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2016年04月06日

【セミナー】『モンスト』の個性的なキャラクターを生み出す秘密とは 制作事例も交えた貴重な講演を取材

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クリーク・アンド・リバー社<4763>とミクシィ<2121>XFLAG™(エックスフラッグ) スタジオは、3月19日(土)、セミナーイベント「モンスターストライク×デザイン塾 ~モンスト・キャラクターデザインの裏側~」を開催した。

イベントでは、同社が運営する『モンスターストライク』のキャラクターデザインについて、個性的なキャラクターを生み出す秘密や、チームで制作することのメリットなど、エックスフラッグスタジオならではの制作手法や裏側も語られた。


 

■「キャラクターの厚みを増していく」…5つの制作工程


「モンスターストライク×デザイン塾」では、『モンスト』の制作手法や裏側を公開する貴重なセミナーイベント。

今回登壇したのは、エックスフラッグ スタジオ所属の『モンスターストライク』(以下、『モンスト』)イラストチームリーダーの只隈広明氏、イラストレーター/アートディレクターの鈴木景子氏のおふたり。只隈氏は、チームリーダーとしてイラストの制作管理をはじめ、グッズで使用されるキャラクター監修なども務めている。一方で鈴木氏は、『モンスト』に関わるイラストレーター/アートディレクターとして国内外問わず幅広くイラスト制作に携わっている。
 

▲只隈広明氏
 

▲鈴木景子氏

はじめに『モンスト』の制作手法として、5つの項目について語られた。ここからは、順を追ってデザイン工程について説明していこう。

1.キャラクターデザインのチーム構成
2.キャラクターの制作過程
3.制作事例
4.チームで制作する事のメリット
5.エックスフラッグスタジオならではの強み


『モンスト』では、キャラクターデザインを行うにあたり、イラストチームと企画チームの2チームが協力して手掛けている。その2チームでは、どのようなキャラクターにするのかなど、詳細を決めるキャラクターミーティングを毎日行っているという。

続いてキャラクターの制作過程について。キャラクター完成までの工程には、「テーマ・モチーフ決め」→「設定書の作成」→「チーム全体での確認」→「作画工程」→「完成」が存在。

はじめにキャラクターのテーマとモチーフを決めるために、ブレストをしながらアイディアを出していくという。『モンスト』では、月(約)2回開催される定常イベントがあるのだが、今回はそこで登場するキャラクターを例に説明が行われた。たとえば、テーマでは「戦隊もの」や「中世ファンタジー」、「北欧神話」「SF」など思いつくものをみんなで自由に言い合って、そこから掘り下げられるものを探していくとのこと。



テーマが決まったら、ブレストで出てきたアイディアから、実際にキャラクターとして魅力が引き出せそうなものを選定し、詳細を練り上げていく。「定常イベントでは、キャラクターが多くリリースされることもあり、この段階で男女比やモンスターのバリエーション、各キャラのストーリーなども決めていきます」と只隈氏。

その後、決定した内容を設定書に起こしていく。定常イベントでは、だいたいひとつのイベントに対して10キャラクターが存在し、バリエーションも含めると25体分にも及ぶ。具体的に設定書で決めている内容とは、「属性」「レアリティ」「性別」「キャラクターの設定」「シーン設定」「描いて欲しいポイント」「服装イメージ」「ポーズイメージ」「設定補足」など多岐にわたる。

キャラクター設定などは、たとえば熱血キャラなのか、ツンデレキャラなのかを決めること。シーン設定やポーズイメージについては、ただ攻撃しているのではなく、熱血キャラであれば拳の迫力、ツンデレであれば表情に加えて勝ち誇っている感じにするかといったように、細かな情報にも考慮して設定書を書いていく。

