「 著作権侵害はこう闘え 」一覧

著作権侵害裁判の被告、茂山組の社長からコメントをいただきました


先々週のことになるが、著作権侵害裁判の被告である株式会社茂山組の川田社長から、当ブログにコメントをいただいた。

当ブログの人気記事 茂山組という建設会社に写真を違法利用され、問い合わせても無視された” へのコメントだ。昨年4月に書かれたこの記事がこのところ「今週読まれた記事」にランクインしているのは、川田社長のコメント効果によるものかもしれない。おそらく昨今の読者の多くは茂山組関係者だろう。

このところ当ブログには検索語「茂山組」でのアクセスが多い。


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また、検索語「有賀正博」でのアクセス元が岡山や備前も頻発している。


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「無料写真素材 有賀正博」でネット検索している人もいた。これも茂山組関係者だろう。ぼくの写真は無料ではないから、そんなワードでは何もヒットしないよ。

以下に、川田社長とぼくとの応答を転載する。





2016年3月16日 14:27
投稿者:茂山組川田


茂山組川田です。
このブログを拝見しコメントいたします。

まずこの写真は弊社スペイン子会社ネクサスリゾートという旅行会社のホームページで使用したことはまちがいありません。しかしながら担当のホームページ制作会社がインターネット上から無料画像として複数掲載されていた画像の中から添付したもので、決して盗む気などはありません。

指摘をいただき、すぐに、ホームページからの写真はとりあえず削除させました。その後有賀様から金銭要求がありましたが当方と見解が異なっていましたし、スペイン法人は別会社ですので、それに対しお答えをしていないのが現状です。

昨今インターネットを使った架空請求のような詐欺事件などもあり、有賀様の事もあまり存じ上げていないため、「写真を使っている、お金を払え」という請求に対しは慎重に見極めさせていただいております。

ゼストさんの厳しいコメントには驚きましたが、茂山組は素晴らしい社員と共にコンプライアンスを重視した健全経営をおこなっております。ご安心ください。

 

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2016年3月17日 12:12
投稿者:有賀正博


川田さん、久し振りです。

昨年5月に電話で話をしたときには川田さんはすでに当記事をお読みくださっていましたが、一年後の今になってコメントをしてくださったのは、社内外でさぞ当ブログが話題になりやむにやまれずのことだと思います。

川田さんの考え方はおかしいです。
当該写真の著作権者は私です。それは簡単に証明できます。裁判でも「誰が著作者か」は問題にされていません。私が著作権者であることを認めていないのは川田さん、あなただけです。

著作者を前にして「架空請求の件もある」「金銭要求された」などとおっしゃるのは社会人しての常識に反します。仮に、当初はそう考えたにせよ、私からの問合せのメールにも、内容証明郵便も、一切無視してよい理由にはなりません。対話を通じて解決できる問題なのに、はじめから対話を拒否したのはあなたです。

コンプライアンスを意識した会社なら「著作権侵害をしています」という問合せに「すぐに調査します」と対応するものではないでしょうか。しかしながら、茂山組東京オフィスの高田さんも、社長の川田さんも、「この写真は誰が撮ったものか分からないですからねえ」と繰り返すばかりした。あげくのはてにあなたは「有賀さんのしていることは当社への中傷です。訴訟しますがよろしいですね」などとおっしゃいました。著作者に対して非常に失礼な対応だと受けとっています。

この件が茂山組内外で問題視されているのは、茂山組のコンプライアンス意識が低いことを反映したものです。当ブログに送られた元社員のコメントや、現社員のメールを読めばわかります。地方の中小建設会社の社長という立場のあなたに対し、これまで周囲に誰もいさめる人がいなかったからやりたい放題なのでしょう。

これを機会に、茂山組がコンプライアンス意識を高めていくことを私は希望しています。



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2016年3月18日 11:35
投稿者:茂山組川田


 私は地方の岡山の建設会社社長であることは間違いありません。 しかし人のものを盗んではいけない事は両親から厳しく教育され無知な私でも知っております。過去インターネットの画像を有料で購入させていただいたこともありますので写真に権利のある事は存じ上げております。また著作権や肖像権のことも存じ上げております。

