News Up 新人気質が変化? こんな研修も

News Up 新人気質が変化? こんな研修も
4月から新年度が始まり、新社会人の中には「今まさに研修中です」という人も多いのではないでしょうか。新人研修というと社会人の基礎を学ぶイメージがありますが、一風変わった経験をして企業が求める力を養ってもらおうという新たな動きが出ています。
新年度が始まって1週間。「研修つらすぎる」「研修中ですが、辞めたい」「新人社員教育1日で辞めた」。ツイッターでは、こんな投稿も相次いでいます。
厚生労働省によると、大学を卒業してすぐ就職し、3年以内に退職した人は、ここ数年、3割に上っているということです。
「最近の若者は・・・」と言いたくなる人もいるかもしれませんが、子どもを取り巻く環境の変化が背景にあるという指摘もあります。企業の人材育成を行っている「リクルート マネジメント ソリューションズ」によると、少子化で一人っ子が増え、我慢する経験や、親や先生から叱られる機会が以前に比べて大きく減っていることが調査で分かり、困難にぶつかったときに、それを乗り越える力を失わせていると分析しています。
こうしたなか、企業側も研修の在り方を見直す動きが出ています。

早くも「辞めたい」

新年度が始まって1週間。「研修つらすぎる」「研修中ですが、辞めたい」「新人社員教育1日で辞めた」。ツイッターでは、こんな投稿も相次いでいます。
厚生労働省によると、大学を卒業してすぐ就職し、3年以内に退職した人は、ここ数年、3割に上っているということです。
「最近の若者は・・・」と言いたくなる人もいるかもしれませんが、子どもを取り巻く環境の変化が背景にあるという指摘もあります。企業の人材育成を行っている「リクルート マネジメント ソリューションズ」によると、少子化で一人っ子が増え、我慢する経験や、親や先生から叱られる機会が以前に比べて大きく減っていることが調査で分かり、困難にぶつかったときに、それを乗り越える力を失わせていると分析しています。
こうしたなか、企業側も研修の在り方を見直す動きが出ています。

お遍路さんで心鍛える

四国霊場を巡る「歩き遍路」。これを新人研修として取り入れている企業が相次いでいます。企画した大阪の「いっぽ一歩堂」によると、東京の企業など、これまでに100社以上が導入したということです。
およそ50キロを3日ほどかけて、少人数で巡礼しながら寺の清掃をするプログラムなどが用意されています。持ち物は地図のみ。コースには険しい山道もあります。困難に立ち向かう心を育てることがねらいです。
取り入れた企業からは「最後までやり遂げたことで、新入社員が自信が持てるようになった」といった意見が寄せられていて、毎年、社員を参加させている企業が多いということです。

暗闇の研修 記者も体験

最近、大手企業から注目を集めているのが、周りが全く見えない真っ暗闇の中での研修です。東京・渋谷区にある施設を使って行うもので、これまでに500社以上が取り入れました。
一体、どんなものなのか。この日、研修に訪れた東京の自動車関連機器メーカーの新入社員に同行しました。
携帯電話や腕時計など光を発するものは、すべて預け、つえだけを持って暗闇の中を移動します。部屋に足を一歩踏み入れると、そこは完全に光が遮られた暗黒の世界。自分の手元さえ見えません。圧迫感と恐怖がわき上がり、入って数十秒で引き返したくなりました。
しかし、次第に気持ちが落ち着くと、聴覚や触覚など視覚以外の感覚が研ぎ澄まされていくのを感じました。

研修では、部屋の中を移動しながら複数の課題に取り組みます。
その1つは、積み木で小さな家を組み立てること。参加者には、それぞれ違う形の積み木が渡され、お互いがどういう形のものを持っているのかは分かりません。このため、どんな形で、どのくらいの大きさの積み木なのかを参加者どうしが、ことばで伝え合いながら作業を進めます。コミュニケーション能力やチームワークがないと完成できません。
このほか、手さぐりで食事をする体験などがあって、およそ2時間にわたって研修が行われました。
研修が進むうち、前を歩く人が自然と後ろの人を気遣って、段差などに注意するよう呼びかけるようになっていました。お互いにまだよく知らない新人どうし、最初はもの静かな人が多いと感じましたが、終わるころには、積極的に声を掛け合うようになったのには驚かされました。
参加者の1人は「ふだんは積極的に前に出るタイプではないのですが、きょうは自分が頑張らなければと思えましたし、いい経験になりました」と話していました。

社会が求める“暗闇で必要な力”

この施設を運営する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン」の志村真介代表は「今の新人たちはSNSなどバーチャルなコミュニケーションには慣れていても、リアルなコミュニケーションが苦手な人が多い。体験によって参加者は、コミュニケーションの大切さをみずから気づいて、行動を変えていくことができるようになる。暗闇の中で相手の表情を思い浮かべるなど、想像力を広げるうえでも有効だと思う」と話していました。
失敗を繰り返しながら、みんなで困難を克服していく。こうした体験が、企業が求める力につながるのではないかと感じました。

丁寧なケアで研修生かして

こうした新入社員研修について、産業能率大学総合研究所の山田弘道主任研究員は「企業側は成果を出せる人間を求める傾向が強まっている。研修で、それまでの人生で体験したことのないような困難な経験をすることは間違いなくプラスになる。こうした経験を本来の業務に応用できるよう、その目的や意図を丁寧に説明していくことも大切になる」と話しています。

飛躍を期待 「ドローン型」世代

企業の採用動向などの調査や分析をしている日本生産性本部は、ことしの新入社員の特徴を「ドローン型」と名付けました。経済状況のめまぐるしい変化など、強い風にあおられながらも、技術革新によってさまざまな場面での貢献が期待できるという意味が込められています。今、まさに社会人としての一歩を踏み出した新人たち、未来を支える存在として大きく飛躍することを期待したいと思います。

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