パナマの法律事務所の内部文書が流出し、世界の指導者や著名人がタックスヘイブン(租税回避地)を利用した「資産隠し」を行っていた疑惑をめぐり、米司法省など各国当局が調査に着手した。リストアップされた関係者の中には、「反腐敗運動」を掲げて権力集中を図ってきた中国の習近平国家主席の親族もおり、政権基盤を直撃しかねない事態だ。
「大企業や富裕層の税金逃れは中間所得層を犠牲にしており、雇用や利益を海外に流出させている」
オバマ米大統領は5日、ホワイトハウスでの記者会見で世界を揺るがす「パナマ文書」に言及し、こう非難した。
米財務省は前日、海外企業との合併・買収(M&A)を通じた課税逃れを防ぐ規制の強化を公表したばかり。オバマ政権としては、蔓延(まんえん)する“脱税スキーム”への対決姿勢を鮮明にした格好だ。
米司法省も、米国の法律に抵触するかどうかを見極めるため、「パナマ文書」の調査を進めているという。ロイター通信が報じた。
こうしたなか、騒動の推移を固唾をのんで見守っているとみられるのが習氏だ。
「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)がウェブサイト上に公表した情報によると、習氏の姉の夫が、タックスヘイブンとして有名な英領バージン諸島のペーパーカンパニー2会社のオーナーになっていたという。この姉夫婦をめぐっては、2012年に米メディアが、不動産事業などで多額の資産を保有していると報じている。