『怪獣無法地帯』あらすじ
★放映日時 : 昭和41(1966)年9月4日
【火山噴火のために無人島になっていた多々良島に、
2年半ぶりに定点観測を再開することになり、
4人の先発隊が島に向かうことになった。
それから1週間が過ぎた。
だが、先発隊からは何の連絡もなかった。
さらに3日が過ぎた。
先発隊からはやはり何の連絡もなかった。
4人のことを心配した気象庁では、島に何らかの事故が起こったものと見て、
ついに、科学特捜隊に測候所員の救出を要請した-】
ムラマツらはジェットビートルで多々良島に向かうが、
到着したとたんに大きな怪獣と出くわす。
アラシは退治しようと鼻息を荒くするが、
ムラマツは測候所員の救出が先だと言った。
そして、二手に分かれて捜索活動を開始する。
アラシ・イデ・アキコは西のジャングル地帯を、
ハヤタとムラマツは東の溶岩地帯を調べることにした。
ジャングルを行くアラシは測候所員の作業着を発見する。
なぜかそれは血まみれであり、あたりに人影らしきものはなかった。
不審に思ったイデが連絡しようとするが、
周辺の磁場が狂っていたため、通信機は使えなかった。
アキコが綺麗な花をみつけてしゃがみこむが、
突然、大きな葉のようなものが動いてきて、彼女を縛り上げてしまった。
イデがアキコを助けようとするものの、彼もその植物に捕まってしまう。
アラシはスパイダーショットで大きな葉を焼き切り、
辛くも2人を助け出した。
一方でハヤタとムラマツは、地底から出てきた怪獣と遭遇していた。
持っていたナパーム弾で怪獣を倒すが、
ハヤタは崖から足を踏み外して転落してしまった。
そんななか。
ジャングルにいた3人は、森の影で動く赤い物体をみつける。
それは小さな怪獣だったが、凶悪な感じはしなかった。
やがて、かれは松井所員のいる場所に3人を案内するのだが-。
ハヤタ : 黒部進
ムラマツ : 小林昭二
アキコ : 桜井浩子
イデ : 二瓶正也
アラシ : 石井伊吉
松井所員 : 松本朝夫
登場怪獣 :以下の画像を参照してください。
(敬称略)
※こちらのサイトで動画をごらんになれます。
感想
前回のミステリアスな話から一転、
今回はたくさんの怪獣が暴れまわるワイルドな内容となりました。
作品にメリハリをつけて飽きさせない手法はさすがですね。
ウルトラシリーズのコアなファンにとっては、
脚本が金城哲夫・上原正三というゴールデンコンビなのも嬉しいです。
金城先生はウルトラシリーズの企画発案に携わった方で、
円谷プロダクションの文芸部のトップを務めました。
また、上原正三先生は彼の盟友であり、
のちに「帰ってきたウルトラマン」のメインライターになっています。
両先生が手がけた作品は本当に秀逸なものが多く、
いまだに語り草となっているものもあるんですよ。
そんな2人が作った「怪獣無法地帯」ですが、
ハヤタは『怪獣動物園』と言っていましたね。
科特隊一同が島に到着した時、
とぐろ怪獣レッドキング(右)と、有翼怪獣チャンドラー(左)が、
何が原因なのかはわかりませんが、1対1のタイマンを張っていました。
両方とも怪獣語で叫んでいたので、
縄張り争いのようなものだったのかも知れませんね。
この対戦は、「俺強ええ!」的なレッドキングが、
チャンドラーの翼をもぎとったことで、あっさりと勝ちました。
でも、途中で「お前ら、うるさいぞ!」と言わんばかりに、
地底怪獣マグラーが顔を出しています。
かれはムラマツ・ハヤタ組のナパーム攻撃によって、
あえなく撃沈されてしまいました。
この3体は、いわゆるオーソドックスな怪獣たちですが、
私はもうひとつ出てきたタイプが苦手なんですよ。
ジャングルの中って、まるでロープレのダンジョンみたいですが、
この写真の右端にある長い葉のようなものが怪獣なんです。
正確には怪奇植物で名前をスフランといいます。
植物なのでタイマン怪獣のような鳴き声は出しませんが、
葉のような触手を使って、アキコとイデを絞め殺そうとしました。
ロープレだと間違いなくHPとかMPを吸い取るタイプですね。
最初にこの話を観たとき、
すごく怖くて、スフランが夢に出てきた記憶があります。
私の場合は巻きつかれたんじゃなくて、
かれに追いかけられたんですけどね。
ネーミングはお菓子みたいで可愛いんですが、
なかなかどうして侮れないモンスターでありました。
多々良島は弱肉強食で良心のあるものはいないのか・・・と思いきや、
唯一、ピグモンだけは人間を理解して助けてくれました。
負傷した松井所員の世話をたったひとりでしていて、
アラシたち3人に彼の居場所を教えたのでした。
石をぶつけられて亡くなってしまいました。
食うか食われるか、やるかやられるかの状況では、
優しい心をもった存在は不幸になってしまうんですね。
不器用で腹芸ができないために暗殺されたり、
誰かの面倒を見ることがあだとなって討ち死にしたり、
自分の分身である親友を、刺客からかばって命を落とす人がいました。
私には・・・多々良島がそういった世界の縮図のように見えましたよ。
ピグモンが亡くなって、なんともいえない気分になりましたが、
正義のヒーローは、圧倒的な強さでレッドキングを倒してくれました。
前回はウルトラマンが苦戦したまま終わった回だったので、
最後にスカッとできてよかったです。
ムラマツキャップの台詞も素敵でした。
【これで、この島も南海の楽園に還るだろう。
だが、自然はこの夕焼けのように、
いつも美しいとは限らないってことを忘れてはならない】
金城・上原のゴールデンコンビに拍手喝采です。