中国、報道とネット規制 「パナマ文書」疑惑

 【北京・相本康一】中国の習近平国家主席らの親族がタックスヘイブン(租税回避地)にある法人を利用していたとされる問題をめぐり、中国共産党・政府が情報統制に躍起になっている。国内メディアの報道は原則認めず、インターネットも規制。反腐敗運動のさなかだけに、神経をとがらせているようだ。

 「論評するつもりはない」。中国外務省の陸昊報道局長は7日の記者会見で、海外メディアの質問にそう繰り返した。中国メディアが報じていないことについては「メディアに直接聞いてください」と答えた。

 中国では政財界要人による資産の海外移転が問題化。習指導部は監視を強めてきた。「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が入手した内部文書「パナマ文書」では、習氏に加え、党序列5位の劉雲山・政治局常務委員と同7位の張高麗筆頭副首相らの親族も名前が挙がっており、衝撃は大きい。

 中国の検索サイトで「パナマ文書」を調べると、「関係法律と政策に合わないため、表示しない」との一文が出る。ネット上の書き込みも当局が削除しているとみられる。問題を伝えたNHKのニュース番組は7日も数分間中断され、画面が真っ暗になった。

 中国メディアではほぼ唯一、党機関紙、人民日報系の環球時報が社説で取り上げている。5日付では「非西側世界の指導者に打撃を与える新しい手段だ」と批判。7日付では、今回の報道に米情報機関の関与を疑うなど警戒心を示した。いずれも、中国の指導者に関する記述は一切ない。

=2016/04/08付 西日本新聞朝刊=

Recommend

Recommend