5時間39分。5日、米大リーグ(MLB)のボルチモア・オリオールズがミネソタ・ツインズと行ったホーム開幕戦の所要時間だ。雨のため予定より2時間51分遅れで試合が始まり、9イニングを2時間48分かけて終えた。
この日はマイナーリーグ拒否権を行使して公式戦出場25人枠に入った金賢洙(キム・ヒョンス、28)の野球人生で最も長い「悪夢の一日」として記憶に残るだろう。約5時間のうち、金賢洙がグラウンドに立った時間は10分にもならなかった。いばらの道が待っていることを暗示した開幕戦だった。
初めてグラウンドの芝を踏んだのは開幕戦の入場イベントの時だった。背番号25というコールと共に金賢洙の名が呼ばれ入場すると、ホームのファンたちは「ウー」というブーイングを浴びせた。オープン戦打率1割台という不振に加え、マイナーリーグ行きを拒否して25人枠に入ったことに対する反発だと見られる。一方、オープン戦3割台と活躍し、開幕戦レフトのポジションで先発リストに入っていた金賢洙のライバル、ジョイ・リカルドは大歓声を浴びた。「バードランド(birdland・オリオールズの愛称)へようこそ」という応援プラカードを持ったファンも中継カメラにとらえられた。
試合中、金賢洙はダッグアウトで交代を待った。しかし、彼の名前は結局、電光掲示板には出なかった。この10年間、韓国では故障時以外にラインナップから外れることが非情に珍しかっただけに、見慣れない光景だった。リカルドがデビュー戦で4打数2安打1得点と活躍したことから、その姿はいっそう寂しそうに見えた。
金賢洙は、チームメートのサヨナラ安打でチームが勝ってやっと、セレモニーに参加するため再びグラウンドを踏んだ。地元紙「ボルチモア・サン」は「夢に描いてきた大リーグの最初の姿とは違っていたはずだ」と書いた。バック・ショーウォルター監督は「ここは彼が28年の人生で初めて経験することだらけだろう」と言った。