 私は有賀様のおっしゃる通り無知な地方の人間でした。今まで様々な人にだまされてきました、架空請求や詐欺にあった経験もございます。

 ですから、怪しそうな事は相手にいたしませんでした。 今回有賀様の事も存じあげないし、こちらは無料画像のなかから選んでいるという社員と取引先の言葉を信じ、正当に主張し法廷での判断をあおぎたいと考えております。もちろんその証拠はそろえてございます。

 有賀様の請求金額に対し、こちらが対抗する為の費用すなわち田舎から出ていく交通費や弁護士費用ははるかに高額になります、しかし弊社の誠実性を実証するためにはしかたないと考えております。 ご理解ください。


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2016年03月20日 20:01
投稿者:有賀正博


川田さん、誰であっても私の写真を無料でご使用にはなれません。

「無料だと勘違いしていたが、調査の結果そうではないことが判明しました。ご迷惑をおかけして大変申し訳ないです」とおっしゃるならともかく、川田さんはあくまで「あれは無料だ」と言い張ることで無料にできるとお考えのようです。そのようなことをして何が楽しいのか私には理解しにくいです。

当該写真が無料画像ではないことは告訴状の第9項に記したとおりです。あらためて訴状をよくお読みください。無料でないものを無料と言い張ることは良識ある社会人ならもとよりしない、できないことです。

無料画像の証拠はそろえているとのこと。拝見できること楽しみにしています。もしそれが 『Yahoo!で検索語「セビリア 無料画像」をいれてヒットしたのが当該写真だった』 という程度の主張なら世間の笑いものになるだけなのでおやめになった方が賢明です。「無料」で検索したものがすべて無料で手に入ると思い込んでいるならただただ浅はかな人たちだとしか言いようがありません。

コンプライアンスを軽視する会社社長が「弊社の誠実性」を主張することも世間の笑いものになっていることでしょう。私のもとには、茂山組の現社員の方から、そのような裏表のある社長の行いが社員として恥ずかしいとメールをいただいています。世間どころか社内の笑いものかもしれませんね。

なお、私は現在ヒマラヤ山中に取材に来ています。
当地の通信事情がかんばしくないこと、取材に集中したいこと、以上から今後も従来と同じ内容のコメントをいただいても返答をいたしかねます。もし、ご自分の非を認める気になったらあらためてコメントをなさってください。どうもありがとうございました。


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川田社長のコメントを読んで思ったこと



「担当のホームページ制作会社がインターネット上から無料画像として複数掲載されていた画像の中から添付したもので、決して盗む気などはありません」とは一見しおらしい。

ぼくがコメントしたように、彼らが無料と言い張る根拠は『Yahoo!で検索語「セビリア 無料画像」をいれてヒットしたのが当該写真だった』 という程度のものだ。それは昨年の第一回弁論の答弁書にそう書いてあったから、すでに分かっている。しかし「無料」で検索してヒットしたものがすべからく無料で手に入るわけがないことは、子供でも分かるはず。

これは 担当したWeb制作会社のITリテラシーが著しく低いということではないだろうか。茂山組 のITリテラシーが低いのは仕方がないとしても、Web制作会社がこんなことでいいのだろうか?  呆れて何もいえない。

この人たちは何を考えてこんな主張をしているんだろうか。

試しにYahoo!で「セビリア 無料画像」で検索したらフォトライブラリーの有料写真もヒットした。そこには値段表も書いてあるから笑える。

こんな主張をするWeb制作会社もまた、岡山県岡山市にある。


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グーグルストリートビューでみたらその位置関係に驚く。右マルが株式会社茂山組の看板、左マルがWeb制作会社が入居するビルだ。発注者と受注者が隣接している。コンプライアンス無視の建設会社とITリテラシー無しのWeb制作会社が並んで建っているのは、類は友を呼ぶということかね。

茂山組は当初、このウェブサイトはスペインで作成されたため無断転載の件は日本側では詳細が分からないと主張していた。しかしそれが嘘であることはあきらかだ。岡山市でつくっているくせに、「どうせわからないだろう」とタカをくくったのか、茂山組は嘘を重ねてシラを切ろうとしていた。

しかしぼくは、このWeb制作会社の誰が作業者だったかも知っている。

次に、川田社長は『「写真を使っている、お金を払え」という請求に対しては慎重に見極めさせていただいております』と述べている。

最初に問合せをしてからそろそろ一年近くが経つというのに、いつまで慎重でいるのだろう。もしかしたら川田社長の「慎重に見極める」は「放っておく」と同義語なんだろうか。

