読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

アンノン・ゲーム

人生は未知のもの。だから、私は書き続ける-。

初代ウルトラマン・第7話感想

ドラマ感想 ウルトラシリーズ

 

『バラージの青い石』あらすじ

 

f:id:harunakatori0306:20160406165225j:plain

 

★放映日時 : 昭和41(1966)8月28日

 

【中近東に巨大な隕石が落下し、

それ以来、不思議な事件が次々と起こった。

科学特捜隊パリ本部から、連絡員のジムがやってきた。

その話によれば、パリ本部もトルコ・インド両支部も、

調査隊を派遣したがいずれも行方不明となったという。

ついにパリ本部は、日本支部の出動を要請してきたのである-】

 

謎の隕石が落下した地点は、

中東の砂漠の中にある都市・バラージの近くらしい。

 

隊長のムラマツは各隊員に同行することを命じるが、

アキコは本部に残ることになった。

 

彼女の変わりにジムが調査隊に加わった。

 

ジェットビートルは順調に飛行していたが、

目的地までおよそ100キロの地点で、奇妙な光の壁に行く手を遮られる。

 

ムラマツは光の壁を飛び越えろといい、

成功したかに思えたが、磁力線によってエンジンを破損してしまった。

 

ジェットビートルは砂漠地帯に墜落し、一同は気を失ってしまう。

 

アキコからの通信の声でハヤタが目覚め、

次々と皆も気づくが、イデは頭に怪我をしていた。

 

ハヤタはアキコに返信しようとするが、

墜落のショックで回路が無線機が故障してしまったようだ。

 

ムラマツは「俺たちも行方不明の仲間入りだな」と呟く。

しかしジムは、バラージの街は近くだから、外に出て歩こうと提案した。

 

ムラマツはイデに無線機の修理を頼むと、

全員でバラージの街を目指すのだった。

 

だが、彼らがジェットビートルを出た直後、イデが大きな怪物を目撃する。

 

驚いてムラマツに報告するイデだが、

怪物は砂漠の砂の中に隠れてしまっていた。

 

「何も見えないじゃないか」とアラシは言ったが、

ハヤタが穴の中に埋まっているジェットビートルを見つける。

 

アラシが調べようとすると砂の中から怪物が現れ、

2本の角から光の壁を発するのだった。

 

ムラマツはスパイダーガンで攻撃するものの、

武器が光の磁力線で吸い寄せられてしまったので撤退した。

 

やがてバラージの街に到着した一同は、

「ノアの神」と呼ばれるウルトラマンの像を目にするのだが-。

 

ハヤタ : 黒部進

ムラマツ : 小林昭二

アキコ : 桜井浩子

イデ : 二瓶正也

アラシ : 石井伊吉

チャータム : 弓恵子


登場怪獣 : アントラー(磁力怪獣)

脚本 : 金城哲夫/南川竜


(敬称略)

 

※こちらのサイトで動画をごらんになれます。

 

 

感想

 

実はこの話、私がウルトラシリーズに引き込まれるキッカケとなった、

記念すべき作品なんですよ。

 

1~6話までは、日常の暮らしの中に現れた怪獣を退治するものでしたが、

今回は、いきなり中東が舞台です。

 

しかも、「ノアの方舟」伝説と絡めたりして、

全体的にミステリアスで素敵な仕上がりになっています。

 

女性視聴者にも馴染みやすい感じですね。

 

アントラーは磁力を発する怪獣で、

五千年前からバラージ付近で暴れていたようです。

 

隕石が落下したことで眠りから覚め、

より凶暴化してしまったのかも知れません。

 

では、印象的な台詞とともに物語を振り返ってみましょう。

 

f:id:harunakatori0306:20160406170957j:plain

 

【バラージは古い言い伝えの中に出てくる街です。

この街はかつて大いに栄えた街だったのですが、

いまでは地図にも名前が載っていないゴーストタウンになってしまいました。

学者の中には、実在の街ではないという人がいるくらいです】

 

でも、科特隊の面々が出発する前は、しっかり地図を見ていましたよね・・・

なんて突っ込みをする間もなく、一気に異世界モードになります。

 

ジム【(彼方を指差しながら)しかし、見たまえ。あの山はアララト山だ】

アラシ【アララト山?ああ、ノアの方舟が流れ着いたといわれている所だ】

ジム【うん、そうだ】

 

