(cache) 「ほんとうに幸福な自転車乗り　ロードバイクについて森幸春さんと話したこと」エンゾ早川、森幸春

エンゾ早川氏はR134で何度か見かけたことがある。

本屋の自転車コーナーに行くと必ずこの人の本が置いてあるので、顔と名前は随分と前から知っていた。個性的な言動が多いせいかネットではよく叩かれているそうだ。「炎上キャラ」として扱われているのも知っている。僕はロードバイクに詳しくないので彼が正しいのか間違っているのかはわからないが、そういう極端な考えを持っている人はそれなりに面白いので関心は持っていた。

この本はそんなエンゾ氏と昨年逝去された森幸春氏との対談をまとめたものだ。森幸春氏についてもこの本で初めて知ったのだが、ロードバイク界ではレジェンド級の人なのだそうだ。対談と言っても自転車好きのオッサン二人がグダグラと飲み食いしながら「自転車駄話」に興じているようなノリで終始リラックスムード。こっちも適当にグダグダしながら気楽に読ませてもらった。

エ：最近、街はいよいよ自転車ブームになってて。こないだ怒られた話、しましたっけ？さっきの風邪からようやく治って「リハビリがてらに乗らないとなあ」と思って、ちょっと暖かくなってきたお昼どきに乗ってたんですよ。そしたら、対向車線の方から男の子の二人組が来てて。（中略）そしたらいきなり対向車線から「おい、ノーヘル！」って怒鳴ってきてさ。

も：信号待ちで？

エ：いや、普通に走りながら。134（号線）ってけっこう道幅が広いのに、あっちからこっちへ、わざわざ。「エンゾ、わざわざ怒鳴られるの巻」ですよ（笑）

も：私が一緒にレースやってる知り合いが「ヘルメットかぶらないとだめだよぉ！」って、前からやってきた自転車乗りに言われたんだって。彼は「うるさい！」って言い返したらしいけど（笑）。

エ：オレもそういうタイミングだったら、「うるさい」って言えたのに。

も：何が「ヘルメットかぶれ」だよなぁ。

エ：うん

も：「ヘルメットかぶれ」って言うのに「いいじゃないか、うるさいよ」って言ったら、向こうはすごくむくれちゃったんだって。むくれるってことは「オレの言うことをきかないのか」ってことでしょ。そういう気持ちが言葉の調子に出てたからこそ、彼は「うるさい」って言ったんだと思うの。純粋な善意のつもりかもしれないけど、そういう一方的な言い方はね。

あ～、そういうのありそう。プロテクターを強要してくるようなのはオフロードバイクに乗ってた時にも見かけた。林道ツーリングに行こうって時に、やれブーツだ、ニーブレイスだとうるさい人。そんな装備はクローズコースを本格的に走る時に揃えれば十分。林道ツーリングでそんなもんいらないよ。正義や善意を傘に着て人に説教したがる人種というのはどこにでもいる。先日も電車でタブレットいじってる乗客にキレて包丁振り回した老人がいたっけなあ。

個人的にはヘルメットは着用したほうがいいと思ってる。僕自身は必ずかぶる。一度それで救われたことがあるのでヘルメットなしは考えられない。とは言えそれは完全に人の自由だろう。ヘルメットってかぶることで集中力が削がれて余計に危ない、という人もいるかもしれない。好きやればいい。

エ：最近、後ろから追い越しざまに、ものすごく大きな声で「こんにちはーっ！」とか言う人が増えてるんだって。で、いきなりだから、ビックリしちゃって危ないときがけっこうたくさんあるらしいよ。うちのカミさんもトレーニングでたまに自転車乗ってて、けっこう長く134を走ってるんだけど、一度、やっぱりおじさんに後ろからでっかい声で「こんにちはー！」ってやられたらしいのね。で、「危ないからやめてください」って言ったんだって。（中略）まあ、「こんにちはー！」ってやるのはだいたいおじさんだって言ってた。そういう人って、ちょっと前まではランニングとかやってたのかもね。

も：自転車のマナーを知らないんでしょうねえ

エ：挨拶するのは悪いことじゃないから、一概に「するな」とは言えないんだけど、後ろからいきなりってのは驚くし、集中してトレーニングしてるときだったら、すごく迷惑ですよね。

も：ランニングでもたまに見るけど、あれとはスピードエリアが違うからね。

エ：そうそうそう、ランニングはね、よくやってますね。でもあれ、うざったいですよ。すれ違いざまに「こんには！」「こんにちは！」って手を振って。そういう挨拶することで仲間意識みたいなものを持ちたい人が大勢いるんだけど、ちょっと、自転車の世界にもそういう人が増えてきたんですよね

僕は後ろから追い抜きざまに挨拶されたという経験はないけど、そういうベタベタしたのが嫌だというのはわかる。僕もそういうノリは得意ではないから。と共感してたら、