一見丁寧だが、その実、重要なことをなにも語っていないコメントであった。

実は、ぼくは川田社長が当ブログにコメントをした意図がよく分からない。言い訳が多いが、弊社の不徳を陳謝しているようにはぜんぜんみえない。最後の方は「裁判を受けて立つぞ」と言ってるようだから、するとやっぱり挑戦状かな、これは。



【謝罪】パクリ企業 茂山組の社員から陳謝メールが届きました。


メールボックスに「茂山組社員です」というタイトルのメールが来ていた。
むむ。いったい何だろう。

果たして抗議のメールだろうか。

岡山県岡山市の建設会社 茂山組は、写真家の作品を自社ウェブサイトに無断利用しておきながら、問合せを重ねても知らん顔しているコンプライアンス軽視な会社だ。ぼくは茂山組を著作権侵害で告訴しているのだが、この法令を軽んじる会社は果たして「無断使用の件はいい加減にあきらめろ。さもないとただじゃ済まさないぞ」という強硬な挑戦状でも送ってよこしたのだろうか。汗。汗。

と緊張しながらメールを読んだら、想像したのとはぜんぜん違っていた。

それは茂山組社員からの謝罪メールだった


内容をかいつまむと「当社が有賀さんにご迷惑をお掛けして申し訳ないです。無断使用の件は、社員として大変恥ずかしいです。私は茂山組を代表する立場にはありませんが、一社員として謝罪いたします」ということであった。

これまでぼくがコンタクトをとったのは、「あたし何にも分からないんですよー。フフフ」と女子力発揮してさっさと電話を切ろうとする茂山組東京オフィスの下っ端社員か、「有賀さんのおっしゃることは当社を中傷するものです。中傷するからにはこちらは訴訟にすることもありえますが、有賀さんはそれでもよろしいのですか」などと慇懃に逆ギレする川田社長だったから、茂山組は上から下までろくな社員がいない会社だと思っていた。

しかし、100人ほどの社員の中にはまともな人もいるのだと認識を新たにした。

まともな社員であったら、写真を盗用しておいてしらばっくれる社長には恥ずかしい思いをしているに違いない。現代はコンプライアンス重視の社会。裏表のある社長の行いによって茂山組は社内外での信用が低下し、同社が力を入れる太陽光発電や架台の販売にも影響がでているという。

一社員の個人的なメールだから裁判には影響しないが、心強い応援だ。
どうもありがとう>茂山組社員。

Googleで検索トップ


当ブログには「茂山組 評判」の検索語での流入が毎日ある。
現在、その検索語では当ブログがGoogleでトップに表示される。

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こんな検索語は、茂山組に関係する社内外の人しか使わない。世間の皆さんに、茂山組はなんだかなあ、と受けとられてしまったことだろう。

一枚の写真を盗用し、著作権者からの問合せを無視して通そうとしたツケは案外大きかったようだね。写真の使用料金なんて扱いが小さければせいぜい3万円だから、はじめの問合せにきちんと対応をして料金を支払っていればこんな大事にならなかったのに。

茂山組社長は「俺の知らないところで勝手にメールを送るな」とキレて社員を怒らないようにね。そして今後は、これ以上社員に恥ずかしい思いをさせないように対応すべきだろう。


パクリ企業に立ち向かえ。裁判所を旅するフォトグラファー


あらためて岡山県の建築会社茂山組を著作権侵害の損害賠償で告訴した。

やってきたのは夕暮れの立川簡易裁判所。


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立川簡易裁判所(そして地方裁判所)はJR立川駅近く、イケア立川店の少し先にある。最寄り駅は東京モノレール高松駅。


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このあたりは建物ごとに客層がずいぶん違って、イケア立川店は若いカップルが多いし、ららぽーと立川店も若いカップルで混雑しているが、立川地方裁判所はムサイおじさんが多い(偏見)。

実際には裁判所はいろんな人がいて、若い美女もいるし、ダンディなおじさまもいらっしゃる。ただ賑やかさというか、活気はないので、ここに来てもイケアのようにウキウキしない。

簡易裁判所の受付書記官はいつもの若い男性だった。

巧妙に責任を回避する茂山組


昨年の告訴は、もともと少額訴訟で1回で終わらせるつもりだった。
けれども被告の都合で通常訴訟になったことと、被告の設定を誤って「川田雄二社長」にしたため裁判が複雑化してしまった。

