中国国内にいても、日本を含む海外の報道に触れることは決して難しいことではない。しかし、中国国内において中国の情報に触れることが難しい場合がある。それは中国にとって都合の悪い情報だ。中国に不利な情報は報道すらなされない場合が多いからだ。
インドネシアの高速鉄道計画は中国が受注したものの、その後の書類の不備などによって出足から躓いてしまった感があるが、中国国内では計画は順調であり、何ら問題ないという見方が一般的だ。こうしたなか、中国メディアの電纜網は、インドネシア高速鉄道を受注したことは中国にとって非常に良い経験になると前向きな見方を示している。
記事はまず、中国高速鉄道がこれまで収めてきた成功について、「中国はドイツや日本から多くの技術を学び、さらに技術を発展させてきた」と主張。中国ではこれまで「中国高速鉄道の性能や技術はすでに新幹線を超えた」などという声は聞かれたが、記事は「安全性」までも新幹線を超えたと主張している。
その根拠として、総延長に対する事故の発生回数を挙げ、中国高速鉄道は世界最長の鉄道網を構築している一方で、事故の発生回数は相対的に少ないと主張した。しかし、営業年数や事故の程度については触れておらず、当然2011年に多数の死傷者を出した衝突事故には触れられていない。
さらに、中国高速鉄道はインドネシアにおいて日本と受注競争を繰り広げて勝利したとし、インドネシア高速鉄道の建設を請け負う中国企業の責任者の話として、「今回のインドネシアでの経験は今後、中国が高速鉄道建設を各地で請け負ううえで土地問題や建設工程での問題解決に生かされるはずだ」と伝えた。中国国内で高速鉄道を建設するうえでは、共産主義国であるため当局によって土地を強制収用することができるが、インドネシアのみならず民主国家では中国国内のような強引な土地の買い上げは不可能だ。インドネシアの高速鉄道を請け負う上で、こうした中国国内との違いは「勉強になった」ということだろう。
インドネシア高速鉄道は1月21日に起工式が行われ、3年で完成させると宣言していたが、いまだに全面着工したとの報道はない。中国国内では今なお、インドネシア高速鉄道計画は順調に進んでいると報じられることが一般的だが、果たして2019年の開業に間に合うのか、今後の進展を期待したい。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
中国高速鉄道は「安全性」すら新幹線を超えた!インドネシアでは「勉強になった」
2016-04-06 06:32