東日本大震災の約1カ月前に発生したクライストチャーチ大地震。震災から5年を経たクライストチャーチの中心市街地は、新しい都市へと生まれ変わりつつある。
東日本大震災からさかのぼること約3週間前の2011年2月22日、ニュージーランド第2の都市クライストチャーチ付近を震源としたマグニチュード6.3の地震が発生した。震源の深さが約5キロと浅かったため建物の損壊が激しく、ビルの倒壊などにより185人の命が失われた。大半の建物が被害を受けた中心市街地は立ち入り禁止指定を受け、住民は郊外への避難を余儀なくされた。震災後の半年間で、約36万人が暮らしていたクライストチャーチから1万人以上が市外へと流出していった。
5年が経過した現在でも、市街地の復興は道半ばである。街のシンボルでもある教会は崩れたままで、修復の見通しは立っていない。街を歩くと、取り壊しを待つ廃墟が目にとまる。クライストチャーチ東部の一部地域は、液状化現象などにより居住地としては復旧しないことが決まった。被害を受けた10万軒以上の家屋の保険請求は、現在も続いているという。東日本大震災において被害の大きかった三陸沿岸の現場では「復興には数十年かかる」と聞くが、それはクライストチャーチでも同様だと感じる。
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