というのは、ぼくの写真を違法に使用したのはスペインの旅行会社ネスクサスリゾートのウェブサイトだ。そしてネクサスリゾートは利用規約にお客様と当社は、法的問題の解決のため、スペイン国内に所在する裁判所の専属管轄権に属することについて合意します。という怖ろしい文言が記してある旅行会社だ。この旅行会社に申し込んで万一旅行中に事故が起きたとしても「スペインの裁判所にクレームしてください。うちは知りません」で済まされるかもしれない。

しかしネクサスリゾートは「茂山組の100%子会社」をウリにしており、ウェブサイト作成を含むすべての業務は岡山県の茂山組が行っている。事実上両者は同一で、そのウェブページも岡山県で作成されている。社長はともに同一人物の川田雄二という男だ。にもかかわらず、日本の裁判所ではネクサスリゾートを被告にすることができない。

なぜなら日本の裁判所にはスペインの旅行会社を審理する権限がない。
法曹界にきくと、このように巧妙に責任を回避する会社はわりとあるらしい。日本にいては責任が問えないようになっているのだ。まったくひどいものだ。

会社としてのネクサスリゾートを被告にできないため、社長の川田雄二を被告にした。

パクリ企業に立ち向かえ


日本で旅行業を行う会社は、万一の事故がおきたのために補償金をあらかじめ積立てておくことが旅行業法で定められている。しかしネクサスリゾートはそれすらもしていないようだ。前回の裁判中にそれを問いただしたのだが回答を拒否されたため、そう受けとらざるを得ない。「日本の会社じゃないんで」という逃げ口上があるから違法ではない。しかし違法ではなくてもこのような旅行会社に旅行を申し込むなどということは、ぼくならしない。怖ろしい。

川田社長は、ぼくの写真を違法に使用しておいて、クレームにも知らん顔して通している男だ。このように巧妙に責任を回避する術を考える男にどう対処したらいいか、一介のフォトグラファーは考えあぐねて弁護士事務所へ行ってかくかくしかじかと経緯を話し、いろいろとサジェスチョンをいただいた。日本の裁判制度では、ネクサスリゾートと、川田雄二社長個人を被告にすること自体が難しいのであった。

そして弁護士の方は「ぼくが見てもこの写真を撮るのが大変だと言うことは分かります。それを無断使用して知らん顔しているなんてとんでもないことです。仕事の合間でもいいから淡々と裁判を進めてください」と言ってくださった。よーし、頑張るぞ!

というわけで社長個人を被告にした提訴を取り下げて、この2月、あらためて株式会社茂山組を被告にして提訴した。


写真を無断使用されたら告訴して使用料をget! 訴訟費用は意外に安価だよ

自分の写真やイラストがネット上で無断使用されているのを見つけたら、まずは抗議のメールを送る。と昨年当ブログで、抗議メールと内容証明郵便の書き方を書いた。

今回はその続き。お待たせして済みません。抗議メールと内容証明郵便が不調に終わったら、仕方がないから著作権侵害で裁判所に告訴しよう。

前提条件として


1)当該作品は、あなたが撮影・作画し、著作権を有すること
2)無断掲載した相手は日本で登記された法人(会社)であること
3)著作権侵害を知った日から3年以内であること


上記の3つが当てはまれば話が早い。まず勝訴だろう。それ以外だと、例えばぼくのケースのように写真を無断使用したネクサスリゾート株式会社(茂山組)は日本で営業しているにもかかわらずスペインで登記されている会社なのでややこしい。それから著作権侵害の民事の時効が3年なのでそれ以内に提訴すること。


少額訴訟なら裁判は1回で済む


著作権侵害の裁判は地方裁判所で起こせる。


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ここでフォトグラファーやイラストレイターさんには耳よりな話がある。請求金額が60万円以下なら、簡易裁判所で少額訴訟をする方法があるのだ。

少額訴訟とは、原則として1回・約1時間程度の審理で、その場で判決を言い渡す裁判のこと。そして勝っても負けても控訴は出来ない。

普通の裁判は三審制で、地方裁判所で負けたら高等裁判所に控訴、そこでも負けたら最高裁判所に控訴となる。しかし少額の裁判が長期化して原告(というか裁判所)の負担が大きくならないように設けられた制度だ。

