おすすめ漫画の人気記事を読んで思った。ぼくのおすすめとは乖離がある。
自身が面白いと思った漫画を、100作品ほど思い出してみる。選りすぐると、過去の名作ばかり。そして、大半が「大人の漫画」だった。それらを無理矢理、ランキング形式でまとめてみた。
35位.火の鳥
・手塚治虫
過去、現在、未来、に生きる人々。いつの時代も人間は変わらず、「生きたい」と願っている。人々の欲望を超越した火の鳥と読者だけが、真実を知っている。
34位.歴史劇画 大宰相
・さいとうたかを
「小説吉田学校」の漫画化。戦後の永田町を、自民党の立場から描く。日本の政治は誰がどのように動かしてきたのか。また、頂点に上り詰める田中角栄や中曽根康弘の権力闘争も見どころ。
33位.寄生獣
・岩明均
地球外生物に寄生された人間と、人間の戦いのドラマ。生きる理由を考えながら、戦い、ときに共存の道を探る。人間とは何か、生きるとは何か、を考えさせられる名作。
32位.月下の棋士
・能條純一
恐るべき将棋の世界。奨励会をはじめ、将棋界で活躍する天才たちの神がかった試合。フィクションとは分かっていても、震えてしまう。
31位.珍遊記
・漫☆画太郎
西遊記をベースにしつつ不条理な展開の連続。愛さずにはいられないキャラクターの数々。奇跡の漫画としか言えない。2016年映画化、無謀な試みに挑戦したスタッフ・キャストに拍手を送りたい。
30位.はだしのゲン
・中沢啓治
学校の図書館に置くか置かないかが議論になるほどの問題作。読んだ子供たちの心には、何が残るのか。世の中は非情なもの、自分の力で生きていかなければならない、という強いメッセージを感じる。
29位.AKIRA
・大友克洋
今、読んだら「普通の漫画」に思えるかもしれない。しかし、緻密に描かれた背景や、画面構成は、それ以前の漫画とはまったく異なる。本作がその後の漫画を変えたと言っても過言ではない。
28位.どろろ
・手塚治虫
劇画ブームで、作品が時代遅れと揶揄された天才。「ぼくの方がもっと面白く描ける」と、筆を手にして出来上がったのが本作。オールジャンル、あらゆる世代に向けて、名作を残し続けた天才の証。
27位.ブラックジャックによろしく
・佐藤秀峰
医療を通じて、生きるとは何かを問い続ける名作。「何も分かっていない研修医」が、理不尽で閉塞した社会に、ぶつかっていく姿に、心が震える。失敗し、学び、成長する一人の男の物語。
26位.ドラえもん
・藤子F不二雄
1巻と6巻と7巻と26巻を読めばいい説。年齢的にも精神的にも成長しないのび太。しかし、世代を超えて愛される作品であるために必要な設定。
25位.編集王
・土田世紀
「あしたのジョー」を読んで、漫画編集者を生涯の職に選んだ男の物語。心を鷲掴みにする名作、人の人生を変えてしまう名作、それを生み出そうとする魂のこもった名作漫画。
24位.激烈バカ
・斉藤富士夫
バカ漫画というより、「激烈」なバカ漫画。下品でバカでくだらない4コマ漫画がしこたま掲載される。本作のような4コマ漫画をいつか描きたいと思っている。
23位.東京大学物語
・江川達也
「学歴社会の日本」がテーマ。「お勉強よりももっと大切なことがある」という著者の主張が根底にある。また、随所にエッチなシーンを挿入し、読者の心を鷲掴みにした手法があざとい。
22位.ゲゲゲの鬼太郎
・水木しげる
子供の頃、ねずみ男が大嫌いだった。しかし、大人になってから読むと、ねずみ男のような人間も悪くはないと思う。彼をどう評価するかが、大人と子供の境目だと思っている。
21位.ガラスの仮面
・美内すずえ
演劇スポ根漫画。万難を排して役作りを行うマヤに狂気さえ感じてしまう。生きることは、演じることだと言わんばかり。演技の素晴らしさ、楽しさ、悲しさが描かれた演劇漫画の金字塔。
20位.国民クイズ
・杉元伶一/加藤伸吉
「クイズ番組」で世を統治する全体主義国家と転覆を目指すレジスタンスの戦い。おすすめした友達に「悪趣味だね」の一言を返された思い出深い作品。
19位.テルマエ・ロマエ
・ヤマザキマリ
