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トコジラミ(南京虫)沖縄でも急増 激しいかゆみ、病院搬送も

沖縄タイムス 4月7日(木)15時57分配信

 戦後の害虫対策で根絶されたとみられていたトコジラミ(南京虫)の相談や駆除件数が近年、沖縄県内で増えている。全国でも増加傾向で、有害生物や害虫防除対策に取り組む県ペストコントロール協会によると、トコジラミと推定される相談件数は2007年のゼロから10年は24件、13年109件、15年114件と急増している。荷物や家具などから持ち込まれることが多く、同協会の下地常弘副会長は「海外から人や物が自由に入ってくるケースが増え、県内で増えているのではないか」とみている。
 日本ペストコントロール協会が国内で実際に確認した件数は10年度138件だったが、その後は右肩上がりで増え、14年度は548件。うち県内は11件となっている。トコジラミの発生した家庭が駆除業者に直接依頼することもあり、実際の件数はさらに多いとみられるという。
 県内では1人暮らしの高齢者がトコジラミの発生に気付かず長時間放置したため駆除が遅れ、全身をかまれて病院に運ばれたケースが数件あった。
 トコジラミは人の血を吸う吸血性昆虫で、成虫は体長5~6ミリ。茶色で暗い場所を好み、ベッドの裏や家具の隙間に潜む。(豊田善史)

■強い繁殖力 殺虫剤が効かないことも

 戦後、県内で駆除されたとみられていたトコジラミ。約1年の寿命で生涯200~500個の卵を産み、7日程度でふ化するなど繁殖力は強い。発生を知らずに全身をかまれて病院に運ばれたケースも出ており、周知が急務となっている。
 ベッドの骨組みや、ふすまと床の隙間などにカビのように見える黒いふんが残っていたり、部屋で数匹見つけたら、繁殖している可能性が高い。アパートや宿泊施設など、部屋が多数ある建物の1室から発生した場合、建物全体に被害が広がっている恐れがある。
 ベッドの骨組みや、ふすまと床の隙間などにカビのように見える黒いふんが残っていたり、部屋で数匹見つけたら、繁殖している可能性が高い。アパートや宿泊施設など、部屋が多数ある建物の1室から発生した場合、建物全体に被害が広がっている恐れがある。
 トコジラミにかまれると数日から数週間、発疹が出て激しいかゆみが続く。ただ毒性や感染症を媒介する危険はなく、かゆみ止めの軟こうを塗るなどが対応策となる。
 駆除方法は薬剤や加熱乾燥処理など。駆除業者らは「トコジラミは抵抗性があり、市販の殺虫剤が効かないことも多い。見つけたらまず保健所や業者に相談してほしい」と呼び掛ける。
 沖縄本島南部に住む女性(47)は3年前、自宅のアパートにトコジラミが発生した。夫や子どもの手足や首にかゆみを伴う発疹ができ、なかなか良くならない。ダニだと思っていたが、次第に部屋の中で見慣れない虫を見つけるようになった。
 インターネットで検索しトコジラミと判明。「約1年半、布団を頻繁に干し、ダニ用の殺虫剤や高温スチームなども使ったが効果はなかった」と話す。
 その後、害虫駆除専門業者のバスターズ(浦添市)に駆除を依頼。約7万円で家中を専用の薬剤を使って駆除した。布団やベッド、家具などに卵がびっしり付いており、気持ち悪くて処分したという。
 バスターズによると3年前からトコジラミの駆除件数が増え、昨年は30件。ことしは3カ月で前年を上回った。女性のように自分で駆除しようとしたができず、駆け込むケースが多い。同社の担当者は「早めに発見し、対処すれば被害は最小限に抑えられる」と助言した。

最終更新:4月7日(木)22時28分

沖縄タイムス

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