提訴は、原則として相手住所を管轄する簡易裁判所で起こす。しかし金銭請求をする場合は支払地を管轄する簡易裁判所でも訴訟を起こせる。つまり、フリーランスのフォトグラファーなら自宅住所を管轄する簡易裁判所で告訴できる。
この規定があってよかった。でなければぼくは審理に茂山組がある岡山県へ行かなければならなかった。というわけでぼくは、イケア立川店の斜向かいにある立川簡易裁判所で茂山組を提訴した。

自宅を管轄する簡易裁判所のロケーションはこちらでチェック。



提訴に必要な書類


提訴に必要な書類は次の4つ。


   1)申立書(訴状)
   2)著作権侵害の証拠(Webサイトを自分のHDに保存してプリント)
   3)これまでの交渉経緯のメールや内容証明郵便のコピー
   4)相手が法人なら登記簿謄本


1)申立書(訴状)はパソコンで作成する。作成の仕方は後述する。

2)写真が無断掲載されたウェブページをプリントする。
すでにこの段階ではページごとサイトから削除されているだろうから、自分のパソコン内に保存してある当該ページをプリントする。

3)メールと内容証明郵便のコピー。
すでに交渉が決裂し、相手に誠意がなく裁判を起こさざるを得ないことが、内容証明郵便によって立証される。

4)登記簿謄本には相手の会社の正式な住所商号が書いてあり、相手が法人(会社)なら必ず必要。取得は近くの法務局の出張所か、ネットでもできる。登記簿謄本に載っている相手の住所は、公表されている住所と違うことがある。このように、公表されている情報ではなく、法務省に登記されている情報が必要だ。

1〜3は各3部用意する。
2部を裁判所に提出し、1部は自分で保存する。

東京立川の法務局はこれもイケアの斜向かいにある。ATMみたいな自動出力機の画面操作をすれば、わずか数分後に証明書を発行してくれる。初めて操作するときは緊張するが、分からなければ窓口の人が親切に教えてくれる(本当に親切だった)。なお、一般にこの書類を登記簿謄本と呼ぶが、現代ではオンライン化されているの有形の謄本はないため、履歴事項全部証明書を取得する。費用は1通につき600円。

なお、訴える相手が法人ではなく個人の場合は、相手がその住所に住んでいることを自分で出向いて確認しなければならない。相手と直接会う必要はなく、電気計が動いていることを視認するなどして、その住所に誰か人が住んでいることが分かればよいそうだ。しかし相手が同一県内ならともかく遠方だったらハードルが高い。



本人訴訟で訴状を作成する


訴状は

1)自分で書く
2)代理人(弁護士または司法書士)に書いてもらう

のどちらでもよい。訴状のことを申立書とも告訴状ともいう。

ぼくの場合は、全面勝訴しても12万円しか払われない少額事件だから訴状は自分で書いた。このように自分で裁判所に提訴することを本人訴訟という

通常裁判は代理人訴訟(弁護士が訴状を書き、出廷して主張する、イメージ通りの裁判)が多いんだけど、ぜんぶ弁護士に依頼したら少なくとも10万円以上かかり赤字になるから自分でするのだ。少額訴訟に関しては本人訴訟が多いようだ。それに著作権侵害訴訟は「主張すべきこと」と「立証すべき事」が明確で「法律上の争点となるものがない」から、本人訴訟でイケルと思う。

忙しくて自分で訴状を書く時間がとれない人は、資料をまとめて司法書士に訴状作成を頼むとよいだろう。司法書士は裁判に限らず公的書類を作成してくれる人で、マンション購入の際にも会うはず。この場合は1回3万円程度で引き締まった訴状を作成してくれるから頼んだ方がいいと思う。というのも少額訴訟は1回きりの裁判だから訴状と証拠はきちんとととのっていなければならない。雑な書類を提出するとこちらが正しくても負けてしまうのだ。



裁判所は正邪を判断する場所ではなかった


裁判所は「社会を円滑にするために物事をこうであると定める場所」であって、何が真実で正しいかを見つけ出してくれる場所ではない。ということが今回の訴訟でよく分かった。

違法にぼくの写真を使用した茂山組が悪いのは誰の目にもあきらかな筈だが、茂山組は「違法ではない」と開き直っている。一枚の写真なんかに金を払えないという体質の相手に対して有効な判決をもらうには、裁判所なりの手続きを踏まえていないといけないのだ。ここもお役所なのだな。

