ウイニングイレブンvsFIFA
かつて、サッカーゲームといえばウイニングイレブン(以下ウイイレ)一択だった。
いや、ほかにもサッカーゲームはあった。とくに、「フットボールキングダム」は、ウイイレに対抗して作られた雰囲気がプンプンしていてなかなかよかったのだが、残念ながら続編が出なかった。なので、国内ユーザーは実質アクションサッカーゲームをやりたかったらウイイレ一択だったのだ。
だが、一強というものは弊害も生む。それが顕著に現れたのが「ウイイレ9」だった。この作品は「選手のミス」が大きくフィーチャーされており、とにかくトラップはでかくなる、シュートは外れるでストレスの貯まるゲームだった。だが、それは開発者の狙いでもあった。
「ユーザーにストレスを感じてもらいたい」
雑誌などでドヤ顔でインタビューに答えていた彼は、しかしサッカーを本当にちゃんと見ているのか疑わしい受け答えをしていた。
例えば、「オフ・ザ・ボール」。ボールを持っていない時の動きを表す、サッカーにおいては重要な単語だ。彼はインタビュでずっと「オブ・ザ・ボール」と言っていた。たかが「フ」と「ブ」の違いだろうと思うかもしれない。だが、そこには高く大きな壁がある。アルプスの少女ハイジで、「ハイジ」と「ハイヂ」と表記するようなものだ。本当のファンならそんなことはあり得ない。
しかし、それでもウイイレを買い続けなければならなかった。選択肢が他には無かったからだ。PS2時代までは。
PS3・Xbox360の時代がやって来て、頻繁に体験版でお試しが出来るようになった。そこで自分は「FIFAシリーズ」に出会った。そして、「FIFA09」からウイイレとはお別れをし、FIFAに完全に鞍替えした。
今回は、そんなかつてウイイレユーザーだった自分が、ウイイレとFIFAのいいところ、悪いところを、各項目で比較していこうと思う。なお、最近のウイイレは体験版だけのプレーなので、ゲームバランスに関しては比較しない。
ユーザーインターフェース
これは、以前はウイイレの圧勝だった。だが、最近はどっこいどっこいといったところだ。
ウイイレはフォーメーションを模した画面でマウスカーソルみたいなものでポインティングして選手交代などを行う。これは、見た目は良いのだがちょっとやりにくい。
対してFIFAは、やはりフォーメーション画面で選手を選択するのだが、導線が長いのでやりにくくなった。以前は控えは左右に入力すれば一発で飛べたのだがそれが出来なくなった。推奨する控えを出すボタンはあるが、若手を違うポジションで使いたい時は自分で選ぶしか無い。
日本語表記
ウイイレは完全日本語である。まあ、日本のメーカーのゲームなのだから日本語でなければ困る。日本語ならではの選手名の表記ゆれがあることはあるが、それでもやはり日本語で全てが表記されるのは安心だ。
FIFAは、選手名が英語表記である。実況は日本語で呼ばれるがエジルが「エツィル」だったり「エジル」だったりで統一感がない。チーム名もなんか半角カナで気持ち悪いし、なによりキャリアモードの日本語が時々イミフな時がある。まえよりましになったけど。
あと、実況解説に関しては完全にウイイレの圧勝である。とにかくFIFAは堀池の棒読みが酷い。
ゲームモード
ウイイレはお馴染みのマスターリーグモードに加え、myClubモードが最近は熱い。だが、myClubモードは基本プレイ無料バージョンもあり、ウイイレを買わなくてもプレイできる。UEFAと契約しているのでチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグは実名だ。
FIFAはキャリアモードというマスターリーグに相当するモードがある。これの凄いところは、各国のレギュレーションがだいたい再現されているところだ。たとえばヨーロッパのカップ戦の出場枠(大会名は仮名)、2部リーグがあるところは昇降格のシステム、イングランドに至ってはFAカップの再試合まで再現されている。
ウイイレのMyClubモードの元になったUltimateTeamモードは、なかなか楽しいが無課金だとシンドいかもしれない。
実名関連
ウイイレは選手名が実名だ。だが、リーグ名とチーム名が一部偽名である。これは自分にとっては致命的だ。アーセナルのファンなのだが、アーゼガムとかノースロンドンでは盛り上がらないし、ユニフォームもダサい。
エディットすればいいじゃないかと思うかもしれないが、ジョン・カビラの実況は変えられないし、マスターリーグもプレミアやってる気分になれない。これが、ウイイレからFIFAに乗り換えた理由の1つでもある。
FIFAは、リーグは実名だ。レギュレーションも主だったリーグは完全再現である。マイナーなリーグは2部リーグがないため再現不可能だが、それでも欧州主要リーグは完全再現されている。ただ、チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグは権利がないため偽名の大会になっている。
プレミアリーグとブンデスリーガは、画面のCGなどもテレビ中継そのままになっており、非常にやる気が出る。はっきり言ってカッコイイ。
演出関係
かつてはウイイレの独壇場だった試合中の演出だが、これはFIFAがほぼ追いついた。スタジアムの外観まで再現されている部分を含めると、もはやFIFAのほうがテレビ中継っぽいとさえ言えるかもしれない。
選手の再現度
日本人の再現度で言えばウイイレ一択だ。FIFAは似てる選手は似ているが、似てない選手は徹底的に似ていない。だが、その他の有名選手は両者とも似ているので、日本人の顔が似ていないとどうしてもダメという人でなければFIFAでも問題はない。
日本代表・Jリーグの搭載
コナミはJFAと契約しているので日本代表を使うことが出来る。FIFAは今のところできない。
Jリーグに関しては両者ともに搭載されていない。コナミはDLCでJリーグパックを提供していたが、昨年からやめてしまった。ACLに登場する4チームだけは使えるが、他は無しである。
今シーズンからJリーグのトップパートナーにFIFAの制作会社であるエレクトロニック・アーツが加わったので、おそらく今年のFIFA17にはJリーグが搭載されるだろう。どういった形で搭載されるのか、選手の顔は似ているのかという心配はあるが、今後「JリーグをプレイしたければFIFA」となっていくのは間違いない。
というわけで、現FIFAユーザーの視点で両者を比較してきた。プレイ感覚を語らなかったのは、ウイイレはここ最近体験版しかやっていないのでフェアではないと思ったからだ。あと、オンラインは個人の環境に左右されるのであまり語らないでおく。
結論として、日本代表を使いたい、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグを実名で遊びたいのであればウイイレ、各国のリーグや今後JリーグをプレイしたいのであればFIFAという事になっていくだろう。
どうせなら中国スーパーリーグやカタール、UAEとも契約してACLも再現してほしいなあというのが、FIFAファンである自分の願いである。