全日本空輸や日本航空、富士重工業など6社と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は火山灰が上空に舞ったり天候が悪かったりしても安全に飛べる航空機技術の開発を始めた。火山灰や大雪、雷が機体に及ぼす影響を減らす技術の開発に取り組む。悪天候によって行き先を変えたり、引き返したりする便数を大幅に減らし、航空機を安定して運航できるようにする。
研究の中心となるJAXAが7日、発表した。研究を進めるコンソーシアムを3月下旬に発足、このほか東京大学や気象庁などが協力する。
今の航空機は火山灰や雪、雷に弱い。火山灰がエンジンに入ったり、雪が翼に大量に付着したりすると、安全に飛べなくなる。雷を受けると機体が壊れることもある。日本は国内に活火山が110と多く、大雪になりやすいうえに、雷は年間を通して発生している。
コンソーシアムでは、JAXAが中心となって、噴火している火山の近くを飛ぶ際に内部に火山灰が入っても故障しにくいエンジンや雷が当たっても壊れにくい機体、雷を回避するためのセンサーなどを研究。富士重や日本特殊塗料などが雪が機体に付着するのを防ぐ塗料開発を進める。全日空や日航は必要な技術を提案するとともに、開発した技術を評価する。
3~5年ほどで要素技術の開発にメドを付け、その後は実証実験を重ねながら、航空機や空港で使えるようにする。要素技術が完成した時点で、海外の航空機メーカーにも参加を呼びかける。
国土交通省によると、2014年度に国内便の運航は年間約85万便あるが、悪天候のために行き先を変えたり、引き返したりする国内便は年間900便ほどあるという。燃料消費が増えて航空会社の負担が増すほか、利用者にも大きな影響が及ぶ。