そして裁判は被告を相手にするのではなく、裁判官を相手にするものだ。

慣れないお役所仕事にとりくんで円滑に進めるために、本人訴訟をするのであっても一度は弁護士に相談して手筈を教えてもらう方がいいと思う。窓口として日本弁護士連合会が運営する法律センターがある。都内各地にあり要予約。立川駅近くにもある。弁護士の相談料は30分5000円と定められている。

ぼくは訴状を書きあげてからそれを持って弁護士相談所へ行った。おかげで争点が絞り込め、よいサジェスチョンをもらった。何よりも弁護士に訴状を読んでもらい「分かりやすくてよく書けています」と評価してもらって自信がついてよかった。



訴状の書式は自由


少額訴訟の訴状のPDFサンプルが裁判所のサイトからダウンロードできるから参考にしよう。リンク先の「金銭支払(一般)請求」をクリック。ただし、この訴状は手書きが前提だから、内容を参考にするとしても書式はこのとおりでなくていい。

Googleで訴状で画像検索したほうが参考になる書類がヒットする

訴状の内容(告訴の内容)も書式も自由。分かりやすくするためにA4横書き、全角12ポイント、1行26文字、1ページ26行で書くとよい。文書量は本文2〜3ページ程度に収めよう。A4左側をホチキス止めする分の余白をとる。詳細に、論理的に、分かりやすく、を心がける。詳細にといっても同じ内容を繰り返すなど無駄なことは書かないこと。裁判官が面倒くさがる。

訴状はただ文字が並んでいるだけの簡単な書類だ。
ぼくがMacでJedit X(テキストエディタ)を使って作成した訴状PDFファイルをこちらにアップした。分かりやすいように注釈を入れたので、ダウンロードして参考にしてください。

段落ごとに番号をふったのは、相手が反論書類を作るときに何に対する反論かを分かりやすくするため。また裁判官と話すときも分かりやすい。

実際に提出した訴状には個人の住所が入っているがここでは空欄にした。登記簿謄本には茂山組社長の住所が記載されているから実際には自宅住所も公開情報なのだが、一応個人情報という建前があるので。書き上げたら上記のようにいちど弁護士にチェックしてもらう。

文字の表記には決まりがあり、それに沿っているかを確認する。出版業界にいる人ならクライアントごとの表記統一はいつものことだと思う。裁判所がクライアントだと思って訴状作成をする。

訴状が完成したらそれを持って簡易裁判所へ。その場で書記官がチェック(弁護士がみなくても書記官が校正してくれる)し、アカが入ったら持ち帰って書き直してから郵送で提出する。初校で校了にしたいので分からない事は何度でも電話やファクスで確認すること。プロの弁護士であっても手続きに関して電話で何度でも問い合わせるそうだ。それからメールでの問合せは受け付けていないみたい。



裁判費用はたったの2000円


裁判費用は請求金額によって決まる。
ぼくの件は請求金額が12万円だから裁判費用はたったの2000円。

それから裁判所が被告と原告に郵便物を送る際の切手4980円分を買って訴状とともに提出する。切手は裁判所の売店でセットのが買える。たったこれだけで裁判をしてくれるのだから安いもんだ。なお、裁判終了後に余った切手は返ってくる(ほとんど余る)。

本人訴訟なら費用は格安だからダメモトで告訴してみよう!

もし弁護士に訴訟を依頼したら、手付けで3万円、弁論1回10万円、それから裁判費用実費などあわせれば13万円を超えるからこの案件は赤字になってしまう。でも自分の時間を使わなくて済む。大切なのは、著作権侵害は割に合わないと相手に思い知ってもらうことだ。請求金額を弁護士費用とでトントンにできるなら弁護士に依頼してもいいと思う。


ぼくはこんなブログを運営しているぐらいだから文章を書くのが好きだ。だから訴状を書くのも苦にならない。むしろ今迄やったことのないことができて楽しんでいる。



訴状を書くときの注意点


1)写真の著作権は基本的に撮影者に属している。ただし著作権は譲渡することができる。譲渡したらフォトグラファーには告訴する権利がない。「原告が撮影者であり著作権を有している」と明記し、自分にその権利があることを主張する。

2)写真を無断使用された場合、被告に請求するのは「写真使用料」ではなく「損害賠償」だ。法律用語ではそう言うと裁判官に教えてもらった。「使用料」は事前に契約があった場合に使う言葉だという。
なお出版界では口約束で書類がなくてもきちんとした契約になる。「出版界には口約束の慣習がある」と認められているため。

