▲左上からNHK、日テレ、テレ朝、TBS、フジ、TOKYO MX2、テレビ東京
2016年3月11日14:46。みなさまはどのような気持ちで、この瞬間を迎えられましたでしょうか。
あの日からちょうど5周年。私は家中のチューナーを総動員して、この瞬間を録画してみました。前々からやってみたいと思っていましたが、全局同時録画に挑戦してみたのはこれが初めてです。あの瞬間、テレビではどんなことが流れていたかを振り返ります。
NHKの場合
特集 明日へつなげよう
▲13:59:50ごろ
この日、NHKは1日中震災関連の番組を放送していました。宮城県名取市から中継しているようです。
▲14:00:04ごろ
14時になり、定時ニュースが始まります。時刻出しはここからスタートしました。
▲14:05:50ごろ
14:05にニュースは終了、名取市の中継に戻り、震災関連特番「特集 明日へつなげよう」が再開しました。
東日本大震災五周年追悼式
▲14:39:30ごろ
14:39:30に震災関連特番は中断。東京の国立劇場にて行われた追悼式典の中継に移りました。
▲14:40:59ごろ
14:40:50に天皇・皇后両陛下が姿を表しました。
▲14:41:20ごろ
14:41:20ごろ、両陛下は慰霊碑に一礼されました。
▲14:42:00ごろ
14:42:00ごろ、両陛下は席におすわりになられました。
▲14:43:58ごろ
14:43:55ごろ、菅内閣官房長官が「開式の辞」を述べられました。
▲14:44:15ごろ
14:44:04から国歌斉唱が始まり、1分ほど続きました。
▲14:44:20ごろ
両陛下は席から立ってその様子を見守られていました。
▲14:46:00ごろ
14:45:56に黙祷の合図があり、続いて時報音が会場中に響き渡りました。
▲14:46:25ごろ
天皇・皇后両陛下も、黙祷を捧げています。
▲14:47:05ごろ
14:47:04ごろに、黙祷は終了しました。黙祷の間は終始、追悼式典の会場内の様子を映し続けていました。
▲14:48:07ごろ
14:48:05ごろに安倍総理の式辞が始まりました。14:52:28に読み終わり、14:53:09に席に戻りました。
▲14:54:23ごろ
14:54:20ごろに天皇陛下のお言葉が始まりました。15:00:15に読み終わり、深く一礼したあと、15:01:20に席に戻られました。
再び、「特集 明日へつなげよう」
再び、「東日本大震災 五周年追悼式」
▲15:15:40ごろ
15:15:36ごろに、再び東京・国立劇場からの追悼式典の中継に戻りました。
▲15:17:57ごろ
15:17:00からご遺族代表のお言葉が始まりました。岩手、宮城、福島からの各代表がお言葉を読みあげ、10分ほど続きました。
ニュースへ
▲15:31:07ごろ
天皇・皇后両陛下がご退席されたあとの15:31ちょうどにニュースが始まりました。
トップニュースはもちろん、東日本大震災の追悼式についてのもので、この後、式典のハイライトが流されました。
▲15:38:10ごろ
つづいて、15:38ちょうどから、各地方のニュースが始まりました。
首都圏のトップニュースは、やはり追悼の話題でした。
「特集 明日へつなげよう」が再開
▲15:43:30ごろ
15:43にニュースが終了し、名取からの震災関連特番に戻りました。
時刻出しは番組の冒頭10秒表示して、15:43:12に終了しました。
日テレの場合
情報ライブミヤネ屋
▲14:40:03ごろ
13:55から番組がスタート。原発問題で揺れ、昨年20キロ圏内で初めて避難指示が解除された楢葉町から中継がありました。番組は原発問題を大きく取り上げながら進行していきます。
そういえば、2011年のあの時も、ちょうどミヤネ屋の放送中でしたね。
一旦CMへ
▲14:42:40ごろ
14:42:40ごろに一旦CMに入ります。
▲14:45:20ごろ
CMはずいぶん長く、3分にわたって続きました。14:46直前まで続き、このまま黙祷を流さないまま終わってしまうのではと、少し不安になってしまいました。
