沖縄の歴史・自然守る…「米軍基地は勘弁」
日米両政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還に合意してから12日で20年となる。毎日新聞のインタビューに5日に応じた沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は「日米安保体制は大変重要だと思っているが、将来の子や孫に沖縄の歴史や自然、文化を守っていくことが沖縄の保守政治家の役割だ」と述べ、普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設に反対する考えを示した。主な発言は以下の通り。【川上珠実、佐藤敬一】
−−合意から20年たっても普天間返還が実現していないことをどう受け止めているか。
◆遅々として進んでいないのは大変残念だ。日本全体の0.6%の面積の沖縄に全国の73.8%の米軍専用施設が戦後ずっと置かれているのに、沖縄県民の苦渋の思いを上から目線で見て、沖縄県内で物事を解決しようとしているのが前に進まない大きな原因だ。普天間飛行場をはじめ、県民自ら差し出した基地はない。辺野古に(新基地が)できれば、さらに100年、200年使えるとなり、県民にすれば絶対に許されない。
−−本土には沖縄への誤解もある。
◆沖縄は基地で食べているんだという誤解が、本土の方々や政府への免罪符になっている可能性がある。終戦直後は県民総所得の50%は基地収入が占めていたが、1972年の本土復帰時には15%、今は5%だ。経済を発展させ、県民の人権を守っていくという意味からすると、「米軍基地はもう勘弁してください」というのが大変正直な気持ちだ。
−−和解協議決裂後、新たな訴訟で敗訴した場合、どう対応するのか。
◆(政府から)埋め立ての変更申請があれば、当然、法令に従って対応していく。埋め立て承認以降の事由で私どもが了解できないことがあれば、撤回も視野に入れる。
−−普天間返還をどう実現していくか。
◆(政府に)抵抗したり、対立しているつもりはまったくない。沖縄の置かれている環境から日本国民の一人として正当な要求をしている。沖縄が主張することで、多くの国民の皆さんに日本の地方自治や民主主義の在り方を感じ取ってもらいたい。日本の安全保障も国民全体で考えてもらいたい。沖縄の基地問題が解決しない時、日米の民主主義は世界から認知されないだろう。日米安保体制がますます砂上の楼閣となっていく。