CCさくらん第1話
さくらんと不思議なカードたち

執筆:go to



わたし木之本さくらん、朋枝小学校に通う小学4年生。算数が苦手で体育が好きな、元気がとりえの普通の女の子です。
あ、ちょっとめずらしいことといえば 魔法が使えるってことくらいかなぁ。
えっ?魔法ってなに?それはね・・・

「おはようございます、さくらんちゃん」
「おはよう。ともにょちゃん」

学校の校門の前で一人の女の子に話し掛けられた。
その女の子は大道寺ともにょちゃん
、わたしの大切なお友達。
『大道寺なんとかかんとかコーポレーション』っていうすっごい大きな会社の社長のお嬢さんですっごいお金持ちなんだけど、とってもいい子だよ。そしてわたしの秘密を知っているのはともにょちゃんだけなの。

「苦労カードは集まりまして?」
「うん、それがまだ見つからなくて」
「がんばって、さくらんちゃん。苦労カードの災いからご町内を守るカードキャプター、かっこ良さ、超絶ですわー
今度是非わたしの作ったお洋服を着てデュエルしてくださいな。そしてその姿をビデオに納め…」

「と、ともにょちゃん……」


そう、わたしは『苦労カード』というカードを集めているの。といってもただのカードじゃないんだけど…
あれは1週間前、お父さんの書庫においてあった古い本。その本を開いてしまったときから、わたしの苦労カード探しの日々は始まったの…


さくらん回想

不審な物音を聞いてやってきたお父さんの書庫で、偶然『苦労カード』の本を手にとってしまったさくらんちゃん。

(何?この本。何か感じる)

ス、カチッ。
手に取ると表紙についているカギが自然に外れた。

(カード?見たことあるこれ)

中にはお父さんが大学で研究しているカードが入っている。
一番上の1枚をめくって手にとって見みると英語で何か書いてある。

(なんだろう、Hurricane?)

「はりけーん、はりけーん」

フゥゥン

「ハリケーン、ハリケーン、ハリケーン」

フォォン

「ハリケーン!」
ブォオオーーッ!

「きゃーー!!」

ばさばさばさ。突然書庫を旋風が吹き荒れた。

「ほえぇーー! なんなのー、いったい」

風が収まって落ち着くと目の前には小さなぬいぐるみが浮かんでいた。
(って、えっ?ぬいぐるみが浮かんでいる?)

こにゃにゃちはー。やー、あんさん。よーワイを目覚めさせてくれたわー。久しぶりに目が覚めたわ。
ここしばらく眠ったままやったからな。あんがとさん」

「お、大阪弁…?」

「イヤー長いことこの本大阪にあったさかい、すっかり大阪弁がうつってしもた」

「それよりあなた、いったい誰?」

「わいか?わいはこの本を守ってる『封印の獣、マスティコアや』」

「封印の獣?なにを封印してるの?」

「この本や、この本はただの本やないで。なかに『苦労カード』ちゅうカードがはいっとるんや」

「苦労カードってマジックのカードみたいなののこと?本の中にはカードも何もないよ」

「そうや、見た目はマジックのカードそのものや。…ってなんやてー!!カードが無いやてー!?

「うん、さっきの風で飛び散ったときになぜか全部消えちゃった」

「あんさん、何てことしてくれたんやー!」

「…苦労カード、その封印がとかれるとき、この世に災いがおとずれる」

マスティコアさんは暗い顔をして語る。

「『苦労カード』ちゅうんはな、ものすごい魔力を持った『苦労・リード』ちゅう魔術師が作った、魔力を持ったマジックのカードや。
カード1枚1枚が生きてて、それぞれに能力があたえれれとる。カードにはものすごい力が宿っとっるから、苦労リードはこの本を作ってカードを封印してワイを本の管理者としたんや」

「じゃあ、管理者のあなたは眠っていてカードの管理を怠ってカードの封印が解けちゃったわけね」

「なにを言っとんねん。眠っていたのはどこぞのアホがアップキープコストを払い忘れたせいや。ワイのせいやあらへん。
それにあんさんが《ハリケーン/Hurricane》をつかってばら撒いたんやろ。
ちゃんと責任とってカード回収、手伝ってもらうで」

「な、なんでよー、何でわたしがそんなこと。だいたいマジックもほとんど知らないのに」

「心配せんでええ。この本は魔力を持たん物では開けられへん。本を開けてワイのアップキープコストを払えたちゅうことは、多少なりとも魔法を使う素質を持っとるっちゅうことや」

「そう、なのかな?本当?わたしに魔力があるだなんて」

「おまえさん、名前は?」

「さ、さくらん

「よっしゃ、そこ立ち、さくらん」
マスティコアさんは空っぽの本を閉じると、それをわたしの前に掲げた

「封印の『鍵』よ 汝との契約を望むものがここにいる 少女 名を さくらん。
少女に力を与えよ! 『レリーズ』!」」

ポウ
本についている鍵の穴から小さな『鍵』がゆっくりとでてくる。

グウウウウンッ、パキイィィィ!
(!?ちいさな鍵が、大きな杖になった!)

「さくらん、杖をとるんや!」

「う、うん」
パシィ
先が鳥の頭のようなかたちをした杖を手に取ると、それは手に吸い付くように、まるで使い慣れたバトンのようにわたしの手に収まった。

「よっしゃあ!カードキャプターの誕生やー!」
「ええええええ!!!?」

さくらん回想終了


そんなわけで強引にマスティちゃんにカードの回収を押し付けられたのよねー。

「さくらんちゃん、ところでマジックの腕のほうはどうですか?」

「うんマスティちゃんにいろいろ教えてもらって、がんばってるよ。まだまだよくわからないけどね」

「がんばってくださいね、マジックは奥がふかいですから」


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