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プロジェクトは成功したけどマネジメントに失敗した話。

2016.04.05

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こんにちは。はてなブログ「プロジェクトマネジメントの話とか」管理人のwiz7です。このたび、meetaMAGAZINE様へ寄稿することとなりました。

僕はIT業界で働いているのですが、今回は僕が過去に経験した、プロジェクト自体はうまくいったけれどもマネジメントに大失敗した話について、お伝えしようと思います。

ビジネスにおける「合理主義」は絶対の正義なのか?

僕が昔担当した、とあるプロジェクトでの話です。当時の僕は、効率的に爆速で作業を進め、品質をしっかりと担保した形で納期を守ることだけが絶対の正義だと思っていました。逆に言えば、それ以外の犠牲は一切いとわない!論理こそが神!ぐらいの勢いだったのです。狂ってますね(笑)

もちろん今でも、仕事を成功させる上で合理主義的な考えは最も重要な要素の一部だと思っていますし、そもそもそうでなければ仕事を遂行することはできず、企業活動としても利益を出せずに会社は倒産してしまいます。

ただ、それが行きすぎた場合どうなるか?

当時の僕は、なりふりかまわずとにかく必死で視野が完全に狭くなっていたのですが、冷静に後から振り返るとチーム内の空気がギスギスしていたんですよね。いや……「チーム内の空気が死んでいた」と表現した方が適切かもしれません。

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元々、僕は心配性なところもあり、メンバーが少しでも非効率的な動きをすると、すぐに口をだしてしまうというあり様でした。

今思い返しても一番異常だったと思うのは、課題管理表(チームですすめる仕事の課題をエクセルの一覧で管理していました)の書き方について、日本語の表現の仕方が冗長だからもっと文章をスッキリさせよう、などと指示をしていたのでした。

作業工数に換算すると、ほんの数分程度の削減ですが、チリも積もればという考えに基づき自分の考え方を強要していたのです。これをやられた方は、本当に息苦しいどころではなかったと思います……。

自由を与えられながら、人の自由を奪っていた

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僕がふと我に返り、このマネジメントのマズさに気が付いたのは、プロジェクトが終わった後に振り返ったタイミングでした。僕が好き勝手に動き回っても、大きな問題がなかったこともあり、上司は何も口を出さないでいてくれたことに気が付いたのです。

僕は上司から自由を与えられながら、メンバーの自由を奪っていたのです。これに気付いた時、僕は愕然としました。一体僕は、今まで何をやってきたのだろうか、と。

確かにプロジェクト自体は成功していました。規模も大きい中、容赦なく襲い掛かる度重なる仕様変更を柔軟にさばきつつ、高い品質を担保し、一切の遅延も起こしませんでした。 「結果が出た!うまくいった!」と、とんでもない勘違いをしていたのです。最低のマネジメントをしながら。

自分自身のモチベーションは最高に高く、主体性を発揮しつつ、自分の持つ力までを遺憾なく発揮できていたのは、大きな裁量が与えられていたためでした。厳しく管理されていたら、そこまでの力を出すことは絶対にできなかったと断言できます。

結果を出すためにだからこそ必要な「非効率性」

そもそも、人の数だけ仕事の進め方が存在するはずなのです。考え方も性格も異なるわけで、個人を尊重する姿勢が必要なのです。仕事を進める上で最も重要なのは「人の感情」であり、人間関係であり、古臭い精神論に聞こえてしまいますが「やる気」の部分です。

「仕事」である以上結果が全です。が、その結果を出すためこそ、そのプロセスには規律以上に自由度と「生身の人間」の部分への配慮が必要なのです。

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メンバーには自由度を与え、多少非効率であっても修正可能な範囲内であれば、口を出さずに注視する寛大さを持ち、主体的に動いてもらえるようにサポートする必要があったわけです。

ただそれは、何も好き勝手放題に「放置」するという意味ではなく、軌道修正可能な範囲かを見極めるバランス感覚が必要になります。なので、規律重視のガチガチのマネジメントよりも、はるかに難易度は高くなります。

ただ、組織はそうでなければ各個人の力は発揮されず、チームとしての力も半減してしまうのだと僕は思うのです。

僕が考える、「人生の中の仕事」で一番大切なこと

ビジネスの目的を合理的に達成するために各メンバーの自由度は必要不可欠になるのですが、その他に、もう一つの観点があると僕は思います。

それはQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させる、という観点です。

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仕事を人生の中でどう位置づけるか、という問題にも関わってくるのですが、人生の多くの時間を占める仕事を進める間、多くの時間を仲間と共有するわけで、限られた人生を充実させる上で、その仕事のプロセスが「面白くて楽しい」ということは非常に重要な要素になるわけです。その観点からも、自由度による主体性が必要になってくるのです。

人生、最期には記憶・思い出しか残りません。いかに年収・業績を上げたところで、来世まで引き継げるわけではありません。

当然、それらも重要な要素ではありますが、周囲の人と仕事を進めるプロセスであったり、社会貢献を通じた充実感であったり、「仕事」には、そのような部分にも大きな価値があるのだと思います。

今回の話は、あくまでも僕が考える理想のマネジメントです。マネジメントの方法に、絶対の決まり・型はありません。Google社のように自主性を重んじながらも、世界を牽引している企業も存在しますし、軍隊のような厳しい管理を行いながらも、うまく成長している大企業も存在します。

ただ僕は、つたない自分の経験から、自由なチームこそが最強だと思うのです。厳しい仕事を、少しでも面白くするために――。

春です。新年度が始まりますね。

新たにリーダーに抜擢された方も多くいらっしゃると思いますが、チームで仕事を進める際に、今回の記事が何らかのお役に立てれば幸いです!ではまた!

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プロフィール
スクリーンショット 2015-12-14 18.41.48普段は普通の会社員としてWebサービス関連のプロジェクト管理など、最近は企画寄りの仕事もしています。はてなブログ「プロジェクトマネジメントの話とか」では、プロジェクトマネジメントの他、ライフハック・IT業界の話を中心に、ビジネス全般について書いています!

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