セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)が7日、東京都内で開いた記者会見での一問一答は以下の通り。
――引退を決意したのはいつか。
「(セブン&アイの)村田紀敏社長らに集まってもらい、きょう退任を決意したと伝えた。(セブン―イレブン・ジャパンは)5期連続で最高益を出し、2017年2月期も最高益を達成できるだろう。『グループのお荷物』といわれているイトーヨーカ堂も見通しが立てられるようになり、(退任によって)逃げ出すわけではないと納得できたのがきょうのことだ」
――同日開催の取締役会でセブンイレブンの社長交代の人事案が否決されたのがきっかけか。
「(社外4人を含む)取締役15人が表決の権限を持っており、会社案への反対が6、賛成が7、白票が2で賛成票が過半数に達しなかった。反対票が社内から出るようなら、もはや信任されていないと考えており、票数は問題にしていない」
「席上で(退任を提案した)井阪隆一社長からは彼が1人でセブンイレブンの成長を支えてきたという趣旨の発言があった。このままの体制を続けていては将来に禍根を残すと思った」
――人事案について、指名報酬委員会で説明不足な点はなかったのか。
「委員会では5時間かけて説明・議論した。時間はなかったということはないと考えている。5期連続で最高益を達成した社長を辞めさせることは世間の常識が許さないということだった」
――鈴木氏の後任や新たな経営体制は。
「これからみんなで相談してもらう。私が指名することはない。会社の人事案は否決されたが、井阪氏が信任されたわけではない。引退を発表した私もあすから来ないという無責任なことはできないが、新体制に立候補するつもりもない」
――井阪社長の後任に鈴木会長の次男であるセブン&アイの鈴木康弘取締役が就く可能性はあるのか。
「なぜ息子の話が出てくるのか。社内でも(そうした話が)飛び交っていると聞き、驚いた。考えてもいない話を社内で言われるのは、私の不徳のいたすところだ」
――今回、井阪氏の交代案に創業家の伊藤雅俊名誉会長も反対した。
「伊藤名誉会長らの資本そのものは全体の10%ほどで、そのこと自体が経営に大きく影響する関係ではない。小売業、なかんずくフランチャイズチェーンビジネスを考えると、そこにきちんとした見本をつくるのが私の使命だ」
「伊藤家の意向もあるが、このままでは大株主でもない株主からも経営に口を挟まれることも想定される。コンビニエンスストアを総反対の中でつくってきた私としては資本と経営の分離が大事だという思いがある」
――グループの成長に鈴木会長の貢献は大きかった。なぜ伊藤名誉会長らの理解を得られなかったのか。
「それは言いにくい。勘弁いただきたいが、世代交代があったということだ」
――伊藤名誉会長は創業者、セブンを育てた鈴木会長は中興の祖。伊藤氏側から見れば、この記者会見は欠席裁判にならないのか。
「今までは良好な関係にあった。ここにきて急きょ変わった。以前は私が提案したことを拒否されたこともなかった。世代が変わった。抽象的な言い方だが、それで判断してもらいたい」
――後継者を育てられなかったのか。
「不徳のいたすところだ」