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【国際】

「世界で一番貧しい」ウルグアイ前大統領が来日 「日本から学びたい」

記者会見するウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領=6日、東京都千代田区で(坂本亜由理撮影)

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 「世界で一番貧しい大統領」として知られる南米ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領(80)が初来日し、東京都内で六日、記者会見した。ムヒカ氏は今回の来日について「かねて日本に興味を抱いており、学びたいから来た。日本の人たちに、人類や世界はどこへ向かっているのだろうかと聞きたい。私たちがどんな将来を夢見たいのかを考えずして、私たちの将来はないのではないか」と語った。 (近藤晶)

 ムヒカ氏は二〇一〇〜一五年に大統領を務めた。任期中の一二年にブラジルで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)での演説が世界的な注目を集めた。ムヒカ氏は「地球の危機の原因は、環境の危機ではなく、私たちの生き方に根源がある」などと訴え、資源の浪費や大量消費社会を批判した。日本では子ども向けに演説を紹介する絵本が刊行された。

 ムヒカ氏は会見で、自身の生活スタイルについて「質素でつましい暮らしは、私がしたいことの時間が増える。それが自由だと思う」と指摘。「もちろん、それを他者に強制するつもりはない。私は自由のために闘ってきた。自由とは他者がしたいことを妨げるものではない」と強調した。

 大量消費を続ける社会の在り方に関しては「私たちは多くの富を抱え、技術も進歩した時代に生きている。しかし、私たちは幸せに生きているのか」と疑問を投げかけた。

 大統領在任中も公邸には住まず、報酬の九割を慈善団体に寄付するなど、質素な生活ぶりも話題となった。一三年と一四年にはノーベル平和賞にノミネートされた。

 ムヒカ氏は出版社の招きで来日。十二日まで滞在し、都内の大学で講演などを行う。

 

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