そして、作成した設定書をイラストチームと企画チームで再度確認し、ブラッシュアップを施していく。只隈氏はチーム全体での確認について「表現方法は適切か、しっかり魅力を伝えているのかなど、ここで話し合う場を設けるのは大切。必要に応じて繰り返し行うことで、キャラクターの厚みも増していく」と本工程の重要性を説明してくれた。

作画に入る前には制作担当者を割り振っていく。『モンスト』の場合は、チーム内で制作を行う場合と、外部制作パートナーに依頼する2パターンが存在。前者はそのまま設定書を渡して制作してもらうのに対して、後者はチーム内のアートディレクターをつけて一緒に制作していく。
 

いよいよ設定書をもとにキャラクターの作画開始へ。おもに制作工程では、ラフ制作→線画制作→彩色→仕上げの順で進行。各工程では、進捗やクオリティに問題がないかを毎日チェックしており、制作にブレがないかを見ていくとのこと。これらの工程を経てキャラクターは完成となる。



ここからは、具体的にどのようにキャラクターが制作されていくのかを、事例を交えて詳しく説明してくれた。


 

■奇想天外なキャラ設定のなかに細やかな配慮


今回は、2016年3月前半イベントの剣豪シリーズに登場する「佐々木小次郎」を例として解説。



前述した制作過程になぞると、テーマ決めの段階で「剣豪」、登場キャラクターは佐々木小次郎のほか、宮本武蔵、柳生十兵衛の3体が決まった。宮本武蔵や柳生十兵衛に関しては、男性キャラとして格好良くかつ渋く描くなどして、パブリックイメージを大事にしながらスムーズに決定したという。

そして、佐々木小次郎では巌流島の決闘シーンをヒントに、武蔵の到着を今か今かと待ちわびている、女性の気持ちに置き換えて、なんと武蔵と恋仲の“女子”という設定にアレンジ。なかなか大胆な設定ではあるが、鈴木氏は「斜め上の発想を実現できるのも『モンスト』の魅力。小次郎モチーフでなかなかこういう設定はない」と言葉を添えた。

1キャラクターに必要なクリエイティブは、3種類のバリエーション、それに伴うボール絵として、おおむね6枚必要となる。進化前の小次郎は、巌流島で武蔵を待っている姿を描写。時間通りに来ないが彼に対しては好意を抱いており、待ちながら花占いをしているあたりは女子らしさを表現。

進化後は、遅れてくる武蔵に対して、怒りのツバメ返しをお見舞いする決闘シーンが描かれている。じつは、武蔵の進化後と並べると対峙しているようにもなっている。そして、神化では遂に武蔵と結婚へ……。ここでは新居で洗濯中、賊の侵入にあい物干し竿で応戦するシーンが描かれている。ちなみに、小次郎の長剣がその昔、物干し竿と呼ばれていたことから着想を得ており、大胆なアレンジのなかにも歴史ファンをうならせる細かい設定を散りばめているのが特徴。

『モンスト』では、キャラクターのプロフィール画面などでテキストにてバックボーンを語るものが無いため、イラストだけで気付いてもらえるような工夫を出すのも大切のようだ。

佐々木小次郎のイラストは、外部の制作パートナーと共同で制作している。ラフ初稿にしてかなり描き込まれており、かつポーズにもブレがない。ただ、鈴木氏いわく、いくつか気になる点として、背景の岩、ツバメのエフェクトのバランス、衣装の豪華さなどを指摘。



たとえば、背景の岩について。そもそも『モンスト』のホーム画面上では、キャラクターの足元に土台のような背景があるため、佐々木小次郎の初稿ラフをそこに置いてみると、どうしても岩が空中に浮いているように見えてしまう。「実際にゲーム画面を見たユーザーさんに違和感を与えてしまう」ということで、やむなく削除したという。その分空いた隙間には羽織の裾を長くしてなびかせることで、勢いよく流れる画面構成に仕上げたようだ。ツバメのエフェクトについては、水の表現を強化。



