久永隆一
2016年4月7日22時17分
公的年金積立金の運用をめぐり、野党が追及を強めている。安倍政権が運用資産の株式比率を倍増し、2015年度は巨額の運用損が出る見通しのためだ。ただ、運用成績の公表は参院選後となりそうで、民進党からは「選挙対策の損失隠し」との批判も出ている。
年金積立金の毎年度の運用成績は過去5年、7月上旬に公表されている。だが、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3月末、15年度分の公表日を7月29日と決定。参院議員の任期満了日は7月25日のため、参院選後となる可能性が大きい。
民進党の玉木雄一郎氏は7日の衆院特別委で、同僚議員の試算を踏まえて「5兆円もの損失が生じているのではないか」と指摘し、公表の前倒しを迫った。損失が5兆円規模になるとの試算は、SMBC日興証券の末沢豪謙(ひでのり)・金融財政アナリストら複数の専門家も出している。
これに対して安倍晋三首相は、株式の比率を倍増した14年10月から昨年末までに運用益が8兆9千億円に上ると強調。「意図的に隠しているかのごとく言うが、そんなことはない。その必要もない」と反論した。(久永隆一)
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