マジックはアナログゲーム界に名を遺すであろう非常に優れたゲームではあるが、もちろん瑕疵が全く無いわけではない。私がマジックの中で最も気に入らない部分は、デッキ構築の段階で勝負が半分終わってしまう点である。

「デッキの相性差はプレイングで覆す事が難しい。だからどんなデッキを選ぶかがゲームに勝つ上できわめて重要な手順である」
多くのプレイヤーがこの認識を持っているはずだ。例えば、プロツアーで誰がどんなデッキを使ったかという話題に花を咲かせる事はあっても、準決勝2ゲーム目の第3ターンに赤白剣をプレイせずカウンターを構えた是非について議論が行われる事はほとんど無い。デッキ選択こそが至上の問題なのである。

しかし、ゲームとはそもそも対戦相手との技量の比べあいである。盤面から相手がどんな手を打つかを予測して、さらにその上を行く一手を打つ。この読みあいこそがゲームの本質だ。だから私はむしろ対戦が始まった後、プレイヤーが着席した後の行為にこそ、より重点が置かれるべきだと考えるのである。

どんなデッキを選ぶかという部分でも読みあいが成立する筈だ、と考えるプレイヤーもいるだろう。確かにその通りだ。その通りではあるが、その影響力があまりにも大きすぎるのが問題だ。スイスドローで一日に5回6回と対戦するとき、その全ての対戦について最初に選んだたった1回の選択が大きく影を落とす。例えばある日曜の朝、読みなのか気まぐれか、ともかくあなたはtier1の青白では無くそれを喰える赤単を選んだ。どういう訳か地元ではライフゲインとターボフォグの流行で、あなたは最初の選択を大いに後悔する事になる・・・
極端な例ではあるが、ともあれ1度の選択がマッチを跨いだ後にも延々引きずられるというのはゲームにとってはいささか不健全である。

どんなデッキを選んだか、ではなく、どんなプレイングを行ったか。もし私がM:tG2をデザインするのであれば、まさにこの点に注目してゲームバランスを構築するだろう。

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