お風呂に入りたい、銭湯に行きたい、温泉に行きたい、そう思わせる名作お風呂漫画。ローマの文化や歴史も学べることができ、一石二鳥。お得感のある名作。
18位.ドカベン
・水島新司
最初、柔道漫画だと思っていた。しかし、野球のプレイで、ライバルを失明の危機に追いやった山田太郎。自責の念から、野球をやらないと決めていた。いつも笑顔の彼、心の奥底には様々な想いが秘められている。
17位.ブッダ
・手塚治虫
仏教の祖である人間ブッダの物語。一人の人間が、地位も名誉もなげうって、生きる意味を知るために、苦行を経て悟りを開くまでの物語。
16位.ベルサイユのばら
・池田理代子
フランス革命前夜。貴族社会における政治と人間模様。マリーアントワネットを通して当時の歴史を学ぶことができる。教養として必読の名作漫画。
15位.サザエさん
・長谷川町子
今でも笑えるところが素晴らしい。もちろん、奇をてらったり、際どい描写もない。磯野家の日常が中心。昭和にみた日本の理想の家族像。
14位.サラリーマン金太郎
・本宮ひろ志
トントン拍子で出世する金太郎。自分次第で、めちゃくちゃなことをやってもいいんだ、と勘違いしそうになる。でも、間違ってないのかもしれない。
13位.加治隆介の議
・弘兼憲史
まだ、日本の未来に希望があった時代。待望された理想の政治家を描いた名作漫画。政治情勢よりも、政治家一個人が描かれている人間ドラマ。
12位.夏子の酒
・尾瀬あきら
日本酒を愛し、杜氏となった夏子の物語。お酒がどうやって、どのような想いで作られているのか。その一杯の背景にある人間ドラマに感動する。
11位.アドルフに告ぐ
・手塚治虫
「ヒトラーはユダヤ人説」に基づいた創作漫画。実際は違うらしい。この情報のために死んだ人々は犬死だったのかと残念に思うほどリアルな描写。
10位.家栽の人
・毛利甚八/魚戸おさむ
人をさばく裁判官。法廷や法定外で繰り広げられる人間模様。様々な背景を持ち、理由があり、犯罪やいざこざに巻き込まれる人々。人生を学べる名作。
9位.美味しんぼ
・花咲アキラ/雁屋哲
読み返すと、「食べること」に対して、今一度自分に問いたくなる。薀蓄だけではないドラマがある。見方によってはギャグ漫画としても楽しめる。
8位.課長 島耕作
・弘兼憲史
「古き好き日本の会社」が舞台となる名作漫画。かっこいい大人=島耕作、というイメージだった。実際には、漫画のようには上手くいかない。
7位.ナニワ金融道
・青木雄二
人はなぜ金に困り、金策に走るのか、お金にまつわる喜悲劇が凝縮された作品。法律を悪用する犯罪者との戦いでもあり、法律の必要性を学んだ一冊。
6位.MASTERキートン
・浦沢直樹/勝鹿北星/長崎尚志
考古学者・元英国軍と異色の経歴を持つ保険調査員の活躍。知的かつ人情味にあふれる名作エピソードの数々。いつ「ライオンと豹の報道」がなされるか気になる。
5位.風の谷のナウシカ
・宮崎駿
自然とは、社会とは、人間とは、生きるとは何か、読後、様々な思いがこみ上げる。宮崎駿作品の根幹に触れられる名作。決して子供向けではない。
4位.漂流教室
・楳図かずお
滅亡した未来にタイムスリップした小学生たち。極限状態の中、生き残りをかけて戦う。未知の生物や伝染病も怖いが一番は「狂った集団」だと思う。
3位.人間交差点
・弘兼憲史/矢島正雄
世に生きた「人間」を描いた名作。基本的に一話で一人が描かれる。全体的に重いテーマだが、世の無常、時代、人生について、考えさせられる名作。
2位.三国志
・横山光輝
魏、呉、蜀の三国が、覇権を握ろうとせめぎ合った時代。その大きなうねりの中、武力・知力、人間力で生き残ろうと、戦い続ける人々の壮大なドラマ。
1位.洗礼
・楳図かずお
老いに恐怖する狂気の大女優が、自分の子どもに脳を移植し成り代わる。そして、繰り広げられる愛憎劇。これを超える作品は未だ読んだことがない。
「大人の漫画」おすすめ35選 まとめ
本当は100選にしたかったが、内容を忘れていたりで見送った作品が多々ある。今後、読み直し追加する可能性もある。