そういえば、あの日も、ちょうどCMのまっただ中に地震の揺れが襲ってきたようですね。14時台後半ににCMを集中的に流すのは、あの頃から変わっていないようです。
午後2時46分
▲14:46:02ごろ
黙祷の時間は、まず宮城県石巻市の鹿島御児神社からの中継から始まりました。
震災関連特番を編成した民放では唯一、追悼式典以外の場所から、14:46を迎えています。
▲14:46:55ごろ
14:46:49に追悼式典が行われている東京の国立劇場からの映像が流されました。
ミヤネ屋で、追悼式典の映像が流されたのは、このシーンが初めてです。そのまま、ここで黙祷が終わりました。
▲14:47:10
黙祷が終わると、すぐに(14:47:10)楢葉町の中継に戻りました。このまま、被災者のインタビューを流したあと、天皇陛下のお言葉についての話題に変わりました。安倍総理のお言葉は、番組内では流されませんでした。
再び、CMへ
▲14:49:09ごろ
14:49:12からは、CMに入りました。その直前の映像で、両陛下が会場に入られる場面が流されましたが、これは生中継ではありません。
映像を見返してみると、先ほどの追悼式典の中継の場面では、両陛下が大きく写っていません。注意深く見ないと、両陛下が黙祷が終わった後、お言葉を述べるために、たった今姿を表したと勘違いしてしまいそうです。
天皇陛下のお言葉
再び、震災関連の話題へ
テレ朝の場合
スーパーJチャンネル拡大版
黙祷前に、一旦CMへ
▲14:39:15ごろ
14:39:22ごろに、一旦CMに入ります。この直前の映像で、追悼式典の会場のようすが中継されました。
▲14:41:52
14:41:52にCMから復帰。黙祷までは、あと4分ほど時間があります。ミヤネ屋に比べれば、まだ余裕があります。
黙祷の時間までは、トークでつないでいました。
黙祷の瞬間
▲14:45:06ごろ
14:44:48の国歌斉唱の途中から、追悼式典の中継が入り始めました。
▲14:46:02
「黙祷」の時間。まずは、追悼式典の会場の様子が放映されました。
▲14:46:14
つづいて、岩手県宮古市 田老地区の映像に切り替わりました。
▲14:46:23
映像は切り替わり、岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」。
安倍総理の式辞と天皇陛下のお言葉
再び、震災関連の話題へ
▲15:00:28
天皇陛下が紙をしまわれたところで、映像は南三陸町に切り替わりました。
これ以降は、震災関連の話題へ戻り、以降式典会場に映像が戻ることはありませんでした。
TBSの場合
「Nスタ」拡大版
一旦、CMへ
▲14:41:48
14:41:50から、一旦CMに入ります。
黙祷の瞬間
▲14:46:02
黙祷の時間、まずは式典会場の様子が映し出されました。
▲14:48:14
続いて、南三陸町 防災対策庁舎の様子が流れました。
▲14:47:00
福島県南相馬市へと映像が切り替わりました。ここで、黙祷終わりのアナウンスが聞こえました。
ところで、黙祷の中継で、法螺貝が出てきたのはここだけです。きっと、復興への願いが込められているのでしょう。
安倍総理の式辞と天皇陛下のお言葉
▲14:48:10
続いて、安倍総理の式辞が放送されました。
▲14:51:20
時折、被災地の映像に切り替わり、式典会場の中継はワイプ挿入という形になったり、音声のみになる場面もありました。
再び、震災関連の話題へ
▲15:00:56
天皇陛下が紙をしまおうとした15:00:22に、映像はスタジオに切り替わりました。
以降は、式典会場の中継はありませんでした。
フジテレビの場合
直撃LIVE グッデイ
▲14:37:56
フジテレビでは、レギュラー番組「直撃LIVE グッデイ」の中で、震災関連の話題が取り上げられました。震災時、悪い意味で何かと話題となった、安藤優子さんが出演されています。
14:37:56からCMに入りますが、その直前に追悼式典の会場の中継がありました。これは、NHKや民放のなかで最も早いです。
黙祷の瞬間
▲14:45:02
14:45:00に映像は再び追悼式典の会場に戻りました。
安倍総理の式辞は…?