▲ラフは第3稿で完成

続いてボール絵のラフだが、こちらは初稿の時点で一発OK。ボール絵を制作する際に意識していることは、ゲーム画面上に見ると小さく表示されてしまうため、潰れてしまうことはないか、必要以上に描き込んでいないか、シルエットで見たときに四角になっていないかなどに気を配るという。「ボール絵のようなデフォルメ作業は意外と難しく、度々修正が入ることが多いのですが、こちらは初稿で問題なく通過しました。」と鈴木氏。
 

線画についても太さなどでレギュレーションが定められているようだ。線画でチェックするのは、ラフのイメージを損なっていないか、ラフと比較して正しい線を起こせているかなどを確認している。こちらも初稿で通過、次の彩色へ。
 

彩色の初稿では、丁寧に塗り込まれているが、人物の縦の距離感の演出のほか、ツバメのエフェクトのスピード感の強調といったふうに指摘。ボール絵も含め、より効果的な光のライティングが出来ているのかなどをチェック。
 

最後にラフとの比較。構図は変わっていないが、描き込みや距離感ひとつでだいぶ華やかな印象になったことが分かるだろう。鈴木氏は「キャラクター性も最大限に引き出せて、魅力的なイラストに仕上がっていると思います」と言葉を添えた。
 

▲ラフの段階
 
▲完成


 

■妥協しないモノ作りを徹底して意識


只隈氏は、エックスフラッグスタジオのデザイン工程において、「チームで制作することのメリット」について説明してくれた。前述しているように『モンスト』では、チームで制作することを大切にしている。そのメリットとして、密なコミュニケーションが生まれることで、たくさんのプラスの効果に繋がっているようだ。たとえば、お互いの制作物を確認し合う事で向上心を高めあえたり、足りない部分をメンバー同士で補えたりなどが挙げられる。

チーム制作が実を結んだ案件として、2015年夏に発表されたアーサーの新しい進化の形である「神化」の制作についての話があった。『モンスト』でも圧倒的な人気を誇るキャラクターで、これまで以上に魅力的なものに仕上げる必要性があったが、当時は制作スケジュールがタイトな状況だった。そこで、チーム内のイラストレーターと連携して、キャラクターデザイン担当、線画の担当、彩色の担当と、行程が完了したものからタスキをつないでいくかの如く、各担当が作業を率先して行い、短い期間で魅力的なキャラクターとして仕上げることができたようだ。



また、エックスフラッグスタジオの強みについて、只隈氏は「制作におけるこだわり」であることを挙げた。日々チーム内で意見を出し合う徹底したキャラクターメイキング、相互のファンが楽しめるようにコラボにも全力の姿勢、何より本当に価値のあるものをギリギリまで考えて詰めて制作していく、妥協しないモノ作りを同スタジオでは意識しているという。

こうした徹底したこだわりを打ち出していけるのも、「ユーザーさんにもっともっと楽しんでもらいたいから」と語ってくれたおふたり。とくにやりがいを感じる瞬間として、只隈氏は「イベント会場で目の当たりにした大きな反響」、鈴木氏は「想いのこもったファンレターが届いたとき」を挙げてくれて、ふたりとも「やっていて良かった」「こだわって良かった」とユーザーからの生の声が励みになることを教えてくれた。

最後に只隈氏より「今後もエックスフラッグスタジオでは、友達や家族とワイワイ楽しめるバトルエンターテイメントを創出し続けていきます」と、力のこもった言葉でイベントを締めくくってくれた。なお、エックスフラッグスタジオでは、デザイン・企画・マーケティング、すべての職種で人材を募集している。
 
(取材・文:編集部 原孝則)
 
 
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会社情報

会社名 株式会社ミクシィ
設立 2000年10月
代表者 森田仁基
決算期 3月
直近業績 売上高1129億円、営業利益526億円、経常利益527億円、最終利益329億円(2015年3月期)
上場区分 東証マザーズ
証券コード 2121

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