いずれも海洋プラント事業が巨額赤字の要因となっている。韓国の造船大手は相次いで海洋プラント事業に参入したが、原油価格下落によるプロジェクトの延期や契約解除、さらにコスト管理の失敗で原価率が上昇し、採算が悪化した。
本業の造船でも構造改革や再編を進めた日本の造船メーカーが復活しているほか、政府の支援を受けた中国メーカーに押されている。
東亜日報は社説で「韓国造船業が『最悪の越冬』を終えて、春を迎えるためには、『円高』の中でも体質改善に成功した日本を学ばなければならない」と論じている。
原油価格の下落や日中メーカーの板挟みという構図は今年に入っても変わらず、事態を抜本的に打開する策は見いだせていないようだ。
韓国経済新聞によると、韓国の造船大手で働く従業員は協力会社を含めて14万人を超えるが、「ビッグスリーだけで3年以内に4万〜5万人の失業者が出るというのが業界の観測だ」と報じている。
造船業に象徴されるような韓国経済の輸出低迷について、朴政権の政策の悪影響があると指摘するのは、韓国経済に詳しい評論家の上念司氏。
自国通貨のウォンが安くなれば輸出に有利だが、「韓国は対外債務が非常に多いので、ウォン安で対外債務が増えてしまうことを恐れている。このため、金融政策も以前よりは緩和しているが十分ではなく、みずからデフレの罠にはまっている」と語る。
輸出全体の約25%を占める中国経済の失速も直撃しているが、ここでも経済的にも外交的にも中国に依存してきた朴政権の失敗が響いている。上念氏はこう分析する。
「韓国の打開策としては、大胆な金融緩和を行っても通貨が暴落しないような仕組みをつくるしかない。日本と通貨スワップ協定を結ぶことができれば政策の自由度を発揮できるかもしれないが、単独では厳しくなっているのが現状だ」