バドミントン選手がカジノ店に 五輪出られない処分も

バドミントン選手がカジノ店に 五輪出られない処分も
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バドミントン男子のエースで、リオデジャネイロオリンピックで日本男子初のメダルが期待される桃田賢斗選手とロンドンオリンピック代表の田児賢一選手が違法性が疑われる国内のカジノ店に出入りしていたことが分かり、現在、所属先のNTT東日本から聞き取り調査を受けています。日本バドミントン協会では事実確認をしたうえで、代表としての資格停止など処分を科すことにしていて、代表の資格が停止されれば、桃田選手はリオデジャネイロオリンピックに出場できなくなります。
NTT東日本によりますと、遠征先のマレーシアから7日朝に帰国した桃田選手と田児選手は、東京・新宿区の本社で、午前9時から聞き取り調査に応じています。
一方、東京・渋谷の日本バドミントン協会では、6日にNTT東日本から「2人が違法カジノ店に出入りしていたと認めた」と報告を受けたということで、朝から職員が問い合わせの電話対応などに追われています。
田児選手は現在日本代表ではありませんが、桃田選手はことし1月に、今後1年間日本代表として活動するうえで、「不謹慎な言動、行動など、日本代表選手としてふさわしくない状況が見られた場合、代表選手の指定を外されても一切異議を唱えない」とする「誓約書」を自筆のサインつきで提出しています。今回の問題について、日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事は「想定外の事態で驚いているし、大変残念。事実確認のうえで、違法行為が認められれば、逮捕されたかどうかに関わらず、最悪の事態もありうる」と話し、桃田選手について違法な賭博行為が確認された場合は、資格停止などの処分が下されることになり、リオデジャネイロオリンピックへの出場は難しいという認識を示しました。
バドミントン協会は、7日に強化本部長などの幹部を集めた会議を開いて対応を協議するとともに、NTT東日本の聞き取り調査の結果を受けて、最終的に処分を検討するとしています。また、今後、およそ50人いるバドミントンの日本代表選手や、コーチやスタッフらに今回の問題について聞き取り調査を行うということです。

リオではメダルの期待も

桃田賢斗選手は、香川県出身の21歳。小学生の大会で日本一になった後、将来を期待されて福島県の富岡高校に入学し、4年前の世界ジュニア選手権で優勝しました。
そして、世界屈指と言われるネット際に落とすショットを武器に世界トップレベルの選手に成長し、去年は世界の上位8人だけで争う「スーパーシリーズファイナル」など3つの国際大会で優勝しました。
現在、桃田選手は世界ランキング4位で、ことしのリオデジャネイロオリンピックの代表入りが確実視されていたうえ、日本男子初のメダル獲得も期待されていました。また、プレーだけでなく、髪型やアクセサリーにもこだわる華やかなふるまいも人気で、ことしのプロ野球の開幕戦で始球式を務めるなど、人気と実力を兼ね備えた選手として、注目を集めていました。
田児賢一選手は、東京都出身の26歳。バドミントン選手だった両親のもと、幼い頃からバドミントンを始め、埼玉栄高校時代に2年連続で高校日本一に輝くなど、注目を集めました。
高校卒業後、NTT東日本に進んだあと、平成20年に全日本総合選手権の男子シングルスで史上最年少となる19歳4か月で初優勝し、それ以降、史上初の6連覇を達成しました。前回のロンドンオリンピックにも出場しています。

出入りした違法カジノ店は

桃田選手と田児選手が出入りしていたとしている店は去年、警視庁が違法カジノ店として摘発していました。この店は、東京・墨田区にある雑居ビルの1室でトランプを使ったいわゆる「バカラ賭博」で客に金を賭けさせていたとして、去年4月、警視庁に摘発され、店の店長や従業員ら合わせて3人が賭博開帳図利などの疑いで逮捕されました。
警視庁の捜査で、その後、店の経営者が逮捕されたほか、客を紹介していたとして住吉会系の暴力団幹部ら2人も
逮捕されました。一連の事件では、4人の有罪が確定しています。警視庁の調べで、この店は、おととし、平成26年11月ごろに違法な営業を始め、少なくとも去年4月までの3か月間におよそ1億円を不正に得ていたということです。
また、この店は会員制で、客の紹介がないと店内に入れなかったということです。店はすでに閉店していますが、警視庁によりますと、当時、少なくともおよそ380人の客がいたということです。

違法カジノ店の実態は

警察や関係者によりますと、違法カジノ店は、摘発を逃れようと、繁華街のビルの1室などに会員制の飲食店を装って店を構えているところがほとんどだということです。
店内では、トランプを使った「バカラ」や「ポーカー」、「ブラックジャック」といったゲームを金を賭けて行い、1回当たり1000円から1万円ほどの幅で金を賭けさせる店が多いということです。このうちバカラ賭博は、「バンカー」と呼ばれる「親」と「プレイヤー」と呼ばれる「子」のトランプの数字の大小を客が予想する簡単なルールで、初心者でも手を出しやすいということです。短時間で掛け金が何倍にもなるため、勝ち続けると大金を手にできる反面、負けが続くと大きな損失となり、さらに負けた分を取り戻そうと、店から借金してまで続ける客も多いということです。警察は、違法カジノ店の摘発を進めていますが、店の場所を頻繁に変えたり見張り役や防犯カメラで警察の動きを警戒したりしているため、実態の把握が難しいということです。

スポーツ界で発覚の賭博行為

スポーツ界では過去にも賭博行為が発覚し、選手たちには永久追放や無期の失格処分など厳しい処分が下されてきました。
このうち、昭和44年に発覚したプロ野球の「黒い霧事件」では、当時の西鉄ライオンズの選手が暴力団が関係した野球賭博に関わり、八百長を行っていたとして、複数の選手が永久追放処分を受けました。
また、去年秋に発覚した巨人の選手による野球賭博問題では、3人の投手が無期の失格処分に、1人の投手が1年間の失格処分となりました。大相撲では平成22年に力士や親方など27人が野球賭博をしていたことが明らかになり、現役の大関や、親方を解雇処分にしたほか、親方などが謹慎処分となりました。このほか、社会人野球でも平成24年に大阪ガスの野球部員18人が全国高校野球を対象とした賭博などをしていたとして、対外試合を6か月間禁止する処分を受けています。