ここまでは、フジにしてはまあまあ良い出来でしたが、ここから迷走を始めます。
▲14:48:57
なぜか、14:47:19で追悼式典の会場からの中継が途切れ、被災地のレポートが始まってしまいました。
▲14:51:51
14:51:49になって、ようやく追悼式典の会場の中継に戻りました。ただ、相変わらず出演者同士のトークが続き、安倍総理の式辞を聞き取ることができません。
最初から流す気などなかったのでしょうか。
手が見えた…
▲15:00:58
15:00:58に映像は、女川町の中継先に戻りました。
その際に、キューを出そうとしたスタッフの手が写り込んでしまうハプニングがありました。右下のテロップの上部に写っていますが、お気づきになりましたでしょうか。
TOKYO MX2の場合
あまり馴染みがないかもしれませんが、TOKYO MXのマルチチャンネル「TOKYO MX2」では、この時間「東京マーケットワイド」を放送しています。内容としては、プロの投資家が用いる情報を紹介しながら、現在の株式市場の動向を解説するという番組になっています。
TOKYO MX1やtvkなどといった独立局では14時~15時台は生放送の番組は少なく、もっぱら通販番組が編成されています。この日も、震災特番を組んだ独立局は、私の知る限りひとつもなく、唯一の生放送がこの番組でした。
▲日経平均株価の画面(黙祷前)
直前まで、震災の話には目もくれず、株式市場の市況をキャスターの方が解説し続けました。
▲東証Arrows
すると、画面は東証Arrowsに切り替わり、下部に東日本大震災の追悼のため1分間の黙祷を行う旨のテロップが表示されました。
館内放送も聞こえ、手の開いている職員に黙祷を呼びかけていることが聞き取れました。
▲東証Arrows(拡大)
画面をよく見ると、ガラス張りの部屋の中にいる職員が、頭を下げて黙祷を捧げている様子が確認できました。
▲黙祷終了後
黙祷が終わった後、画面は東証Arrows内のスタジオに切り替わりました。ここで、キャスターの方がコメントを述べられました。
▲日経平均株価(黙祷後)
その後、すぐに日経平均株価の状況を確認し、普段通りの番組進行に戻って行きました。
よく見ると、黙祷の前と後で現在地が変わっているのがわかります。黙祷の間も、経済はお構い無く動き続けるのだと感じた瞬間でした。
日本の株式市場は15時に閉場します。14時46分は閉場の14分前。きっと、あの時も、株式市場は大混乱に陥ったのでしょう。
テレビ東京の場合
さて、おまたせしました。お口直しに我が道を行くテレビ東京のあの時の瞬間を御覧ください。今回は「午後のロードショー イーグル・アイ」が放送されました。
今回も、震災関連特番は放送せず…
▲14:45:27
出国審査を通過しほっとする怪しい二人組。
▲14:45:34
そこに、2人を追う、FBIの捜査関係者が一人で現れます。
テレ東14時46分は「おいかけっこ」~走りっぱなしの1分間~
▲14:45:54
ここから、怪しい二人組の逃走劇が始まります。スーツを持つ怪しい男は、通行人をふっ飛ばしながら、先へ先へと急ぎます。
▲14:54:55
FBIの捜査関係者も、セキュリティチェックを強行突破し、追いかけます。
▲14:55:59
怪しい男、ものすごい顔になっています。FBIに捕まるまいと必死です。
▲14:46:02
通行人の方々も驚きを隠せないようで、特に右にいる女性の驚き方が凄まじいです。
▲14:46:09
FBIの捜査関係者、銃を向けています。こちらも、必死です。
▲14:46:20
怪しい二人組は、非常口から脱出することに成功。
▲14:46:26
FBIの捜査官。非常口にたどり着くも、ドアがロックされてしまい、先へ進めません。
▲14:46:29
すると、FBIの捜査官、近くを歩いていた保安員を引っ張りだし、ドアを開けるよう懇願し始めました。
もうこれ、ギャグでしょ。
▲14:46:37
どうにか、保安員の助けを借りることができ、非常口のドアが開きました。
▲14:46:41
二人組は、空港内の倉庫を走っているようです。
▲14:46:47
捜査官も遅れを取りましたが、どうにか2人を捉え、追跡を続行しています。
▲14:46:57
ベルトコンベアーを飛び越え、先へ先へと急ぎます。
▲14:47:01
2人が、階段を駆け上がったところで、運命の14:46は終わりを告げました。
走りっぱなしの1分間でしたね。
追跡の結末は?