3)気になる損害賠償の金額の算出基準は、普段からレンタルフォト業務をしていればその金額を請求すればよい。
ぼくの場合は、フィルム時代の紙媒体のイメージから「扱いが小さければ使用料は1点3万円」となんとなく思っている。とはいえデジタル時代のウェブ用途で価格が同じとも限らないし、何より業界素人の裁判官に納得してもらわなければならない。そこでアマナイメージのWebサイトの料金表を基準にすることにした。
ぼくはフィルム時代に世界文化フォト、オリオンプレス、フォトニカなど有名なエージェンシーに写真を預けていたが、いずれも10年ほど前にすべてアマナに吸収合併されてしまった。アマナは「一人勝ち」の大手だから基準としては文句ない筈。といっても裁判官はアマナという会社を聞いたことがないから「損害賠償はレンタルフォト業界の最大手であり基準になっているアマナイメージズの料金表に準ずる」とわざわざ記した。アマナの料金表はこちら

アマナの料金表によれば、ウェブ用途で、広告用途なら、2年間で6万円である。そして無断使用の罰金は2倍である。ま、そんなもんだね。したがって、ぼくはネクサスリゾート(茂山組)に12万円を請求できることになる。

裁判官は「なぜ罰金が2倍なのか」を気にする。算出基準の合理的な説明が求められるから、業界標準であることをきちんと説明できるようにしておく。



裁判は提訴から1ヶ月後


簡易裁判所で書記官と訴状の相談するときに、裁判日も決める。

だいたい1ヶ月後であることが多い。適当に都合のいい日を決めよう。

裁判所は、原告の提訴を受けつけたらその訴状と証拠のコピーを被告に書留で郵送する。受けとった被告がびっくり仰天して弁護士に駆けこみ、対策を依頼するかもしれない。そうして、被告本人または被告側弁護士から反論書が送られてくる。

そのやりとりに必要な時間が1ヶ月とされているようだ。



少額訴訟裁判その日



裁判当日は、原告も被告も必ず出廷しなければならない。欠席すると裁判は自動的に負けてしまう。

テレビや映画で見る裁判シーンと違って、少額訴訟は丸テーブルを囲んで裁判官・原告・被告が話し合うなごやか(?)なもの。そして1時間程度の裁判のなかで、お互いのそれまでの主張を踏まえて、更に主張を重ねる。

弁護士によれば、少額訴訟の開廷時には、それぞれの書類を読み終えた裁判官がほぼ判決を決めているそうだ。やっぱりお役所は書類社会なのだね。その上で裁判中の主張で判決が変わることもあるが、やはりはじめの訴状と証拠集めはきちんとやらなければ。

もともと著作権侵害訴訟は「主張すべきこと」と「立証すべき事」が明確で「法律上の争点となるものがない」から、書類さえきちんと整っていれば勝訴は間違いなし。不透明なのは、主張した損害賠償の金額がどのくらい認められるかぐらいなものだろう。

こうした訴訟では、裁判官が判決を出さずに和解を勧めることが多いらしい。そのために民生委員という人が丸テーブルに加わっていることもある。被告は非を認め、適当な額を支払い、裁判を終了するのがいいことだと思われているのかな。もし和解を勧められたら条件に応じて自分で受け入れるかどうかを決めよう。

少額訴訟は意外に簡単だから、どんどん告訴しよう!



少額訴訟では決着しないこともある


少額訴訟にはもうひとつのポイントがある。

被告が望めば通常裁判に移行できるのだ。その場合は1ヶ月に一度の割合で裁判が進み、結審までに数ヶ月かかることになる。

普通は通常裁判に移行することはあまりないらしいが、ぼくの場合もそうなった。というのは、ぼくのケースでは相手が日本国内で登記されていない旅行会社のため、相手を定めきれずに社長の川田雄二を被告にしていた。これは裁判の進めかたとしてはぼくの失敗だった。そこをつかれて裁判が長期化した。

それに通常裁判は被告が出廷しなくてもよいのだ。反論書を提出すればそれをもって出廷にかえることができる(原告は出廷しなければならない)。被告川田にしてみれば通常裁判の方が楽なのだろう。どうせ弁護士費用は会社持ちだし。

