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【社会】

川内原発停止認めず 福岡高裁支部、住民抗告退ける

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 九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の周辺住民らが再稼働差し止めを求めた仮処分申し立ての即時抗告審で、福岡高裁宮崎支部は六日、「原発の新規制基準は不合理とは言えない」として住民側の抗告を棄却し、昨年四月の鹿児島地裁決定に続いて申し立てを退けた。住民側は最高裁の判断を仰ぐため、許可抗告や特別抗告を検討する。

 原発の運転差し止めを巡っては、三月に大津地裁が関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の差し止め仮処分決定を出し、国内で稼働中の原発は川内だけとなっている。

 決定理由で西川知一郎裁判長はまず「川内二基の耐震安全性が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は妥当」と指摘。耐震設計の目安となる基準地震動(可能性がある最大の揺れ)を上回る地震のリスクはゼロではないとしつつも「新基準は耐震安全性確保の観点から極めて高度の合理性を有する」と認定した。

 住民側が主張した火山の危険性については「噴火の時期や規模を的確に予測できるとの規制委の前提は不合理」とした一方、「破局的噴火の可能性は十分な根拠で示されていない上、極めて低頻度。立地が不適切とは言えない」と退けた。

 「耐震安全性と火山の影響について、九電は説明を尽くした」とも言及。避難計画については「合理性、実効性の面で住民側が指摘するような問題点があるとしても、それだけで住民の人格権を違法に侵害する恐れがあるとは言えない」と判断した。

 川内原発の運転差し止めを求める訴訟の原告の一部が、訴訟に先立つ暫定的な判断を求め、仮処分を申し立てた。鹿児島地裁決定は「原発の新規制基準は合理的。耐震性は確保されており、破局的噴火の可能性も小さい。避難計画も実効性がある」と判断していた。

 

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