プレゼン資料に説得力を持たせたい、◯◯の情報が欲しい、デザインのアイデアが欲しい、むしろ今自分が何を調べたいか調べたい。など、調べ物をする動機はさまざまですが、なかなか目当ての情報が出てこなかったり、そもそも取得した情報が嘘だった。ということも良くあります。じゃあ本当のことは一体……と、また調べ物を再開し、底なし沼にハマったように抜け出せなくなり、気付いたら3時間後にはwikipediaでまったく関係ない「宇宙」について調べていた。という経験は、誰にでも少なからずあるのではないでしょうか。
というわけで今回は、調べ物に使えるウェブサイトを取り上げてご紹介していきます。ベタなところから、少し変化球まで取り揃えてみました。何かのお役に立てば幸いです。
高精度計算サイト「keisan」
カシオ計算機株式会社が提供している、生活や実務に役立つ高精度計算サイト「keisan」は、税金から割り勘、ローンの支払い、二日酔いしないための飲酒量から水の硬度計算、双曲線関数からルジャンドル関数、ロジスティック分布などなど、普通に生活に役立ちそうな計算から、専門的な計算まで、さまざまな計算方法を網羅した便利なウェブサービスです。
また、数字に関する時事ネタや小話を綴った「計算コラム」という読み物も充実しており、ちょっとした暇つぶしにも最適です。
個人的には、「アルコールを摂取すればするほど異性が魅力的に見える」ことを数式で表した「ビールゴーグル効果」の計算が掲載されているのがツボでした。
試しに計算してみたところ、紫煙たちこめる暗めのバーにおいて、視力が1.0の人間がビールを3リットル飲み、2m先の女性を目視したとすると、ビールゴーグル効果の値は63.1となり、「相手が魅力的に見える」そうです。
総務省統計局「統計局ホームページ」
総務省統計局が公開している統計に関する総合情報サイト、「統計局ホームページ」は、人口、世帯、土地・住宅、家計、物価、労働、文化・科学技術、経済・金融などなど、さまざまなジャンルの統計を網羅したウェブサイトです。
プレゼン資料の根拠に強度を持たせたかったり、裏を取ったりと、「自分が払った税金がここで使われているのならばもう少し払ってもいい」と思えるほどのお役立ちぶりです。
また、統計初心者のために併設された「なるほど統計学園」は、古き良きインターネットを感じさせる作りになっております。
礼儀正しく勉強熱心、思いやりもあってクラスのまとめ役、更にはスポーツ万能という完全なる主人公補正を持った「若松なみ」ちゃんや、なみちゃんの幼なじみでサッカーとゲームが大好きなやんちゃボーイ、「河田累」くんなどと一緒に、楽しく統計を学ぶことが可能です。
アムステルダム国立美術館「Rijksstudio」
アムステルダム国立美術館が提供するデジタルアーカイブ「Rijksstudio」は、高精細デジタル画像がなんと無料で提供されています。
もちろん日本語ではありませんが、イメージ画像が多用されていますので特に不便は感じません。フィーリングで何とかなります。
書物の挿絵や、レウアウト、色使いなど、とても参考になりますので、デザイナー職の方は必見です。「時代の付いた書物の挿絵で描かれた植物の色を調べたい」「古びた紙の質感を参考にしたい」など、ニッチな調べ物に効果を発揮してくれるでしょう。
また、アムステルダム国立美術館だけでなく、近年は世界各国の美術館、大学図書館などが、デジタルアーカイブ化を進めています。
例えば、アメリカのニューヨーク公共図書館が公開している「NY public library digital collections」は、サイトも見やすく整理され、検索ではパブリックドメインの物だけをソートできるなど、制作にも利用可能です。
ニューヨーク公共図書館「NY public library digital collections」
ニューヨーク公共図書館「NY public library digital collections」
国立国会図書館「オンラインサービス」
日本で調べ物、といえば、「国立国会図書館」や「大宅壮一文庫」が有名ですが、なかなか時間が取れずに、何とかネットで調べたいという方も多いのではないでしょうか。そんな時には国立国会図書館のオンラインサービスが力を発揮します。
ここで説明せずとも「調べ物の調べ方」から懇切丁寧に記載されていますので、膨大な資料や検索窓の前で右往左往することもありません。
それでもよく解らない方へのサポートも完璧です。子ども向け図書館案内の「キッズページ」では、更に噛み砕いて説明されています。
また、先ほどのデジタルアーカイブと同様に国立国会図書館「デジタルコレクション」も併設されています。雑誌から官報、新聞はもちろん、歴史的音源から科学映像まで、何を調べていたかを忘れるほど楽しめますので、こちらもぜひご活用ください。
もちろん、調べ物をする時は足を使うということはとても大切です。現在PCの前でこれを書いてる私が言えた義理ではありませんが、ただ、時間が無い時にもサッと検索できるのはやはり便利ですね。
『悪魔の辞典(アンブローズ・ビアス著)』
ネット上には日本語辞典、英和、和英辞典、シソーラス辞典など、さまざまなオンライン辞書がありますが、ちょっと変わった角度からの意味が知りたい場合は、アンブローズ・ビアスが著した、『悪魔の辞典』を参照すると、新たなる発見があるやもしれません。
厳密に言うと、悪魔の辞典は辞典ではなく、「辞典」というフレームを利用して様々な単語を皮肉とブラックユーモアでもって再定義したものです。
ネット上にある悪魔の辞典については、訳者自身が「誤訳あり」と明記しているので注意が必要です。が、それを補って余りあるユーモアと皮肉が辞典内に込められています。
試しに「批評家」という語句を引いてみましょう。
CRITIC 【批評家】
自分にとりいることのむずかしさを鼻にかけるひと。それはだれもとりいろうとしないからなのだが。
引用:枯葉訳『悪魔の辞典』
一応、私が持っている『正・続・全訳悪魔の辞典(アンブローズ ビアス (著)郡司 利男 (訳)
)』でも同じ語を引いてみます。
批評家【名】
だれもご機嫌をとろうとしないところから、おれのご機嫌をとるのは容易じゃないのだ、と自負している人物。
引用:『正・続・全訳悪魔の辞典(アンブローズ ビアス (著)郡司 利男(訳))』
思わず膝を打ってしまいそうな説明ですが、他にも皮肉とブラックユーモア満載の言葉たちが沢山掲載されています。文章を書く際には、その解説、そして発想法共に非常に参考になるのではないでしょうか。
後記
以上、調べ物に本気で使えるウェブサイトたちでしたが、ネットは広大なもので、まだまだ今回ご紹介し切れなかった、調べ物に使えるサイトはたくさん存在しています。皆様の情報収集の一助になれたら幸いでございます。