しかし、失敗だと思っていたがブログの人気記事になって多くの読者に励ましのメールをいただいただくことができた。見方を変えれば成功かもしれない。

茂山組にしてみれば、違法に写真を無断使用したことを責任追及されにくいから、してやったりというところであろう。

茂山組のように職人の作業を軽視し、支払うべき代金を払わずに済ませて成りたつ会社は、平和で豊かな日本にふさわしくない。あの中国共産党でも著作権侵害は陳謝して損害金を支払う良心があるというのに、茂山組社長は職人からの問合せにも知らん顔だ。

ぼくは日本人としてこのような岡山の建設会社に関わるのが恥ずかしいが、といって違法な行為をして平然としている会社がのさばっていていいとも思わない。すべての職人の立場を代表してこの訴訟を続けることにする。


「すしざんまい」から利益をかすめとる「NAVERまとめ」は文化の海賊だ


すしざんまいの社長の話題がネット上でかなり大きくなっているようだ。


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「すしざんまいの社長がひとりでソマリア沖海賊を退治した」という話題については、『恋するソマリア』などの著作があり、ソマリアに詳しいノンフィクション作家の高野秀行さんが自身のブログで以下のように明確に否定されている。


海賊の激減とすしざんまいには何も関係はない。たとえすしざんまいで元海賊を漁師や船乗りに雇っても、他の人間が海賊をやるから同じことだ


ということであった。
この件はこれで終了であろう。とはいっても、すしざんまいの社長の現地貢献は素晴らしいことだ。拉致・誘拐が普通に行われる国へ行って、拉致されずに仕事ができること自体が武勇伝だと高野さんも書いている。

ハーバービジネスオンラインさんは、社長の武勇伝を膨らませずに書けばよかったのに、大げさすぎるミダシをつけてありえない美談にしあげようとして、せっかくのいい内容を損ねてしまったようだ。



アクセス数をかすめとる「NAVERまとめ」


さて、ハーバービジネスオンラインの元記事だが、記者はおそらく1月12日にすしざんまいの木村社長を尋ねてインタビューをしている。普通に考えればこの企画は昨年のうちに動いてアポをとったことだろう。インタビュー終了後に記事は2回にわけてアップされた。ソマリア沖海賊に話題が振られたのは1月18日の記事「すしざんまい社長が語る「築地市場移転問題」と「ソマリア海賊問題」。


そして、その数日後には早くもNAVERにパクリまとめ記事がアップされている。まとめる方は元記事を適当にバラして再構成するだけだから簡単だ。なんの労力もいらない。

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ぼくの友人に聞いたところによると、この話題は「FBでいろんな人がNAVERまとめの記事をいいね!して流れてくる」「けれども記事元のハーバービジネスの記事はシェアされていないのか流れてこない」ということだった。

そこで、確認のためにNAVERの当該まとめページを見てみた。
これもNAVERのアクセスに数えられちまうから本当はイヤなんだけど、仕方がない。

22日18時現在、


ハーバービジネスに いいね! しているのは2.5万人

NAVERに いいね! しているのは6.4万人。





というわけで、NAVERまとめの勝ち!!

・・・・・・・そんなことでいいのか?




記事を書いたのはハーバービジネスなのに


ハーバービジネスさんは社長のもとへインタビューにいき、時間をかけて企画を進め記事を書いている。やっとこ記事をアップしたら、すぐにNAVERにパクられてしまった。そしてアクセスはNAVERに集まる。NAVERの記事はすでに75万アクセスがある。これは、本来はハーバービジネスさんが稼ぐべきアクセス数の筈だ。

大概の人はNAVERでまとめを読んだら、あえて記事元まで読みに行かないだろう。その結果、元記事は読まれない。

あーあ、ハーバーさん、かわいそうにヽ(´ー`)ノ
いやいや、人ごとじゃないよ。ぼくも同じような目にあっているからね。

ぼくだけじゃない、NAVERにパクられて怒!という記事はネット上たくさんあるから検索して読んでください。

人が時間をかけて作り上げた記事を、あっという間にパクってしまうシステムを作り上げたNAVERは文化的な海賊だ。クリエイターが得られるべき利益、満足感、充実感、アクセス数、そうしたものをNAVERはすべて奪っていく。

パクリで成りたつ諸々のキューレーションサイトは本当にひどいメディアだ。

というわけで、見方を変えればハーバービジネスさんもNAVERの被害者だ。真の悪はNAVERまとめだ。