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改正公選法 生かそう「駅でも投票」

 投票率向上に活用したい。選挙で有権者が投票する際の利便性改善を図る改正公職選挙法が成立した。住民が駅や商業施設で投票する「共通投票所」の設置を可能としたことなどが柱だ。参院選から適用される。

     低投票率傾向に歯止めをかけるには政治への関心が高まることが本筋だが、投票所を身近にするような環境作りも軽視できない。とりわけ、若い世代の棄権防止に向け、さまざまな手立てを講じるべきだ。

     選挙の投票日、有権者はこれまで指定された一つの会場でしか投票できなかった。改正法は、同じ市区町村の有権者であれば共通に投票できる投票所を駅やショッピングセンターにも置けるようにした。指定投票所よりもマイカーで商業施設に行く方が便利な地域などで有効だろう。

     期日前投票が可能な時間帯も午前8時半から午後8時だったのを、午前6時半から午後10時までに拡大した。通勤客らの利用が期待される。

     政府が法整備に動いた背景には、投票率の低下傾向がある。国政選挙の投票率は2012年衆院選から低迷し、14年衆院選で過去最低の52・66%に落ち込んだ。従来型の啓発活動にとどまらぬ対応を迫られている水準と言えよう。

     共通投票所を設けるには二重投票を防ぐオンラインが必要なため、普及を危ぶむ見方もある。自治体は積極活用に努めてほしい。

     一方で、若者に関しては法整備以外の対策も求められる。「18歳選挙権」は実現するが、20代の投票率が14年衆院選で32・58%にとどまるなど、状況はより深刻なためだ。

     たとえば、大学に進学して転居した若者が地元に住民票を残したまま投票しなくなるケースは少なくない。親元を離れた大学生らの3割弱しか住民票を移していないとの調査結果もある。大学など教育機関は学生が住民票をきちんと移し、選挙で棄権しないように働きかけを徹底すべきではないか。

     教育機関と自治体の連携強化も大切なポイントになる。松山市は13年の参院選で松山大学に期日前投票所を設置した。これをきっかけに「キャンパス投票」を行う試みがさきの統一地方選では10以上の大学に広がった。

     政府も参院選にあたり、こうした取り組みへの補助を増額するなど、後押ししている。大学所在地の自治体から通学する学生の比率が高い地方の大学などでは、検討すべき手段だろう。

     今回の公選法改正は投票の利便性向上に主眼を置いたが、同法は公約を配布できる場所の制限など依然として禁止事項が多い。選挙運動の自由度をもっと高めることで「選挙離れ」防止に取り組まねばならない。

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