(中略)

 

f:id:harunakatori0306:20160406172549j:plain

 

ハヤタ【あなたは?】

チャータム【私の名前は、チャータム】

イデ【おい、日本語だぜ】

アラシ【日本へ来たことがあるんですか?】

チャータム【私はこの街から出たことはありません。日本人に会ったこともありません】

ムラマツ【じゃあ、どうして日本語を・・・】

チャータム【私には、あなた方の頭の中を読み取る力があるのです】

ジム【ああ、エスパー!】

チャータム【この能力は、私の一族だけに伝わっているものです。

遠い昔、人々はみんながこの力を持っておりました。

その頃の街は、シルクロードの交易地として栄えに栄えておりました。

ところが、ある日からこの街へ急に人が来なくなりました。

この街を出て行った人も、二度とは帰ってきません。

アントラーのしわざなのです。

人はだんだん少なくなり、いつの間にか、

老人ばかりが住む街になってしまったのです】

ハヤタ【アントラー?】

チャータム【恐ろしい怪物です】

ムラマツ【じゃあ、あの怪物はそんな昔から・・・】

 

(チャータムが頷く)

 

ムラマツ【しかし、あの怪物はどうしてこの街を襲わないのです?】

チャータム【ノアの神の守りです】

ムラマツ【ノアの神・・・?ジム、もしかしたら、ノアの方舟の・・・】

ジム【うむ、私もそれを考えていた】

チャータム【・・・どうぞ】

 

(チャータム、ノアの神のもとに一同を案内する)

 

f:id:harunakatori0306:20160406171557j:plain

 

イデ【ウルトラマンだ!どうして、ここに・・・?】

チャータム【ノアの神です。この青い石が、アントラーからこの町を守っているのです】

イデ【あの石が・・・?なぜだろう?】

アラシ【うむ、一種の魔よけかも知れん】

ムラマツ【ノアは、宇宙人だったのか・・・】

アラシ【五千年の昔、ウルトラマンの先祖は地球に現れ、

その時もやはり、人類の平和のために戦っていたのか・・・】

ムラマツ【うむ、われわれ人類にとって、

ウルトラマンは平和のための大切な神なのかも知れん】

 

f:id:harunakatori0306:20160406174648j:plain

 

実は後年のシリーズで「ノア」と呼ばれるウルトラマンが登場するんですが、

この話がもとになったんでしょうね。

 

 

チートと言われるほど強いウルトラ戦士らしいですが、

「神」と呼ばれる存在ならば、それもアリなんでしょうね。

 

この物語で衝撃的だったのはその結末です。

 

勧善懲悪のヒーローものでは、必ず主人公が敵を倒すんですが、

今回はそのセオリーを破った展開です。

 

ウルトラマンアントラーに苦戦して、カラータイマーの残り時間が30秒になってしまい、

科特隊もバラージの街も危機的な状況になりました。

 

すると、チャータムが「ノアの神のお告げを聞いた」と言って、

あの青い石をムラマツキャップに渡すんですよ。

 

彼女はアントラーに投げろというのです。

 

f:id:harunakatori0306:20160406174807j:plain

 

ムラマツキャップは、プロ野球のピッチャーもビックリのコントロールの良さで、

アントラーを退治することに成功しました。

 

ハヤタは変身したものの、街のおばあちゃんを助けただけで、

敵を倒したのは、人間であるムラマツキャップだったんですね。

 

これはシナリオを担当した金城先生のメッセージではないでしょうか。

 

ウルトラマンは人類の平和のために戦いますが、

地球は本来、人間が自分の手で守るべきものなんですよ。

 

また、アントラーの脅威がなくなったバラージも、

蜃気楼の街として滅びる運命にあるとチャータムは言いました。

 

『永遠ならざる平和』はあっても、

『恒久的な平和』はないということなのかも知れません。

 

子どもの頃、初めてこの話を観た時は、ミステリアスな雰囲気に魅了されましたが、

改めて鑑賞して物語の奥深さに感動しました。

 

名作は何十年経っても色あせないものですね。

  

ウルトラマン Vol.2 [DVD]

ウルトラマン Vol.2 [DVD]

 

 

ウルトラマン ウルトラマンノア ミニフィギュア

ウルトラマン ウルトラマンノア ミニフィギュア

 

 

広告を非表示にする