撃破なのだ。そしてRPGのシステムはこの流れに逆行する。
先日テイルズオブエクシリアというゲームで、発売前にOP~EDに至るまでを網羅したネタバレが流布される事件が話題になったが、この事件からも解るとおり、RPGにおいてプレイしていない範囲の情報を得る事は忌避される。RPGはこれから先どう展開するか解らない状態でプレイをするのを推奨されるゲームなのだ。
どのキャラクターが離脱するのか、どんなキャラクターが新しく加入するのか、どのような強敵がどのような魔法を使ってくるのか。次に出てくるボスは炎系だろうか?それとも氷系?はたまたアンデッドか?この先どうなるかは進んでみないと解らない。
しかしそれでも、プレイヤーはキャラクターの成長を強要される。用意すべき対策は、敵が明らかになるよりも以前に準備しなければならないのだ。キャラクターを如何に成長させるかという戦略的要素が、ゲーム進行の都合に殺されてしまう一例である。
まだまだ続きます
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