流通のカリスマ退場 セブン&アイ鈴木氏「私の不徳」

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2016/4/8 2:02
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 「世代が変わった」。グループの全役職から退くことを決めたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)は7日、このような言葉で大きな節目を迎えたことを表現した。自身が主導した子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長交代案には、社内で翻意を迫る意見があったが、聞き入れなかった。結果、議案は否決され、「流通のカリスマ」自身が退任する異例の展開になった。

■社長交代案を強行、社外取締役が「ノー」

 セブン&アイは7日、井阪隆一セブンイレブン社長の交代案を取締役会にかけた。ただ、交代案の提出を強行することで否決される可能性もあり、幹部の中には「会議の前日の夜まで、鈴木会長案への賛成票を取り付けようと走り回る人もいた」(セブン&アイ関係者)。

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 鈴木会長が積み上げてきた実績は疑うまでもなく、「人事案の採決がどうなろうと、鈴木会長が辞めるような事態だけは、絶対に避けなければいけない」(別の関係者)と懸念していた。

 それでも鈴木会長主導による交代案は取締役会に提出された。背景には鈴木会長の井阪氏に対する厳しい目があり、リーダーシップに疑問を抱いていたという。鈴木会長は「井阪氏が作り出した新しいものはない」とも周囲に漏らしている。7日の記者会見でも、井阪氏は否定しているが、鈴木会長は「井阪社長からは、彼が1人でセブンイレブンの成長を支えてきたという趣旨の発言があった」と発言した。

 個人消費の不透明感がぬぐえない中、セブンイレブンは業績好調だ。中興の祖である鈴木会長が求める理想像は高く、井阪社長の交代について独自の「センサー」が働いたのかもしれない。ただ、円滑なトップ交代を醸成していったとはいえなかった。取締役15人のうち7人が鈴木会長の人事案を支持した一方、2人が棄権、6人が反対した。

 今回、セブン&アイの鈴木会長の電撃退任は、「物言う株主」として知られる米投資ファンド、サード・ポイントや、セブン&アイの社外取締役の存在も大きかった。

 サード・ポイントがセブン&アイの株を取得したことが明らかになったのは、2015年10月のこと。16年3月には「井阪氏の社長職を解く噂を耳にしたが降格は理解できない」との書簡を送り、セブン&アイ側をけん制した。

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