【パナマ文書の衝撃】中国の新旧指導者の親族らの名が 故毛沢東主席の孫の夫も 権威利用のビジネス風土
世界の要人らが租税回避地(タックスヘイブン)を利用していたことを示す「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)の入手資料「パナマ文書」で、名指しされていた中国共産党政治局常務委員会の新旧メンバー8人の親族らについて、氏名などが判明した。
すでに伝えられた習近平国家主席の義兄に加え、故毛沢東主席の孫の夫らが含まれている。
新旧高官8氏の親族らが関与した租税回避地の法人は、実態不明だ。租税回避地の法人は脱税や資産隠しに利用される懸念が強いだけに、汚職摘発を進めてきた習政権はこの文書の流出に神経をとがらせている。
不動産開発などを手がける習氏の義兄は、文書の流出元となったパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」を通じて、租税回避地として有名な英領バージン諸島で相次ぎ3社を保有していたことが判明。このうち1社は2007年に解散し、残る2社は習氏の総書記就任と同じ2012年から休眠状態とされる。
現役指導部では、イデオロギー工作を担当する劉雲山氏(序列5位)の義理の娘と筆頭副首相の張高麗氏(同7位)の義理の息子も別の法人に関与していた。
過去のメンバーでは、毛主席の孫の夫や故胡耀邦総書記の息子の名が登場する。存命の元高官関係者では、李鵬元首相や国家副主席だった曽慶紅氏、全国政治協商会議(政策助言会議)主席を務めた賈慶林氏のいずれも親族が、それぞれ現地の法人に関与していた。
このうち李鵬氏の娘、李小琳氏は、父の権力基盤だった中国の電力部門で要職を務める実力者。夫とともに「コフィック・インベストメント」という法人を実質的に所有していた。
中国高官の親族の名が繰り返し浮上する背後には、政界大物の「権威」の下で、ビジネスが有利に運ぶという中国の風土がかかわる。中国政府は引き続き文書に関係する情報の規制を強めている。高官の親族が租税回避地の法人に関与しているとの文書は、14年1月にも暴露され、今回のパナマ文書と一部の人物は重なっている。