はじめて人形をあやつったのは、木偶と呼ばれる木製の人形が胴体と手足に関節を持った時です。人形をあやつる目的は神意を知る為で、人形は神が宿る神体として扱われていました。
人形をあやつる・・・・それが「からくり」のはじまりです。
それらの儀式は室町時代になって山車からくりへと定着します。
その後からくり技術に大きな進展を見せたのが江戸時代です。
山車からくりは豪華絢爛でパフォーマンスも自在に楽しませてくれる飛騨(岐阜県)や尾張(愛知県)の山車からくりへと変貌します。
この変革に大きく貢献した人に竹田近江という人がいます。この人はもともと天才的な時計職人でした。子供の砂遊びを見ていて新しいからくり人形を発案したり、宮中に献上しています。
大阪の道頓堀では、からくり人形を使った芝居を始め、現在の人形浄瑠璃の発展にも影響を与えました。
こうしてからくりは庶民にとっても身近なものになって行きます。
「江戸からくり人形」の技術開花は、そんな時風の中で起こります。
室町時代に西洋から持ち込まれた機械時計の技術と山車からくりの技術とが結びつきにより、生み出されたのが茶運び人形と言われるからくり人形です。この人形はゼンマイ動力でパフォーマンスを繰り広げる、はじめての自動システムを備えた人形でした。
現代ですら、技巧と仕組みに驚かされる「江戸からくり人形」は、当時、「生けるが
ごとし」と評され、人々の驚嘆と感動を誘い、あっという間に人気者になりました。
人形の動きの自動化・・・これこそが江戸文化の一大イベントであり、日本が
誇れる技術発展の歴史です。
その後東芝の基礎を築いた田中久重(からくり儀衛右門)がからくりの技術
を発展させます。
弓曳人形(つぎつぎと弓を引き、的にあてる人形)を作った人です。
その後万年時計、懐中燭台(かいちゅうしょくだい)・無尽灯(むじんとう)など数々の発明品をつくり、蒸気船の開発にも携わっています。
こうしてからくりの技術は現在の近代技術へと移行していきます。
神のあやつりであった人形が人に操られ、自らが動きだしたように、人が操作するロボットから自動で動くロボットへ・・・
省エネが叫ばれる21世紀。からくり技術の応用がこれから重要な意味を持つかも
しれません。
今一度、からくりが語りかける言葉に耳を傾けてみる事はとても有意義な時間に
なるでしょう。
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