▲14:47:17
しかし、当人達にとってはお構い無く、逃走劇は続きます。
捜査官。犯人にめがけて発泡するようです。
▲14:47:17
ものすごい火花が怪しい二人組を襲います。ただ、迫力はすごいものの、けがをするほどのものではないようです。
▲14:47:20
しかし、あまりの迫力に驚いたのか、大事なスーツケースをベルトコンベアーの中に落としてしまいます。
▲14:47:32
しかし、諦めきれないのか、なんとベルトコンベアーに入って、スーツケースを追いかけ始めました。
▲14:47:35
どうにか、スーツケースをキャッチ出来ました。
▲14:48:05
怪しい二人組は、ベルトコンベアーの流れに乗りながら、逃走を続けます。
▲14:48:10
それを見つけた捜査官。なんと、ベルトコンベアーに飛び降ります。
▲14:48:39
しかし、最後は捜査官の銃を怪しい男が奪い取り、無力化に成功。為す術がなくなった捜査官は、ただじっと二人組を見つめます。もう一丁銃が出せれば銃撃戦になるのでしょうが、そこまでする用意も気力もないようです。
▲14:48:47
そして、FBIの捜査官は、ソーターに仕分けされ、怪しい二人組とは別ルートへ。ずいぶんなお間抜けさんですね。
▲14:49:20
怪しい二人組は、どうにか捜査官を振り切り、輸送機まで辿りつけました。
3分20秒の逃走劇。怒涛の展開でしたね。
総評
いかがでしたでしょうか。震災から5周年。各局とも趣向をこらした震災特番が編成されていました。
最も安定しているのはやはりNHKでしょう。民放との中継とは違い、落ち着きが見られますし、民放では取り上げられなかった、被災者代表の言葉まで、式典内容を細かく紹介できていると思います。やはり、3.11の瞬間を迎えるのに一番ふさわしい局だといえます。
次点は、テレビ朝日でしょうか。式の内容もしっかりと伝えていると思いましたし、式典の部分以外はほとんど見ていませんが、被災地の表情を的確に捉え、実情にあった報道ができていたと思います。
TBSも、式の内容はしっかり伝えられていましたが、どちらかと言うと旅系の企画が目につき、あまり興味がわかなかったように思います。
日テレは、震災前からミヤネ屋がずっと続いていることもあり、安定感があります。企画もなかなか面白く、良かったと思います。ただ、黙祷前後のCMラッシュはやめてもらいたかったように思います。大事な瞬間にこうも連続して流れると、あまり安心できません。
一番残念に思ったのはやはりフジテレビでしょう。震災の時の報道のグダグダっぷりが問題となったことは今も覚えていますが、あの頃から状況は何一つ変わっていないのかもしれません。あまり偉そうなことは言いたくないですが、情報番組と自称するならば、何を伝えたいのか、何を伝える必要があるのか、もう一度再考してもらいたいように感じられます。少なくとも、現状では震災のような命にかかわるような状態の時に、フジテレビから情報を得ようとは思えません。
テレ東は、最初から震災特番を編成せず、通常通り映画を放送しましたが、これはこれでありかもしれません。東北地方に系列局がないがゆえに取材体制が整いにくいのが遠因かもしれませんが、各局横並びもはっきり言って飽きてきますから、1局ぐらいは違うことをやるテレビ局もあっていいと私は思います。ただ、これは2,3と増えていくと、今度は震災の風化が叫ばれるようになるでしょうから、悩ましい問題です。